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「窓辺の猫」第三十九回 弱虫女のプライド
どうも弱虫の飼い主の弱虫です。
突然ですが、自分で自分の性格って分かりますか。
大学卒業して就職活動していた頃の事です。
「あなたの強みはなんだと思いますか?」
「自分を他のものに喩えると何だと思いますか」
あるいは、ストレートに
「あなたは自分の性格をどんな風に感じますか」とたくさん聞かれました。
春入社出来なくて、契約社員で就職できたのが7月。100社以上受けて、履歴書はそれ以上書いています。
書類ではそこまで落ちなかったので、自分の性格について無難に書けていたんでしょうね。何書いたか覚えていませんけど。
わざわざ面接に行くたびに、同じ事聞くなら書類で落としてくれよと思っていました。お金もかかるし、気力も使います。
実際の印象で採用が決まるなら、学歴も資格も賞罰も無駄だと思いませんか。
一方で、精神科に通院した事で当時書いていた私自身が私に抱いていた印象はまるで違った事も今となってはわかっています。
面接官にみる目があって、「なんだこいつ自分の事まるでわかってねーな。自分を過大評価しすぎだろ」と一目でわかっていたとしたら拍手を送りたいです。
私は人間が嫌いです。
というより、あまり周りに興味が持てない事を子どもの頃、周囲に「人間嫌い」と表されていたのだと思います。
前置きが長くなりました。
私が人間嫌いな人間だとして、我が家には猫嫌いな猫がいます。
トンボと名付けた年齢不詳の麦わら柄の猫です。
この猫は、2022年のお盆休みに我が家に勝手に上がり込み、以来ずっと私のあとをつけ回して来ます。
痩せこけた体型から、先住猫の1.4倍の体重になっても子猫の時にはずれかけたらしい後ろ足をドタドタさせながら食べ物を探したり、人間を探してうろつき、人間の姿が見えないと何時間か庭に出たり、台所にこもっただけでも、外生活で痛めた声帯に構わず、にゃあにゃあ鳴くのです。
声が小さいので先住のセミ猫が「テレビつけて」「テレビ消して」「遊んで」「トイレ掃除して」という時のようにうるさいとは感じません。しかし、人間がトイレに行ったちょっとの間も鳴いています。
猫について詳しくなかったので、猫ってそんなものかと今までは考えていました。
しかし、トンボ猫がスプレー行為をすると最近気づいて考えが変わりました。
スプレー行為というのは臭いが強めの少量の尿を吹き付けて、臭いつけをする行為という考えで正しいでしょうか。
オスが縄張りを主張するためにすることが多いそうですが、避妊手術済みのメス猫もするのです。
尻尾が千切れているので、お尻がブルブルしていても何やっているのか今まで気づいていませんでした。
どうもトンボ猫は不安症のようです。
我が家に来て半年くらいは窓の近くにも近づきませんでした。最近は頻繁に窓そばにいるようになってだいぶ家猫生活も板について来たんだなと安心していました。
しかし、どうやら我が家の荒れ庭を眺めて愉悦に浸っていたわけではなく、やってくる外猫を警戒していたようです。
猫の親子てボスみたいなガタイの良い猫が我が家に毎日やって来ます。
先日の事、見てしまったのです。
私が洗濯物を干していたら、警戒もせずにのそのそとボス猫(最近気づいたのですが奇形でないスコティッシュ系かスコティッシュが混ざっている猫かもしれません)が足元近くを通り過ぎて、我が家のセミ猫がお気に入りのリビングの窓にスプレー行為をしていたのです。
さらについて行ったら、玄関にもやられました。
本当は窓を掃除すべきなんでしょうが、そうするとまたやってきてスプレーするでしょうし、平家で窓の数も多いので、窓外の掃除は保留しています。
しかし、家の中では別です。
その夜、お尻を震わせてリビングの扉にスッとお尻から汁を飛ばしたトンボ猫を見て、トンボ猫がスプレーすることに気づいたのです。
そういえば、散々外の猫が窓に近づくと吼えていたセミ猫が最近吼えません。
外から猫が窓に近づいてくると走っていきますが、黙って眺めているだけのようです。
まさか、セミ猫先輩が外猫を追い払わず、不安になっているのでしょうか。
そんな他力本願な。
真実は分かりませんが。
猫がよくやってくる風呂場の脱衣所を掃除して、浴室も大掃除して扉中拭きましたが、トンボ猫がボロボロにしている襖はもう諦めました。代わりに床拭き。
我が家はお世辞にも片付いているとは言えません。しかし、年末より頑張って掃除して、風呂場からカビ臭さが減りました。
猫は口実で、春が近づいてカビが気になっていたんですよね。使い倒して、掃除道具もだいぶ捨てました。それにカビが生えるので。
花粉症か黄砂か。
猫がクシュンクシュンやる問題も、掃除して、猫がいる時は換気しないよう気をつけて、セミ猫はともかくトンボ猫の鼻のむずむずは落ち着いてきたようです。
ただ、未だに部屋を暖かくしてもぎゅーっと丸まって寝ています。
我が家に上がり込んだその日にひっくり返って寝ていた猫だったのに。
安全な家の中にいるのになにがそんなに不安なのでしょうか。外生活によほどトラウマがあるのか。
トンボ猫は人間がいる時は昼間に寝ません。
ずっと人間を追いかけ回し、日が暮れたらソファで微睡み、朝起きると寝る前にはそばにいたセミ猫が場所を奪われて、トンボ猫が近くにいます。
トンボ猫は弱虫だけれど、家の中で一番下に順位づけされるのも気に食わないようです。セミ猫がほぼなんでも譲ってしまうので、トンボ猫が体格からして強そうに見えますが、いざとなれば滅多にないセミ猫先輩からの鉄拳制裁が飛んで来ます。
セミ猫は平和主義に見えて、縄張り意識の強い女ボスです。
ボス気質のないトンボ猫はどうしても弱い立場。
それでも夕飯の後に人間に構われているセミ猫先輩を薄目を開けて観察し、しばらくすると起き出して間に入ってきます。
しかし、追いかけっこ好きのセミ猫先輩と蹴りぐるみ好きのトンボ猫は趣向が合わず、短い時間じゃらし棒で遊んでもらった後はセミ猫先輩の追いかけっこに付き合う事になるのです。
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