「推しの子」見てみた 【猫様の嘴】
作者って読者に感想を求めているものでしょうか。名声を得た作品は、何も言われなくてもその成功が自明ですから、わざわざ感想を書いても無粋なのかなと思うわけです。読まれたら、それはそれで嬉しいかもしれませんが、いい作品が作れたらそこで満足して、結果はいらない人もいそうですよね?
原作を読まないと失礼だろうと思いつつ、全巻買う気力が続かないとAmazonプライムにおすすめされるまま実写を見てみました。そもそもヤングジャンプは、私が通って来なかった道でして、評判で想像していた通りのストーリーの重さだなと思いました。これをアニメで見るのはシュールすぎる。私は実写で終わろうと思います。
展開が怒涛の勢いなのは漫画原作ならではでしょうか。火曜サスペンスドラマも真っ青の重い生い立ちの人や複雑な人間関係しかありません。
ネットで見終わる前に先に原作のラストを調べてみたら、思った通りの報われなさでした。悲恋ではなく、惨劇。捻れた人間関係。すれ違い。ダークファンタジーでアニメで見た人の年齢層が気になります。ヤングジャンプですが、これを中高生が見ているなら、今の10代は恋愛に夢を見ない人が多いのかなと考えさせられました。10代の子どもたちの醜悪で歪な人間関係。
社会的事件を盛り込んだような描写もあり、メディアの手前味噌な点は当事者の心を抉るのではないかと思われます。事実とは違っても実際の出来事を彷彿とさせる点が、ファンタジーを逸脱しているでしょう。
面白いと語るには、哀しいドラマだと思いました。どうぞ、現実にはアイドル歌手の人たちを取り巻く環境がもっと夢と希望に溢れ、優しいものでありますように。
そして、復讐劇は成功しないものという王道ラストが受け入れられる世界が戻って来ますように。
メディアがメディアを否定して自嘲するのが、今のメディアミックスなんでしょうか。