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猫が魚に飽きた

最近、思考がうまくまわらない。
ぼうっと猫を眺めてばかりいる。
すると、猫は背中を向けてばかりいる。

「撫でてもいいよ、撫でなくてもいいけど」

猫の心中が読めるようになった。猫は優しい。
気づかい上手とはいかないけれど。

賢い猫は、他の猫の行動を見ている。
猫が2匹になり、新入りの麦わら猫はこの4ヶ月、よくセミ猫を観察していた。

トイレの場所も使い方もセミ猫のおかげで数日で覚えた。
今はセミ猫よりトイレの使い方が丁寧で、迷惑している。
ー丁寧すぎて、砂がうんちにたくさん巻き込まれ、砂の減りが速い。
ーどこに置いても、スコップを引き寄せて砂の上のうんちの”墓標”にするので、スコップの持ち手まで汚れる。

もっと正確に真似してくれたら良いのだが、良い影響を受けるばかりではないので、難しいところだ。
セミ猫のようにトイレの片付けを手伝いにきたら、足が汚れないようにするのが大変だ。
既に、掃除してからしかうんちをしなくなり、猫がトイレの順番待ちをして困っている。

そして、もっとも深刻なのが、トンボ猫が魚を食べなくなったことだ。
うちに来てすぐ人間用の魚を奪うという”お魚くわえたどら猫”をやってのけた。
セミ猫は人間のご飯に全く手を出さない。その猫らしい悪癖に食べ物の出し入れに人間がよほど気をつけなければならなくて、手間がかかっていた。
手を出さなくなったら喜ぶべきではないかと思われるかもしれないが、今でもテーブルの食べ物に手を出そうとするのである。隙あらば台所の流し台に乗ろうとする。

しかし、魚を焼いて皮を剥いで、身をほぐして皿に移してやったら一口しか食べなかった。
あの魚好きのトンボ猫が、魚を一口だけ!
これは、単に喜ばしいこととは言えない。

我が家には釣り好きの父が月に1回海釣りで釣ってくる魚が常に冷凍保存してある。以前は父用にひたすらフライにしていたが、トンボ猫が食べてくれることを前提に素焼きで冷凍した分がたくさんある。人間が食べてもいいが、うちは私以外ほとんど魚を食べない。偏食家族だ。
いつまでも魚が残っていたら、次の魚が来て、それだけで冷凍庫の一画が埋まってしまう。

トンボ猫がその魚を食べてくれると魚の消費になって助かる。一方で、魚に執着しなくなって人間のごはんに手を出さなくなれば、ごはんを狙うトンボ猫を見つけ出して、閉め出してごはんを食べる手間はいらなくなる。

どっちをとるかと言えば、人間との共存生活では後者が理想なのだろうなと思う。しかし、トンボ猫が釣った魚を食べるので、ウェットフード代はその分少し節約できていた
トンボ猫がセミ猫ばっかりウェットフードをやると絶対に横からとろうとたくらむのだが、トンボ猫が開けっぱなしでもケージに絶対入らないと分かってからは、セミ猫がケージにいるときに(セミ猫は扉を開けておけば勝手に入る)多めにウェットフードを食べさせていた。
それでも、最近はまたケージに自分から入ることができるようになり、フードを口にくわえてどら猫していたが、焼いた魚をおやつにもらった日はカリカリフードも食べてお腹いっぱいで、喧嘩してまでとろうとすることはなかった(そもそもセミ猫がじゃれ合い程度すら最近は喧嘩をせず、なんでも譲ってしまう。足も速いので、トンボ猫が殴ってきれもすぐに逃げて喧嘩にならない。しかし、追いかけっこをして遊んでいる様子を見ると力もセミ猫の方が強そうだ)。

セミ猫が焼いただけの魚を全く食べないので、ウェットフードの方がおいしいやつだとそれを見てトンボ猫が判断していた可能性はある
焼き魚は3日に1回以下しかあげていなかったが、同様にウェットフードもうちは3日に1回以下か多くて2日に1回だ。しかも1匹分を2匹で分けさせている。

早い段階でセミ猫とごはんの差に気づいて、同じカリカリフードなのに自分の目の前の皿でなくセミ猫の皿を奪うようになった。

「セミちゃんのごはんの方がおいしい可能性があるもん!」

トンボ猫の方の皿に多めにごはんをよそっても奪うので、私の余計な行動がかえって彼女に猜疑心を生んだのかもしれない。

二度焼の上、油や塩気をしっかり落とそうと焼きすぎて、毎回パサついていたから飽きたというより、本当に美味しくいただけなかったのかもしれない。
焼きすぎないように気をつけたら、またがつがつ食べてくれるだろうか。
いや、ウェットフードの方がそれでも猫には食べやすいことには違いがない。

ゆでた魚なら、食べるだろうか。やはり、油が抜けすぎてパサつくのか。生で冷凍した魚がもうないから、しばらく水煮を試してみることはできない。

味に飽きただけなら、そのうちにまた食べるだろう。

しかし、「この飼い主は魚の美味しい提供の仕方(猫にとって)を知らない」と思われたのだとしたら・・・

シェフの腕が悪いので、このレストランはもう来ない的なことなのか。
猫は、執念深い。嫌なことがあった場所をいつまでも覚えていたりする。

なぜ、良い影響だけでなく、悪い影響まで受けてしまうのだろう。なぜ、癖や習慣は生活の質を下げることまで身近なひと(生き物)から移ってしまうのか。
トンボ猫が障子の冊子で爪を研ぐので、最近セミ猫も真似をする。

魚を食べない猫が二匹。猫も現代っ子ってことがあるのだろうか。
「最近の子(家猫)は、焼いた魚を食べないのよー」
こんな話をしても、聞いている人が、猫のことだか人間のことだか分からない時代かもしれない。


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猫様とごはん
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