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我が家の庭の風景 part.147「空腹」

 朝起きるといつもお腹が減っている。朝ごはんを食べたい。けれども布団から出ると寒い。年が明けて、1月から猫にご飯をあげて、すぐに自分のご飯を準備することがなくなった。再び布団に入りたいのだ。

 夜は夜とて。最低気温マイナス6℃。0℃以下の夜。部屋を温めながら猫たちと身を寄せ合った。室内の猫たちは入れ替わり立ち替わり人の布団の上で横になっている。室内には4頭の雌猫がいる。目覚めるたびに違う猫が布団にいる。赤毛組が重い。白毛組はお互いに驚いて心臓に悪い。寝ぼけ眼でも見間違える事がないほど個性的な猫たちだ。見た目もそうなら、仕草も全然違う。母娘猫すら私に対する態度が全く違うのだ。

 三毛猫に朝方抗生物質の薬を飲ませなければならない。一錠を半分にして、砕いて混ぜるのが面倒くさいのでおやつのちゅーるに混ぜて半ば強引に口の中に封を切った袋を突きつける。おやつをもらうのは自分が一番最初と三毛猫は分かっている。他の猫たちは順番待ちだ。朝ごはんとお薬とおやつとナデナデとそうやって室内の猫たちに構っていると外猫が窓に来る。何にも構ってないのに、部屋の前の窓下の場所取りで争って喧嘩する。長毛の白猫が呼ぶように破けた障子の格子に頭を突っ込んで冬の曇天の薄暗い外に目を凝らす。窓を叩いて喧嘩をやめなければ外に出なければならない。寒い。面倒くさいと薄情な事を考えているうちに喧嘩がやむ。

 起きてすぐ、台所で料理を始めたら外猫たちは勝手口に来る。室内の猫たちは家の中が温まって早朝の見回りができる。早起きして人間が料理することは猫にとっていい事づくめだ。台所から追い出されても、風呂場の脱衣所の窓やリビングの大きな窓がある。寒そうだと、人間がまた追加で暖房のスイッチを入れるのであっちこっち動き回れると学んでいる。

 しかし、最近私は二度寝する。いや、起きていても布団から出ない。早朝の見回りができず、外猫も台所から灯りが漏れないので小さい声で暗いようと訴えて鳴く。そのうち外は明るくなる。雨が降っても夜から早朝にかけてよりは、昼間は明るく暖かいだろう。もう少し辛抱したらいいのだと、二度寝する私はやはり薄情だ。

 それにしても風邪ひき猫が室内の猫で、外猫が氷点下の早朝の薄暗がりを歩き回っているのは理解しがたい。玄関先の鉢植えの植物が萎れ、外のコンテナに適当に種まきしたハーブが元気に芽を出している。居着いた今年の猫が特別元気で、買ったコンテナの保温効果が特別高いのか。寒さに強い命があったものだ。耐寒性二重丸。

 とはいえ、春は恋しいもので外猫は空き箱をありがたがり、ハーブは芽を出したまま、あまり成長していない。二度寝する私は朝食を食べ損ね、起きたら猫たちは今更構ってほしくなさそうにふて寝している。空きっ腹に寒さがしみる。

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猫様とごはん
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