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 コーチのためのスポーツ心理学㉑PITCH !自身のメッセージも大切にする

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前回のブログでは、選手の話にしっかりと耳を傾ける「パワーリスナー」になることの重要性について紹介しました。しかし、良いコミュニケーションを築くためには、傾聴だけでなく、自分の伝えたいことを効果的に伝えるスキルも欠かせません。

今回は、自分のメッセージを明確に、かつ効果的に伝えるための5つの要素「PITCH」について解説します。

これらを意識することで、選手とのコミュニケーションの質を高め、指導の効果を最大化することができます。

PITCHとは?

PITCHとは、以下の5つの要素の頭文字をとったものです。

Productive(生産的)
Information(情報)
Timing(タイミング)
Consistent(一貫性)
Honest(信頼)

これらの要素を理解し、実践することで、コーチとしての伝達力を高め、選手の成長を促すことができます。

Productive(生産的)

伝えたいことを効果的に届けるためには、生産的なコミュニケーションを意識することが重要です。

ポイント

  • 簡潔に伝える:長々と説明するのではなく、シンプルで明確なメッセージを心がける。

  • 感情をコントロールする:怒りや苛立ちをそのまま伝えるのではなく、冷静かつ前向きなメッセージを発信する。

  • 解決策を示す:ミスを指摘する際も、問題点だけでなく改善策を示すことで、選手の成長を促す。

例えば、選手がミスをした際に「なんでこんなミスをしたんだ!」と責めるのではなく、「次はどうすれば改善できるか考えよう」と促すことで、ポジティブな学習体験を提供することができ、効果的なコミュニケーションの一助とすることができます。

Information(情報)

効果的な指導には、適切な情報を伝えることが不可欠です。

ポイント

  • 具体的なフィードバックを提供する:抽象的な指示ではなく、選手が具体的な行動につなげられるようなフィードバックを心がける。

  • 選手に考える余地を与える:すぐに答えを与えるのではなく、自分で考える機会を作ることで、選手の主体性を引き出す。

  • データや映像を活用する:SNSやデバイスを活用し、視覚的に理解しやすい情報提供を行う。

例えば、「もっと速く動け!」ではなく、「1歩目のスピードを上げるために、蹴り出しを意識しよう」と伝えることで、選手は具体的にどう動けばいいのかを理解しやすくなります。

また、すぐに答えといった情報を与えるのではなく、選手を観察する上で、ヒントとなりうる情報を提供し、選手自身が自分自身で考え、行動できるような機会を提供することも非常に重要です。

Timing(タイミング)

伝える内容と同じくらい、伝えるタイミングも重要です。

ポイント

  • 適切なタイミングを見極める:試合直後の感情的な状態ではなく、冷静になって話せる時間を確保する。

  • 即時性を活かす:フィードバックはできるだけ早く伝え、選手の記憶が新しいうちに学びにつなげる。

  • 公私を使い分ける:褒めるときは公の場で、批判的なフィードバックは個別で伝える。

例えば、試合後すぐに選手が感情的になっているときに指摘するのではなく、クールダウン後や翌日に冷静に振り返る時間を作ることで、より効果的なフィードバックができます。

Consistent(一貫性)

コーチが伝えるメッセージに一貫性がないと、選手は混乱し、信頼を失います。

ポイント

  • チームのビジョンや価値観を繰り返し伝える:一貫した指導方針を持ち、選手が迷わないようにする。

  • 判断基準を明確にする:選手にとってわかりやすい基準を設定し、それに基づいて評価や指導を行う。

  • 非言語コミュニケーションも意識する:言葉だけでなく、表情や態度も一貫性を持たせる。

例えば、ある日は「積極的に攻めろ」と言いながら、次の日には「リスクを避けろ」と指導するのではなく、「状況に応じた適切な判断をしよう」と一貫したメッセージを伝えることが大切です。

また、以前のnoteでもまとめているように言語と非言語が一致していることも非常に重要です。

Honest(信頼)

最後に、コーチと選手の信頼関係がなければ、どんなに優れたメッセージも伝わりません。

ポイント

  • 誠実な態度を持つ:選手に対して正直かつ誠実な態度を示す。

  • 選手の意見を尊重する:一方的に指導するのではなく、選手の意見や考えを聞く姿勢を持つ。

  • 信頼を積み重ねる:日々のコミュニケーションを通じて、選手との信頼関係を築く。

例えば、選手が不安を抱えているときに「そんなこと気にするな」ではなく、「どう感じているのか教えてくれる?」と問いかけることで、信頼関係を深めることができます。

また、こちらも以前にまとめている内容と重なりますが、自分らしさというものを表現するためにもコーチとしての哲学などを自身がまずは理解しているということが非常に重要になるのではないでしょうか。

まとめ

PITCHの5つの要素(Productive, Information, Timing, Consistent, Honest)を意識することで、コーチとしての伝え方が大きく向上します。

  1. 生産的に伝える(簡潔に、解決志向で)

  2. 適切な情報を提供する(具体的で行動につながるフィードバック)

  3. タイミングを見極める(適切な場面で伝える)

  4. 一貫性を保つ(ブレのない指導を心がける)

  5. 信頼関係を築く(誠実なコミュニケーション)

これらを実践することで、より効果的なコーチングが可能になります。選手との信頼関係を深めながら、成長を促す指導を目指していきましょう!

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