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コーチのためのスポーツ心理学⑫リーダーに求められるビジョン構築

↑これまでの「コーチのためのスポーツ心理学」はこちら↑

スポーツの世界において、成功するコーチは単なる戦術家や技術指導者以上の存在です。

そのようなコーチは真のリーダーであり、チームやプログラム全体を導く「ビジョン」を持っているとされています。

今回のnoteでは、コーチのリーダーシップの成長に必要となる能力の1つとして、効果的なビジョンの重要性と、それを構築・実践する方法についてまとめていきたいと思います。

個人的にはリーダーのためのという頭文字を抜きにしても、明確に自分のビジョンを語ることができるというのはすごく魅力的なことだと思います。

しかし、そのビジョンを語るにもそこにどれほどの影響力を持たせることができるかに関しては、今回のnoteなどでまとめている内容などを踏まえておくべきかもしれません。

是非、ご一読いただき、皆様のビジョン構築の参考にしていただければと思います。

ビジョンとは何か

ビジョンとは、現状を大きく超えた将来の願望や成果を描く能力だとさてれています。

それは望遠レンズと広角レンズを組み合わせたようなもので、遠い未来を見通しつつ、大局的な可能性を描きます。

例えば、ジョン・F・ケネディの「月に行くべきだ」という発言や、ウォルト・ディズニーがフロリダの湿地帯にディズニーワールドを思い描いたことなどが、壮大なビジョンの例です。

効果的なビジョン構築の3ステップ

リーダーとして効果的なビジョンを構築するためには以下のような3つのステップがあるとされています。

1.プログラムのあるべき姿のビジョンを描く
2.ビジョンを達成するために必要な文化と行動計画を策定する
3.ビジョンを実践し、それを実践するよう他者を鼓舞する

以下からは1つずつまとめていければと思います。

ビジョンを描く

ビジョン作成の第一歩は「なぜ」から始めることです。

なぜそれがあなたのビジョンなのかをまずは自身が理解し、言語化を行い、説明することができれば、選手たちを鼓舞することができるとされています。

リーダーシップコンサルタントのサイモン・シネック氏は、このことを象徴するような言葉を残している。

「人はあなたが何をするかではなく、なぜそれをするのかを買う」

これは「コーチング哲学」にも通じるところがあると思います。

まずは、自分自身で自分自身がコーチとしてどこに向かいたいのか、選手にどうなって欲しいのかといった明確なビジョンとその理由を持ち、自身がコーチングに関わるアスリートにしっかりと説明できる。もしくは、姿勢で示せることが重要になります。

ビジョンには、最終目標だけでなく、そこに至る道筋や予想される障害の認識も含まれます。また、既存の考え方や慣習に挑戦する勇気も必要です。

走り高跳びの「フォズベリー・フロップ」という飛び方を開発したディック・フォズベリーは、当初は嘲笑されましたが、粘り強く新技術を改良し続け、最終的にはオリンピック金メダルを獲得し、競技に革命をもたらしたとされています。

https://olympics.com/ja/video/fosbury-flop-revolutionises-high-jump

⇧「フォズベリー・フロップ」という飛び方⇧

今でいうところの「背面跳び」になるのかな?(素人にはそうにしか見えない)
むしろ今では、多くの選手が使っている背面跳びでさえ、新しい技術は嘲笑されていたんですね。

金メダルを獲得したという結果から流行ったのかもしれませんが、その跳び方が正しい理由、「なぜ?」を説明することができる理解力と言語化能力も必要となりますね。

ビジョンと文化・行動計画の策定

ビジョンを描いたら、次は具体的な行動計画と、それを支える文化の発展が必要であり、ここで重要となるのは、自身の本質的なリーダーシップスタイルとビジョンに基づいた計画を立てることです。

他のコーチの方法を単に模倣するのではなく、自分のコーチング哲学やリーダーシップの本質といったような核心的な価値観に基づいた独自の計画を作成することが重要であり、時には、現状を打破し、新たな基準を設定するための大胆な行動が必要になるとされています。

より具体的に言えば、100人中99人がそれは違うといっていても自身がそれでいいと考えているのであればそれを貫き実行するということ(それっぽくいうと「選択を正解にする」)が重要です。

これは様々な抵抗や不安を生む可能性がありますが、それらの抵抗や不安は、変化に対する正常な反応として受け止める認識を持つことが大切になります。

ビジョンの実践

ビジョンの成功には、リーダー自身がそれを体現することが不可欠です。

コーチは選手に求める以上のことを自ら実践し、模範を示さなければなりません。そしてそれは、言葉だけでなく、行動、姿勢、表情など、コート内外
関わらず、あらゆる面、状況においてビジョンを示し、「歩く」ことが重要です。

また、失敗に対しては個人的な責任を取り、成功は他者の功績として認めるという姿勢も大切だとされており、このような姿勢を持ちながら選手にコーチングを行うことがビジョンを示し、リーダーシップを成長させていく上では、重要だとされています。

確かに、ダイエットを管理してもらう栄養士やトレーナーがだらしないスタイルであったり、アパレル店員や美容師・エステティシャンなどが清潔感がないと、色々なことをアドバイスしてもらっても実行使用とは思いづらいですよね。

加えて、ビジョンの実践には、時間管理も重要なポイントとなります。

ビジョン実現に必要な集中力を維持するため、自分と選手の時間を効果的に管理し、優先順位をつけ、適切なタイミングに適切な順番でビジョンに向けた計画を実行していくということも重要です。

まとめ

効果的なビジョンは、単なる結果や個人的野心を超えた「なぜ」を含み、選手たちを鼓舞し、日々の取り組みがより大きな目標につながっていることを理解させるものでなければなりません。

デューク大学のマイク・クシジェフスキ・コーチが示すような

「勝利以上に、気品と誠実さを持ってプレーすること」
「プロセスを楽しむこと」
「自己認識と継続的な成長を重視すること」

などが真のビジョンの一例です。

コーチとして、あなたのビジョンは何ですか?

それはチームをどこに導くものでしょうか?

そして、なぜそれが重要なのでしょうか?

これらの問いに答えることで、真のリーダーへの第一歩になるのではないでしょうか。

正解はないことですが、自分なりに考え抜いて正解だと自信を持って言えるようなアクションを起こしていくことが必要ですね。

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