コーチのためのスポーツ心理学⑱信頼できるコミュニケーターになるには
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これまでのコミュニケーションにおける章では、コミュニケーションの重要性とその複雑性・それらに関わる自己成就予言といったコーチの選手に対する期待についてまとめてきました。
今回のnoteからは、良いコミュニケーターになるためのヒントについてまとめていければと思います。
上図が、コミュニケーターに求められる能力だとされています。
スポーツの指導において、技術や戦術の知識は重要ですが、それと同じくらい大切なのが選手との信頼関係を築くコミュニケーション能力です。
今回は、良いコミュニケーターとなるための礎となる「信頼性」についてまとめていければと思います。
本物であることの重要性
著名な神話学者ジョセフ・キャンベルは
という言葉を残しています。
この言葉は、コーチングの世界においても重要な意味を持ちます。
これまでのnoteでも少し触れていますが、成功した指導者の手法を学び、真似ることで多くの学びを得ることはできますが、真似をしただけでは成功することは難しいということは容易に想像できるでしょう。
それらも踏まえ、最も大切なのは、自分らしさを失わないことです。
選手たちは指導者の「本物の姿」に最も強く反応するとされています。
例えば、アメリカの女子サッカー選手カーリ・ロイドは、自身のコーチであるジル・エリスについて次のように語っています。
信頼関係が成績に与える影響
「本物であること」は、単なる理想論ではありません。
男子大学バスケットボールチームを対象とした研究では、コーチへの信頼度が高いチームほど、実際の勝率も高くなることが示されています。
シーズン序盤にコーチへの信頼度が最も高かった2チームが最も成功を収めた一方で、信頼度が最も低かったチームは、カンファレンスゲームでわずか10%程度の勝率に留まったという研究結果も残されています。
私自身も大学院修士1年時に、「コーチと選手の信頼関係」というテーマで研究をしました。
自身のアンケートを用いた研究では、大学生と対象としていて、当たり前と言えば当たり前ですが、学年が上がるにつれて信頼感は上がっていく傾向にありました。
色々な理由が考えられるとは思いますが、理由の1つとして互いの「本物」を理解できるからではないかと思います。
弱さを見せることの勇気
信頼関係を築く上で意外に重要なのが、「弱さを見せる勇気」です。
完璧な指導者を演じるのではなく、時には間違いを認め、謝罪することができる。そんな姿勢が、かえって選手たちからの信頼と尊敬を生み出します。
実際の研究でも、「偉大なコーチ」の特徴として、次のような点が挙げられています。
これは、言葉上では理解していてもそれを実行できるかできないかで大きな差があることだと個人的には感じています。
基本的に弱さを見せていい思いをすることはないですし、そもそも自身で自身の弱みを理解しておくということも非常に難しいのではないでしょうか。
また、弱さを理解していてもそれを利用して、自分はこういうことができないからこのようなことは選手で頑張って。という姿勢や態度はコーチのするべきことではありません。
まとめ
信頼されるコーチになるための第一歩は、テクニックではなく、自分自身を深く理解し、ありのままの自分でいる勇気を持つこと。そして、その真摯な姿勢で選手と向き合うことが、最も重要な基盤だということです。
技術指導やトレーニング方法は、書籍やセミナーで学ぶことができますが、「信頼されるコーチ」になるために最も必要なのは、自分自身と正直に向き合い、本物の関係性を築く努力を惜しまないことです。
コーチとして様々な戦術や知識を学んでいくことは重要ですが、コーチ自身が自分自身をしっかりと見つめ直す時間を設けること。そして、自分の長所や短所を自身で気づき、弱い部分も自分の今の現状としてしっかりと受け入れるということが重要です。
そういった意味でも、このコーチのためのスポーツ心理学シリーズ紹介している知識などを、まずは、コーチ自身が自身に応用していくことが大切なのではないでしょうか。
次回のnoteでは、良いコミュニケーターに求められる能力の礎のもう1つである「情緒的能力」についてまとめれいければと思います。
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