見出し画像

初学者が高校理科を学ぶには

今回は現在勤めている高校の生徒を見ていて思うことをつらつらと。

はじめに教科書ありき

今更ながら思う。
高校の理科を学ぶとき、まずは教科書を読み、内容を理解することがスタート。
たまに生徒から、いい参考書や問題集はないか質問に来ることがある。
しかし、初学者がいきなり参考書を買う必要はない。
なぜなら、教科書とほとんど同じことを記している参考書がほとんどだから。

1990年代の中頃に高校生だった私の時代と比べると、現在の高校の教科書は非常によくできている。
・カラー刷り
・単元ごとに本文の内容を図としてまとめたページがある
・本文中に問題があるだけでなく、その答えが後ろのページに載っている
・学びを深化させるための発展内容が載っている
といったように、参考書がなくてもいたれりつくせりの状態。
これほど優れたものだということを、どれだけの人たちが気づいているだろうか。
かくいう私も教員を続けている中で、改めて気づかされた。

「まずは教科書を読めるようになれ」
声を大にして言いたい。

理科は復習が命

その教科書も、結構高度な内容が記されている。
予習として教科書を読みこなし、内容を理解できたなんていうことがあれば、正直すごいと思う。
大げさかもしれないが、教員が授業する必要がないくらいだ。
だからこそ思う。
理科については予習は不要。
予習するにしても、教科書をパラッと見る程度でいい。
むしろ、理科の予習をする暇があったら、他の教科(特に英語など)に予習の時間を当てたほうがいい。

しかし、大事なのは復習。
先程も綴ったように、理科の教科書の内容は高度で、先生が一通り授業をしないと理解しにくいものがほとんど。
まずは、授業で先生の説明を聴く。
ノートやプリントでまとめる授業であれば、先生に倣ってまとめていく。
(訳がわからないと思ったら、動画を見直してまとめるのもよい。)
授業中にワーク等をする機会があれば、積極的に取り組む。
ただ、この時点で生徒が「わかった!」と思ったとしても、先生の立場からすれば、「わかったつもり」になっているにすぎないと思っている。
復習として、自分の言葉でまとめることができた時点で、「理解できた」というところに達すると私は思う。
では、どう復習するか?
授業で扱った教科書のページをもう一度読み直し、自分の言葉でまとめることが一番。
その際、教科書以外は何も見ず、先生の板書やノート・プリントに記されていたことを思い出すようにするとまとめやすい。
(できるだけ図にするのがよい)
自分の言葉で表せたところ=理解できたところで、そうでないところについては改めて教科書・授業ノート・プリントなどを見直してまとめ直す。
この繰り返しで理解が深まる。

「理科は復習が命」
事あるごとに口を酸っぱくして言わなければならない。

問題集の選び方

初学者にとって、問題集は薄っぺらい基本レベルのものがよい。
ただ、最近は詳しい要点まとめ+問題という構成のものが多いが、できるだけまとめのページは少なく、問題数が多いものがよい。
なぜなら、教科書や自分でまとめたノート・プリントを参考にすべきだから。
ただ、問題集については学校で指定されているものがあれば、それに繰り返し取り組むというのがベスト。
しかし、学校によっては、生徒の現状の学力は考慮せず、ここまでのレベルに達してほしいと思いから、難しい内容の問題集を副教材にするところがある。
私自身、こうした方針の学校で勤めたこともあるが、難しい内容の問題集では基本問題すら手が出ないという生徒が続出していた。
その際に、薄っぺらい基本レベルの問題集を買うとよい。
「これでわかる 基礎反復問題集」(文英堂)
「シグマ基本問題集」(文英堂)
なんていうのがこれに当たるかな。

それでも参考書が欲しいとあらば

先程も綴ったように、参考書は教科書と内容がほとんど同じというものが多い。
参考書というのは、教科書とは別の見方を示してくれるものだと私は思う。
そして、最近になって思う。
どうせ買うなら、ブルーバックス・Newton・岩波ジュニア新書・ちくまプリマー新書など、高校生でもとっつきやすい一般向けの本がよい。
これらの本に目を通してみると、教科書で扱っている内容でも、教科書に記されていない背景や、身の回りのこととのつながりがわかることもあるので面白い。
特にNewtonなどは、噛み砕いた文章や図で多用しているので感覚に残りやすい。
それで高校理科の学びを深められるのであれば申し分ない。

教員の役割は大きい

ここからは自戒を込めてつらつらと。
教員は授業を通して、生徒が自学自習できるようにすることが究極の役割だと思う。
ましてや、難解な内容が多い高校の理科においては、教員が良い授業をしなければ、生徒が自学自習できるようにはならない。
教科書を使って、その内容を生徒に理解してもらうのはもちろんのこと、学び方を伝えることも教員の役割だと思う。

いいなと思ったら応援しよう!