日記 20241119TUE
谷川俊太郎さんの訃報。
私の谷川俊太郎との出会いは「ことばあそびうた」で、3つか4つの頃のことだ。手元の本はすっかり古びている。散歩の途中、野の花を見れば「はなのななあに?」と思う。川沿いの道をゆくと、水に入らぬよう呼びかける河童の看板がある。「かっぱかっぱらった……」と口遊みながら歩く。
マザーグースも谷川版だ。繰り返し読み、その言葉とリズムで、私のマザーグースは構成されている。
好きな詩も多いけれど、中学時代、教科書に載っていた「朝のリレー」は様々な記憶と結びついており、飛び抜けて鮮烈である。眠れずに過ごしたとき、まだ暗いうちに目覚めたとき、しらじらと明け初める空を眺めながら「ああ、朝が送られてきたよ」と、この詩を思った。
そんな朝をどれだけ受け取り、送って来ただろう。そして、これからどれくらい、繰り返すのだろう。
谷川俊太郎が登場する向田邦子のエッセイ「続・ツルチック」も忘れられない。「ツルチック」の雑誌掲載が1975年のことで、「続・ツルチック」はその顛末記。講談社文庫なので、栞はマザーグースである。谷川の名前が登場するページに挟んである。
飛行機事故で時間が止まってしまったため不思議に感じるが、向田の方が幾つか年上である。対談も面白かった。
谷川が送った「ツルチュク」のトランプのジョーカーは、今もどこかに残されているのだろうか。
ずっとその行方が気になっている。