見出し画像

「流浪の月」凪良ゆう

2020年の本屋大賞受賞作。
忘れられない作品です。

【あらすじ】
突然ひとりぼっちになった小学生の少女更紗(さらさ)は、ある日公園で大学生の「文(ふみ)」に声をかけられる。とある事情で親戚の家に帰りたくない更紗は文に着いて行き、一緒に暮らすことに。平穏に暮らす2人だったが、世間では誘拐事件として取り上げられ、引き離されてしまう。
実際の2人の関係と世間から見たふたり。
この関係にどんな名前がついたら良いのだろう。それが作品の中で問われ続けます。

恋人、家族、友人。関係性に名前がなくても
一緒にいること。それがこんなにも難しいのかと愕然としました。でも、世間はこういう反応だよなとも思ったり。


ふと昔、妹2人でパリ旅行に行ったことを思い出しました。
親戚が住んでいるため、お世話になりながら自由に過ごしていました。モンサンミッシェルに観光に行く際、日本人観光客のバスと一緒になりました。その瞬間私は意外にも少しだけ息苦しくなりました。母国語に包まれ安心するかと思いきや、違いました。それはお互いを細やかに感じ合う空気でした。日本は大好きだし、住むのはここだと思っていますが、良くも悪くもお互いの意識が濃いなと感じました。
おもてなしや気配りの心は細かく気づかなければいけませんが、その分関心が強い事にもなります。
それがまとまれば世間となり、この物語の2人へ集中する目や声になっていくのでは…などと考えてしまいました。

物語としては、もどかしく、息苦しいけど、最後まで読むとどこか新たなスタートを切った気持ちになります。私は何度も読んでいて考えさせられるし、大好きな作品です。
ぜひ、読んでみてください!

いいなと思ったら応援しよう!