【音楽】「Echo」タリスク

ランニングしているときによく頭に浮かんでくる曲のことを時々書いていますが、スコットランドの3人組バンド・タリスク(Talisk)のこの曲「Echo」も、そんな中のひとつです。

スコットランドやアイルランドには、「トラッド」と呼ばれる昔からの音楽が今も根強く息づいています。映画『タイタニック』でアメリカに向かう船の下層階の乗客たちが歌い踊る音楽もそうですし、セリーヌ・ディオンが歌う主題歌にも、ケルト音楽とも呼ばれるこの地域独特の旋律が取り入れられています。

タリスクもそんな伝統を受け継ぐバンドですが、彼らが奏でるメロディは、普段ポップスやロックを聴いている人にも受け入れられやすいものではないかと感じます。昨年行われた来日公演の紹介ページを見ると、どんな人たちなのかがつかめるはずです。

彼らの曲は、歌のない楽器のみの演奏が基本です。ギターとフィドル(小型のバイオリン)、そしてコンサーティナという小さなアコーディオンという生楽器のシンプルな3人編成ながら、生み出される音は分厚く疾走感があります。特に、上で紹介した「Echo(エコー)」は圧巻です。Apple MusicやAmazon Musicにも入っていますが、演奏している姿をYouTubeで見ると、その技術の高さとアツさがより伝わってきます。

私はランニング中には音楽を聴きませんが、気に入った曲、走っているときの心境に合った曲は、ふとした時に頭の中にポコンと浮かんでくることが結構あります。「Echo」が浮かんでくるのは、頭の隅にちょっとした高揚感の種のようなものが生まれた時が多いように感じます。あるいは、心を奮い立たせたいという気づかぬ思いが先にあって、それがこの曲と結びつくのかもしれません。

静かな出だしからコンサーティナを中心にクライマックスに向かっていくこの曲の盛り上がりが私は好きなのですが、ランニングで疲れ切っているようなとき、「次のエイドまでもう少し」とか「ゴールまであと〇キロ」といったスイッチが入るときと、この曲が頭の中で流れるのが同じようなタイミングになることが何度もありました。私にとってのランニング時の応援歌のような曲です。と同時に、生楽器で流れるような旋律やグルーヴを生み出す彼らの音楽は、シンプルでリズムよく自在、とでもいうのでしょうか、まさに自分が「こんな走りをしたい」と目指している方向性にあるものでもあります。その意味でも、私はこれからずっと長い間、タリスクの音楽に触れていくことになると思っています。


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