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オーディブル(Audible) で最近聴いた本

AmazonのオーディオブックサービスAudible(オーディブル)。元々は英語を楽しみながら学ぶために細々と利用していました。それが今年の冬、決められたラインナップ内での聴き放題形式に変わったことで、日本語の気になる本を聴くという使い方をするようになりました。

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』、凪良ゆう『流浪の月』など、図書館で借りようとしたらすさまじい数の予約者の後ろに並ばなければならないような近著の話題作。それがオーディブルだと、すぐに聴くことができるのです。本好きだけどかけられるお金はあまりという者にとって、これはすごくありがたいサービスです。

最近は、借りている小さな菜園で作業をするときに聴くことが増えてきました。周りにほかの人がいないときは、イヤホンでなくスマホから直接音を流して聴きます。収穫や雑草取り、水やりなど、手と目は農作業をしつつ、空いている耳で聴いています。

6月に一度、オーディブルのレビュー記事を書きました。今回はその後に聴いた本のことを書きます。

最近聴いた本


●平野啓一郎「空白を満たしなさい」上下巻
平野さんは、気になっていたけど読んだことがない作家の1人でした。死んだはずの主人公が生き返るという非現実的な設定から始まる話でありながら、生と死、自ら死を選ぶとはどういうことなのか、といったことを考えさせられる作品でした。「面白い小説は、オーディオブックでも、先が知りたくてついつい夜更かししてしまう」ことを体感した小説でもありました。

●澤田瞳子「星落ちて、なお」
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・河鍋暁雲の娘である「とよ」を主人公に、移りゆく世の中で絵師として生きていくことの葛藤などを描いた作品。歴史小説といっても、明治や大正の話となると、どことなく今の世とも地続きなところがある気がします。戦国大名や剣豪などを扱ったものとは、また違うのです。河鍋暁雲のこともその娘のことも知らずに聴きましたが、これも続けて夜更かししてしまうほど面白い作品でした。

オーディオブックでときに残念に感じるのは、人名などで音声だけでは「漢字がわからない」ことがしばしば起きる点でしょうか。今とは違う名前が出てくることの多い歴史小説では、特にその傾向が強まります。作品の概要を文字で読むなどして、主要な登場人物だけでも漢字表記を頭に入れておくとよいかもしれません。

●Mark Twain「The Adventures of Tom Sawyer」(トム・ソーヤー の冒険)
英語で読み上げられる本は、日本版オーディブルの聴き放題プランに含まれないものが多いですが、昔の名作など一部は聴き放題の枠内で提供されています。その中で聴いてみたのがこれ。子どもの頃、日本語に翻訳された本を何度も読みました。

私の語学力だと、英語の本は聴くのに集中力が必要で、それでも聞き取れない箇所が沢山出てきます。それでも、聴いていると「そうそう、こんなエピソードがあったな」と昔の記憶が甦ってきます。子どもの頃夢中で読んだ翻訳本のオリジナル英語版をオーディブルで聴くのは、楽しみながら英語を学ぶよい方法だと思います。

●山口周「武器になる哲学」
小説以外も聴いてみようと思って試したものの中で面白かったのがこれ。哲学者として著名な人だけでなく、他の分野の開拓者として知られるレヴィ=ストロース(文化人類学)やソシュール(言語学)、また近年のナシム・ニコラス・タレブ(反脆弱性)なども取り上げている幅広さがいいなと感じました。

ただ、一度聴いただけで頭に入ったとはとても言えません。と言いつつ、聴くと10時間近い作品を何度も聴き返せるかというとそれもなかなかできません。このあたりが、「しっかり内容を理解したい本」を聴くときの難しさかもしれません。

これから聴きたい本

最近、オーディブルで日本語オーディオブックのラインラップが急速に増えています。例えば、村上春樹さんの作品が冬にかけて続々とオーディブルの聴き放題プランで聴けるようになっていきます。今村翔吾さんの作品も少しずつ入ってきています(こちらは、聴き放題対象外のものもあります)。

夏目漱石「坊ちゃん」がそこそこ面白かったので、漱石のほかの本も聴いてみるつもりです。小説以外では、理解できるかわかりませんがジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」も、聴いてみたい本のひとつです。

一冊あたり聴くのに5-10時間、長いものはそれ以上かかるので、どうしても読むよりペースは遅くなります。急がず、自分のペースで聴いていくつもりです。

オーディオブックは、実際に試してみないとなかなか雰囲気がわかりづらいものだと思います。オーディブルの「3ヶ月無料キャンペーン」は終わりましたが、いまでも「初回登録時、30日無料」は継続中です。興味がある方は、見てみるとよいのではないでしょうか。



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Sampo(山帆)
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