日韓の狭間で~国籍とアイデンティティ
昨日、「小学校1年生のクラスで国際理解教育」をしました。その中で取り扱った「国籍とアイデンティティ」の問題について、私はあまり当事者ではありませんが、私が思っていることについて書いてみたいと思いました。
私の名前の由来
私の名前は、現在「ユン有子」ですが、旧姓は日本の姓です。
まず、私は、日韓国際結婚カップルの中で、日本の姓を夫の韓国姓に改姓している日本人妻には、1人も会ったことがありません。
改姓するという結婚文化は韓国にはないので、改姓するとなると手続きが面倒で、
(手続きが可能であることを、つい最近、初めて知りました。)
韓国で行政手続きを行う際、同一人物確認ができないことで、か・な・り、不利益を被ってきました。というか、不利益を被っている夫と息子に現在進行形で文句を言われています。
では、なぜそこまでして、改姓したのか?
それは、ズバリ
結婚して夫の姓を名乗るのに、あこがれていたからです(←当時22歳)
理由は、そ・れ・だ・け です。
ですから、今から書く「私の名前の由来」というのは、全部、後説ですので、そこは、差し引いて、読み進めていただければと思います。
名前~ 自分のアイデンティティを表すもの
さて、日本で、私が「ユン」を漢字表記ではなく、カタカナ表記にしているのにも理由があります。
最初は、何も考えず、「尹有子」と表記していたのですが、在日の方のお名前だと思われがちで、
韓国語読みで「ユンユジャ」と発音される事が多いのに気がつき、私は日本語読みしてもらいたいので、
「私は日本人で、日本の結婚文化に則って、夫の姓を名乗り、国際結婚なので姓はカタカナなんですよ。」という身分を明かしているつもりで「ユン有子」と通称表記することにしたわけです。
が、この名前は、結婚後の自分のアイデンティティや、
日本と韓国に対する私の在り方を表すのに良い役割を果たしてくれています。
ある韓国人のお母さんとのやりとり
とある子育てセミナーで、在日韓国人のご主人と結婚され、日本に嫁いでこられた韓国の方で、私を在日韓国人だと認識されたある方が、セミナー後の個人メッセージで、こんなことを質問してきてくださいました。
それに対して、私は事実として次のように返事をすることしかできませんでした。
その後、そのお母さまから、
と、お返事を頂きました。
私は在日韓国人ではないので、当事者の葛藤や戦いを垣間見せて頂くことはあっても、心の内は理解することはできません。
しかし、日韓両国にまたがって生活していますと、双方の敵意にさらされるということは経験します。
海外で生活している時に、自身のルーツである「日本」の悪口を韓国で言われると、別に自分個人の悪口を言われたわけではないのに傷つきます。
日本で生活している韓国の方もそうだと思います。
私の考えでは、そのようにしてルーツを傷つけられることが多いと、
自己防衛反応として、「自分のルーツは自分で守らなくては」という強い執着のような使命感が芽生え、子どもは、それを敏感に感じ取っているので、親と親が大事にしているものを純粋に守ろうとするのだと思います。
自分が日本人になってしまったら、お父さんを捨てることになるのではないか。
自分が韓国人になってしまったら、お母さんを捨てることになるのではないか。
子どものアイデンティティの葛藤は、そんなところからも来るのではないかと思っています。
私は自分の名前を、何のこだわりもなく韓国姓に変えました。
それは、私が「日本人だから」ということで攻撃されたことがなかったので、こだわりを持つ理由がなかったからです。
私は息子に日本名はつけませんでした。
それは、息子が「韓国人だから」ということで攻撃されるということを心配したことがなかったので、その必要を感じなかったからです。
当時、私は世間知らずで、何も心配せずに名前を決めてしまいました。
でも、それで良かったと思っています。
これからを生きる次世代の子どもたちには、その負の遺産を継承してもらいたくないです。
「ユン有子」を名乗り始めてから、18年になり、もうじき、旧姓を名乗っていた時期を追い越します。
私は、日本人として育ったという自身のアイデンティティを保ちつつも、
自分の内側にはない「韓国のアイデンティティ」を自分の名前に後からくっつけ、
両国の間で生きていくという親としての決意を「ユン有子」のうちに込めているつもりです。
一方、日本国籍を選択した息子は、おそらく、韓国名だけで生活することになるでしょう。
二重国籍が認められていないので、それは仕方ありませんが、日本国籍と、名前が表す韓国人としてのアイデンティティの「両方」を有していることが、彼の強みになればいいと思っています。
そのように私が思えるのは、私が日本人だからといって傷つくことがないよう、韓国で守られて生活していたからだと思っています。
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次に投稿する記事は、私が数年前に書いたものなのですが、
2つは同時に読んで頂きたいものなのですが、よろしければ、そちらもリンクして頂ければ嬉しいです。