キャッシュレス後進国ドイツ
先日、カナダから引っ越してきた友人が言ったひと言。
「私、現金を持つ習慣をつけないと…」
キャッシュレス先進国からやってきた彼女は、ドイツでの支払い時において現金を持参していなかったために困ったことが多かったのだ。
時代の流れに逆らっているようなひと言だが、そう、ここドイツは日本同様、いまだに現金大好き国である。
野村総合研究所のキャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識内、諸外国におけるキャッシュレス比率の変化とキャッシュレス化進展の施策例を見て驚いた。
【キャッシュレス比率】
07年 16年 07-16年
①韓国 61.8% 96.4% +34.6%
②イギリス 37.9% 68.7% +30.8%
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⑩日本 13.6% 19.8% +6.2%
⑪ドイツ 10.4% 15.6% +5.2%
(参考:諸外国におけるキャッシュレス比率の変化とキャッシュレス化進展の施策例)
ドイツの欄には『現金志向が強く、キャッシュレス化進展せず』という記載があった。
先進国である日本とドイツのキャッシュレス化が遅れているのは、とても興味深い。
海外旅行に行くなら持って行くと安心といわれる「クレジットカード」も、ここドイツでは使用できる場所がかなり限定されている。
(出典:www.welt.de)
これは、weltに掲載されていた、アメリカ人とドイツ人の支払い方法を比較したものである。
ドイツ:現金53%、デビットカード29%、クレジットカード4%
アメリカ:現金23%、デビットカード27%、クレジットカード28%
ドイツ人のクレジットカード支払い率は、たったの4%。いかにクレジットカードでの支払いが少ないかがよくわかる。
2016年European Central Bankの調査によると、ドイツ人お財布の中の現金平均額103ユーロ(約1万3000円)、ヨーロッパ諸国の平均65ユーロ(約8000円)よりもはるかに多い。(為替レート:2019年2月23日現在)
(出典:www.welt.de)
こちらは、現金払いの理由を表にしたものだ。
なぜ現金で支払うことを好むのかという問いに対し、
1.管理のしやすさ
2.カードでの支払いよりも簡単
3.カード払いよりも信頼性がある
4.カードで支払うよりも速い
という結果であった。
2年ほど前にわが家はアイルランドへ旅行した。
ショップで、デビットカードやクレジットカードで支払いをした際、レジにあるカードリーダーにカードをピッとかざして支払いができた。
「何これ?これで支払い終了したの?」と、異常なあまりに不思議がる私たち夫婦は、アイルランドの店員さんたちにとって、まるで遠い過去から来たかのような怪しい2人だったかもしれない。
あれから数年後、やっとドイツでもカードをかざして支払いができる店が増えてきた。
ピッとかざすだけの支払いは、簡単であり、現金に比べて速やかだ。表にある2番と4番はカバーされる。
ただ、このピッとかざすだけの支払いに、ドイツ人が信頼性をどれほど感じられるかが問題になってくるのだろう。
しかしながら、少なくともドイツにもキャッシュレスの波が訪れているように感じる。
下記は、2018年2月15日付CNNの記事の一部である。
ドイツにもキャッシュレス化の波、現金取引が初の過半数割れ
ロンドン(CNNMoney) ドイツで行われた支払いのうち現金が使われた割合が半分を割り込んだことが15日までにわかった。ドイツ連邦銀行(中央銀行)の調査で明らかになった。独連銀によれば、現金での支払いが過半数を超えなかったのは初めて。(出典:CNN.co.jp)
ゆっくりとではあるが、人々のカードに対しての意識に変化が見られるのも事実である。
街中にピッという音が響き渡る日が来るのも、そんなに先の話ではないかもしれない。今後のドイツにおけるキャッシュレス化がどのように進んでいくのかが楽しみでしょうがない。
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