Some thoughts about "diversity"
パースで年越しして、元旦にレンタカー借りて、時間かけて周ったつもりだけど、オーストラリアって広い。まだまだ見足りない、やり足りないことが一杯です。
ヨーロッパがすっぽり入ってしまうサイズの大陸ですから、当たり前ですが、本当に見所一杯の国です。特に今回訪れたWesternAustaralia(WAとみんな呼ぶ)は海外観光客の比較的少ないエリアかもしれません。
感覚としては「アンダルシアを車で回った」とかでしょうか。キャンベラは「ローマに寄った」とか。それくらい気候や距離が違うのに同じ国なのが、大陸国家に慣れない私にはビックリです。
山道を歩いている時、車で移動中の時、空港でフライト待ちの時、などなど、色々考える事があります。
一番よく考えるのは多様性、ダイバーシティと国家です。
私自身が英国で少数民族としての暮らしていて、「多様性を受け入れる社会」の恩恵にドップリ浸かっているせいかもしれません。
オーストラリアとニュージーランドは旧英国領で、現在もコモンウェルスの国々の一員です。
私の旦那さまの肌感によると、「オセアニアの国は兄弟、カナダはいとこ、USAは同じ言葉を話す隣人」くらいの感覚らしいです。日本には同じような国がパッと思いつかないので、ピンときませんが、実際大多数のイギリス家庭にはオーストラリア人とニュージーランド人の親戚がいます。
何が言いたいかというと、オーストラリアとニュージーランドは、距離はめっちゃ離れているけど、すごくイギリスに近い国、って事です。たぶん、オーストラリアやニュージーランドの人も、英国は近い存在なんだと思います。
さて、地図を広げてみるとオセアニアはアジアにとても近いです。インドネシアはオーストラリアにニュージーランドより近い。
今回の旅で、特に都会はアジア人が増えたなぁと感じました。私がワーホリしていた1998年のクライストチャーチでは海苔が手に入らず、韓国海苔で手巻き寿司をやって美味しかった記憶があるんですが、今や「Sushi」屋はほとんどの通りに一軒はある、っていうくらい乱立していてびっくりしました。まぁ、25年前と比べてるんですから当たり前ですが。。。
ニュージーランドではマオリの文化をよく目にしました。国名を「Aotearoa New Zealand」と表記していることも多く、各都市の名前もマオリ名が先に書かれていました。サクッと調べると、国民の約18%が自身のアイデンティティを「マオリ」と認識しているとか。混血も多いので、家族にマオリがいる家庭も多いはずです。実際、街でマオリを見かけることがよくあります。
マオリは千年ほど前にポリネシアから渡ってきたと言われています。ニュージーランドの学校ではマオリ語を教えていたりして、ニュージーランド人としてのアイデンティティ確立に一役買っている気もします。
ただし、ネガティブな側面としては、「なんで5分の1の人口ばっかりフォーカスされるの?」っていうところでしょうか。
ウェリントンのテパパ博物館にはマオリの文化や歴史を学べる展示が多くあり、とても素晴らしいんですが、イギリス系ニュージーランド人の友人は、「マオリのことばかりで、大多数のヨーロッパ系移民のことはちょっとしかない。非常に政治的。」という批判的コメント。
「人生はバランスが大事」と、どこかで聞きましたが、政治もまさにバランスをどう取るか、と言うのが仕事のような気がします。
多様性を受け入れる社会に、否応なく向かっている私達ですが、その変化がもたらす物は何なのか。良い物もあれば悪い物もあるでしょう。さらに、誰にとっての「良」「悪」なのでしょうか。「ここまではいいけど、これ以上は行き過ぎ」と、誰が決めるのでしょうか?
オーストラリアもアボリジニの文化に焦点を当てた展示、企画、言葉など、いたる所で見られます。こういった民族的な物事に、もっと意識的になろうというのが現代の風潮だとも言えます。
オーストラリアの歴史には少数民族を排他的に扱う政策の時代があり、アボリジニに対する処置はマオリとは比べ物にならないくらい過酷でした。よく知られているのは「ストールンジェネレーション」という、子供を強制的に親元から離して生活、教育するというプログラム。私は、随分残酷なことをしたと思いますが、当時はそれが「正しい事」と信じられていたわけです。これを思うと、今現在、私が生きているこの時代でも「正しい事」と疑いもせずしている行為があるだろうと思うのです。しかもそれは私が気づくことがほぼ不可能なんだろうなとも思うわけです。
私の好きなポッドキャスト「The Rest Is History」のオーストラリアの首相シリーズを聴いて見ると、何故、白豪主義など行っていたのか、なんとなく分かるような気もします。
旅のおかげで、少し南半球から世界を見ることができたかもしれません。
長い文になりました。読んでいただきありがとうございます。
次回はもっと軽く「WA旅行記」を書きたいと思います。