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【経営を学び直し】幸之助イズムを学びにパナソニックミュージアムへ♯109

ものづくりの国、ニッポン。
イギリスに住んでいたときは、「産業革命を巡る旅」「第二次世界大戦を巡る旅」といったテーマのもと、ヨーロッパを旅することが多かったが、日本に戻って来てからは、日本のものづくりをテーマにしながら、企業のミュージアムを訪れている。その点で、東海地方のものづくり系ミュージアムの充実っぷりは言わずもがな、ではあるけれど、私が住んでいる関西にもおススメしたいミュージアムがある。

その中の1つ、昨日は、大阪門真市にある、パナソニックミュージアムへ。

パナソニックミュージアムは、創業者・松下幸之助の経営観、人生観に触れられる「松下幸之助歴史館」、パナソニックのものづくりのDNAを探る「ものづくりイズム館」に分かれている。

先日、1970年の大阪万博を振り返るべく、万博公園に訪れた際、子供達が当時話題になった人間洗濯機が見たいと言う。私も山口周さんの『ビジネスの未来』を読んでいた際「人間洗濯機」に関する言及があったので、見てみたいと思っていたところ、それがパナソニックミュージアムに展示されていることがわかり、訪問に至る。

松下幸之助の経営哲学、起業家精神を学べ、ナショナル、パナソニックの懐かしい家電も見れ、豊かさの変遷、時代の価値観の変遷が辿れる施設。
無料なのにものすごく見ごたえがあった。
なのに、めちゃ空いてる!土曜の昼間に訪れたのに、10台しかない駐車場に全然車が停まっていないっていう・・・京阪西三荘駅から徒歩2分でアクセスも良いのに・・・
数週間前に訪れた、日清のカップヌードルミュージアムなんて、オリジナルカップヌードルが作れるからって朝っぱらから激混み状態だった・・・そういう点から考えても、パナソニックミュージアム、むちゃくちゃ穴場だと思う。

ものづくり館

まずをもって、家電の変遷を見ているだけで面白い。家電=生活に根付いたものだからこそ、時代の変化がありありとわかる。
私が幼少期~学生時代に使っていたテレビデオ、CDラジカセetcには「懐かしい~」の連発。友達とラジオ番組つくるのに、録音ボタンと再生ボタンをW押しして、録ったなぁとか当時の思い出がありありと蘇る。テレビデオが憧れだったこと、カセットじゃなくMDが欲しかったこと、当時、何が豊かさ、かっこよさの象徴だったのか、家電を見ていると、思い出す。
また、その観点から100年スパンで、家電の変遷を辿ってみても面白く、家電やそのCMって時代を象徴しているんだな、と改めて感じる。
例えば、今や共働き家庭が多いので、男性が家事参画することも増えてきた。西島秀俊やオードリーの若林など男性タレントも家電のCMに起用されているが、かつて愛妻号という名の洗濯機があったそうで、まず、ネーミングの「愛妻」にもびっくりだが、このCMにも驚いてしまった。
CMには三田佳子が登場。新幹線で単身赴任の夫の家に家事をしにやってきた妻の設定。部屋は散らかっており、洗濯機の上にも放置しっぱなしの汚れ物が溜まっている。それを愛妻号にぶち込みながら「もう、私が居ないとダメなのね」と誇らしげに一言。しかし、同時に「CLUB 青葉」と書かれたマッチを洗濯物から見つけて、ムスッとするシーンがオチ。
いつの時代のCMやねん!!と思ったら、普通に自分がもう生まれていた時代だった・・・!!そうか、30年前はまだこんな時代だったっけ。
今なら、多くの女性が共感するのは、
「私が居ないとダメなのね」
ではなく「なんで、こんなことまで私がしないといけないんだ!」の怒りの一言ではなかろうか・・・「愛妻号」今ならきっと炎上する・・・当時は「夫を支える妻」「家族を支えることで自分自身の存在意義を感じる女性」が大半の時代だったんだな、と価値観の変遷をしみじみ感じてしまった。(←ちなみに、そのような考え方の女性を批判するわけでは一切ない。ただ、その割合が変わったことに時代の変化を感じている。)

松下幸之助歴史館

こちらは松下幸之助の経営哲学、起業家精神を学ぶのに、とってもいいミュージアム。「松下幸之助のことば」なるリーフレットも、貰える(しかも、上質な紙で)。パナソニックは創業100年が経つが、創業者の松下幸之助は、当時から経営の透明性や社会的責任、会社のビジョン、ミッションを唱えている。平成元年に94歳で亡くなられているが、現代にも響くこの「松下幸之助のことば」は大変参考になる。
例えば、今もよく言われるネガティブケイパビリティについて、松下幸之助は『即断即決と同時に慎重さも必要』という言葉で語っている。
『事にあたって即決を尊ばなければならない。躊躇逡巡しておったならば仕事はやれない。』と言いつつも、幸之助はたった三行の新聞広告を考えるのに、まる三日費やしたとのこと。『(即断即決したことを)遂行するにあたって、いかに慎重さを要するかということであります。この両者、相矛盾した二つのものを合理的に結びつけていくということが、現実的に非常に大切なことではないかと思うのです』という言葉を残している。
時代は変わりつつも本質的に大切なことは変わらないということなのだろうか。ここで、幸之助の言葉に触れていると、改めて襟を正されるような、そして「働くとは」「企業活動とは」「人生とは」の本質に向き合える。


余談だが、「あなたにとっての”やるしかない”は?」というお題でミュージアム来館者が書き残すメッセージボードがあった。
5歳の娘が「書きたい」と言って、何を書くのだろうと思ったら

「はただく」 ※「はたらく」(笑)

と一言。
「ママみたいに働きたい」と言ってくれた。
普段、幼稚園の預かり保育では淋しい思いをさせているし(だいたいの子供が帰ってしまう16時を過ぎると早く迎えに来てくれと懇願される・・・)
どこか仕事で成果を出し切れない自分にもどかしさを感じているけれど、娘がそんな風に言ってくれることが嬉しかった。
30年後、娘が働いているのか、結婚してるのか、出産しているのかはわからないし、子どもがやりたいようにやればよいとは思うが、「やりたいことを諦める」母の姿ではなく、「やりたいことを諦めなかった」母の姿が、未来の娘をエンカレッジする材料になるよう、頑張ろう。

ものづくり館にあった松下幸之助の言葉。

「ぼくは婦人を解放したんや」
私は家庭電器器具をつくって普及し、今日、日本の婦人は遊ぶ時間もできた。楽しむ時間もできた。本を読む時間もできた。

松下幸之助

とある。
当時、女性は「家事」から解放され、娯楽の「消費者」になることが画期的だったのかもしれない。
ただ、今や、女性が、「消費者」だけではなく、社会に価値を提供する時代にもなっている。
家電がそれを支える一つの要素になっていることが改めて実感できた。
「やりたいことを諦めない」
そんな母の姿を娘にも見せられるよう、これからも家電を使わせてもらおう。

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