【おうちで台湾ごはん】vol.4:「台湾とろみ醤油(醬油膏)」を日本の材料で作る簡単な方法
前回「チーズダンビン(起司蛋餅)」のタレとして登場した「台湾とろみ醤油(醬油膏:ジャンヨウガオ)」の自作方法を書きます。私自身はずっと台湾で買ってきたものを使っているのですが、「ちょっと試してみたい」という方のために(そして自宅在庫が切れた時のために)今回初めて手作りしてみました。
試作のプロセスや説明をすっ飛ばす場合は、目次の【5】からどうぞ。
【1】台湾とろみ醤油「醬油膏」とは
醤油を甘くして、とろみをつけた調味料です。
日本の醤油と比較すると、台湾の醤油は①大豆ではなく黒豆が原料の場合があり、②日本の醤油より塩気がひかえめです。
台湾の黒豆醤油についてもう少し知りたい方は、以前書いたこちらの記事をどうぞ。
【台湾の醤油の種類についてもう少し】
日本と同じく台湾の醤油にもたくさんの種類があり、スーパーに各種並んでいます。価格も数倍の差があります。
●「醤油」と書いてあるもの・・・大豆(中国語は「黃豆」)が原料。安いものはタンパク質を化学的に分解させたもので、5~7日でできる。
●「黑豆醬油」「蔭油」・・・台湾の伝統的な醤油で、黒豆が原料。昔ながらの醸造法を守る老舗醤油メーカーでは4~6ヶ月以上天日のもと甕の中で熟成させて作られ(この熟成作業を「蔭」ということから)「蔭油」と表示されることが多い。
●「壺底油」・・・伝統醸造の「蔭油」の壺の底に沈殿した部分を、一年以上熟成させた醤油。風味が高く、その分高価(なので小瓶で売られていることが多い)。
【2】「醬油膏」の材料は、醤油+砂糖+とろみづけ粉
今自宅にある醬油膏の原材料表示にはこう書いてありました。
①大豆、黒豆、食塩、②砂糖、③小麦、もち米
あとは、増粘剤のキサンタンガム、着色料のカラメル、乳化剤など。
「醤油を甘くして、とろっとさせたもの」が「醬油膏」。
なので、材料は①醤油、②糖分、そして③とろみをつけるための粉(+水)です。
台湾のお母さんはこんな風に作ってます。1分55秒の動画です。こういうダイナミックなのが家庭料理ですよね。好きだ・・・。材料は「水、醤油、片栗粉、砂糖、塩」とのこと。この動画ではそれぞれの分量はわかりません。
【3】日本の材料で作る時の材料の検討
醬油膏はごくありふれた調味料で、台湾のスーパーにいくらでもあります。なので手作りする人は少ないようで、ネットで検索しても台湾人による醬油膏の手作り情報は数えるほどしかありませんでした。
今回は、醤油は日本の普通のもので。糖分も、普通の砂糖でいいでしょう。私はきび砂糖を使いました。うちには上白糖がなくて、きび砂糖か黒糖かグラニュー糖しか常備していないからです。台湾の醬油膏では砂糖に加えて甘草を使う場合もありますが、これは省略。
「何の粉でとろみをつけるか」については、候補が複数あります。
本来は「もち米粉」です。日本でいうならもち米が原料の「だんご粉」か「白玉粉」でOK。また、台湾の手作り醬油膏レシピで使われる粉で多かったのは「太白粉」、つまり「片栗粉」(ジャガイモデンプン粉)です。
なので、まずはこの2種類(もち米粉、または片栗粉)を推奨します。
もち米粉も片栗粉もない場合、台湾のレシピでは「玉米粉」つまり「トウモロコシ粉(コーンスターチ)」や「蓮藕粉(レンコン粉)」でもいけるなどの意見もありました。「レンコン粉」も台湾ではよく見かけるもので、見た目は白玉粉っぽく、お湯に投入すると葛粉のような透明感のある感じにとろみがつきます。(あ、それなら葛粉でもいけるのかもしれない。)
ま、要するにとろみがつけばいい訳です。ベースが醤油で濃い味なので、細かい違いは気にしないことにしましょう。
【4】日本の材料で作る時の分量バランス
ネットで見つけた台湾のレシピでは、
台湾の醤油を10とすると、砂糖は0.5、または2、または4
という3つの説を発見。・・・えーと、幅ありすぎじゃないですかね。
なので、自宅にあった既製品の醬油膏(=蔭油膏)をベンチマークとして使用しました。
日本の醤油に砂糖を少しずつ加え、よくかき混ぜてから既製品と比較していきます。醤油10gに対し、2g、3g、4g・・・。
味見するたびに水で口をゆすぎながら、ターゲットに近い甘みを探ります。私が見出した結果は、
日本醤油10g:砂糖5g
重量にして2:1。
わかりやすくていい結論になりました。
とろみづけ用の粉の量は、参照した台湾のレシピであまりバラつきがなかったので、その割合をそのまま使うことにします。適当でいいと思います。
【5】日本の醤油で「醬油膏」を作る簡単な方法
■ 材料:日本の醤油、砂糖、とろみづけ用粉、水
(粉・・・①だんご粉/白玉粉、②片栗粉など)
■ 分量:重量でいうと、①醤油と水は同量、②砂糖は醤油の半分。
醤油:水:砂糖:粉 = 10:10:5:1
これを、必要量に応じてかけ算してください。
▶例)仕上がり約40cc・・・醤油:20g、水:20g、砂糖:10g、粉:2g
▶例)仕上がり約100cc・・・醤油:50g、水:50g、砂糖:25g、粉:5g
比重の違いを鑑み、だいたい同じ割合に体積換算するとこんな感じ。
▶例)仕上がり約60cc・・・醤油:大さじ2、水:大さじ2強、砂糖:18g、粉:小さじ1
※甘みは台湾の製品に近づくように割り出したものなので、お好みで自由に調節してください。
【作り方】すごく簡単です。
①水に粉を入れて溶いておく。
②醤油に砂糖を加えて火にかける。
③軽く沸騰したら水溶き粉を入れて混ぜる。
④とろみがつき始めたら火を消す。→完成。
※たくさん作る場合は、水溶き粉用の水(少し)を取り分けておき、醤油と残りの水を先に一緒に沸かしてください。
※醤油が煮詰まったり焦げたりしないように注意してください(少量作る時は特に)。余熱でもとろみは強くなっていくので早めに火を消すのがおすすめです。
※目指すとろみの度合いは「オイスターソース」くらいです。
【6】「醬油膏」が使える色々な料理
台湾ではあまりにも一般的な調味料「醬油膏」。チーズダンビン(起司蛋餅)以外にも色々なところで使われています。
▼豆干(台湾の押し豆腐)&ゆで豚モツ、ピータン豆腐に醬油膏。
▼ゆでた厚揚げと、ゆでた豚レバー(豬肝)も醬油膏で食べます。
▼台湾式おでん(汁は別に飲み、具にタレをつけて食べる)にも。
▼豚の血をもち米で固めた「豬血糕」にも醬油膏。ゆで空心菜にも。
▼私の好物「嘴邊肉(ズイビエンロウ)」。豚の口元の柔らかい肉をゆでたものです。たっぷりの千切りショウガ(と香草)を添え、醬油膏が添えられています。ゆで肉+千切りショウガ+醬油膏はかなり万能な組み合わせ。
「醬油膏」はそのままかけるだけでなく、他の材料を加えて色々なタレにもします。だから、多めに作りすぎちゃってもアレンジ次第で使い道はたくさんありますよ。
■ 醬油膏で作る「蒜泥白肉」のタレ
薄切りの豚バラ肉をゆでた「蒜泥白肉(スワンニーバイロウ)」。台湾式居酒屋「熱炒」に行くと必ず注文するメニューです。ぶっちゃけただのゆで豚肉なので日本でも簡単に作れます。「蒜泥」は「おろしニンニク」。がつんとニンニクが効いた醬油膏のタレです。
▲「蒜泥白肉」用の醬油膏ガーリックソース(混ぜるだけ)
醬油膏:大さじ2/おろしニンニク:35g/おろしショウガ:20g/ごま油:大さじ1/砂糖:小さじ2分の1/水:大さじ1
※ニンニク・ショウガをほど良く減らすとゆで野菜(インゲンとか)のタレにもなります。
「おや、意外といろいろ使えそう」と思ったら、ちょっと多めに醬油膏を作ってお楽しみください。(手作り醬油膏は保存料が入っていないので、冷蔵庫保管&早めに使い切るようにしましょうね。)
では、私は試作した手作り醬油膏を先に使うことにしましょ。