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山で過ごす年末年始|八ヶ岳・高見石小屋

 年末年始を山小屋で過ごしてみたい。
 
 いつもと違うお正月の過ごし方を求めて選んだのが、八ヶ岳にある高見石小屋だ。八ヶ岳にある山小屋は、有人で通年営業しているところが多くある。高見石小屋もそのひとつだ。

 
 目的地へ行くための登山口は様々あるけれど、冬季は使える登山口が縮小される。私たちは渋の湯をスタート地点として、途中に黒百合ヒュッテで昼食をとり、宿泊地の高見石小屋へいくことにした。


コースタイム4時間ほど
距離6.3km

渋の湯をスタート

 今年は積雪が少ないと聞いていた。案の定、登山口には被る程度の雪しかなく、到着したときには雪ではなく雨が降っていた。これは雪もご来光も期待できないかもしれない。

 「ま、今回は山小屋がメインだからね!」と友達と話しながら、予定通り目的地を目指すことにした。


 八ヶ岳は、やっぱり美しい。雪が少ない分、雪の隙間から苔がちらちらと顔を出している。

 苔むした世界と、うねりのある木々。
 しんと静まり返った空間。
 あぁ、八ヶ岳に来たんだなぁと思う。

 あられが降ったりやんだりしつつも、登り進めていくにつれて、その景色が変わっていった。きゅっ、きゅっ。踏みしめるときの触感から、雪に厚みが増しているのがわかった。

 次第に空の様子が変わってきた。あられが止み、ひゅうひゅうと雪が舞っている。これは、稜線に出たら爆風にさらされるだろうなぁ。樹林帯で、風から守られている安心感の中を歩く。

 寒さが増してきた。脱いでいた手袋を、ささっと履く。手持ちの水は、まだ凍っていない。ペットボトルなんかに水を入れていると、カチッと凍ってしまうことが常である。けれど、今日は全くその様子はない。確かに寒いけれど、それでも耐えられるくらいの寒さだった。


黒百合ヒュッテを越えて

 ちょうど12時頃に、黒百合ヒュッテに到着。室内で暖を取らせてもらうことにした。

 1時間ほどたっぷり休憩して、再び雪の世界へ。体がしっかり温まった後だったので、小屋に入る前よりも数倍寒く感じた。

 「さぶぅ…!」

 歩き出すのが億劫になりながらも、目的地に行かなければならないので、頑張って歩く。あと1時間半ほど。ここからさらに、雪深くなる。


 木の枝に樹氷がまとわりつき、姿を変えている。小枝に細かく雪がまぶされている姿が、かわいらしくも見える。

 新しく降り積もった雪は、さらさらとした食感。登山道脇に転がる丸太に、こんもりとした雪が積もっている。これは‥!

 どう見ても、ブッシュドノエルにしか見えない。雪は、粉砂糖か。私は、いつの間にか、お菓子の世界に迷いこんでしまったのか。


高見石方面へ

再会を、高見石で

 目的地、高見石小屋に到着した。ランプで灯された室内は薄暗く、目が慣れるまでに少し時間がかかった。

 小屋の中は、年越しを満喫しに来た登山客でいっぱいだった。ガヤガヤとした室内。真ん中には、大きな薪ストーブがあり、メラメラと炎が燃えている。温かで、にぎやかな時間になりそうだ。


手作りごはん
最高でした!!
山小屋のクオリティを超えすぎてます。
こんな素晴らしいご飯を食べられるなんて
当たり前じゃない。

山小屋の努力の結晶です。


 なんと今回は、驚いて声が枯れるほど、たくさんの山友達との再会があった。どの人とも、数年ぶりの再会ばかり。

 たまたま同じ日に泊まりに来ていた方、山小屋で働いている方、登山道でたまたますれ違った方‥‥。同じ日の同じ瞬間に出逢えるなんて、出逢わせてもらったとしか言いようがないと思った。

 再会が嬉しすぎて、嬉しすぎて。
 お祭り騒ぎのような時間。

 山を続けていてよかったなぁと思った。


ご来光、拝みました!

躍動感のある年

 『一年の計は元旦にあり』とか『三が日は一年の雛形だ』などの言葉を聞いたことがある。

 もしそれを信じるのだとしたら、今年は「再会」がキーワードになるのでは、という予感がする。「人との再会」はもちろん、「やりたかったこと」や「疑問だったことの答え」との再会も含まれる気がする。

 点と点が線になる。
 そして、立体感を帯びていく。

 あの山とこの山を繋いだら、山脈だったのね、というような。そんなイメージ。「繋がった!」という、アハ体験がたくさんありそう。

 なんだか、大地の鼓動のような、躍動を感じる。

 今までの積み重ねが実を結ぶ。
 躍動感のある一年になりそうだ。

 


高見石山頂より


澄み切った青ぞら。これぞ、八ヶ岳ブルー!
雪で埋め尽くされた白駒池。
てくてく歩いて来ました。

 


 年始から辛いニュースが続いていますが、繋がりを感じながら、みんなで一緒に2024年の終わりに向かって、前を向いていけますように。

 


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侑子 ︴わたしの山と旅時間✎𓂃
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