寿司以外は日本食じゃない?!
今回は、私たちが店を開ける時に受けた、最初の洗礼について。。(笑)
2014年4月に何とか店を開けるところまでこぎつけた私たちだけれども、もともと考えていた食事のコンセプトは、地元の人たちに愛される、ローカルな食材を使った、日本で毎日食べるような、ホッとするご飯。
毎日のように食べに来てほしいから、野菜もふんだんに使ったバランスが良くて美味しい定食や、夜お酒と一緒に楽しめる居酒屋の食事。こちらに在住の日本人にも、日本食が恋しくなった時に食べにきてもらいたい。
ポルトガルは、大西洋の海沿いにある国だから、新鮮な魚もたくさんある。でも寿司は考えていなかった。だいたい日本で寿司といえば、寿司屋さんで食べるもの。食堂で出てくるものではない。
そういう考えもあって、刺身はその日仕入れた魚でちょこっと出しても、寿司は出したくなかった。寿司を出すということは、シャリも用意しなければいけないし、魚などの仕込みも格段に増える。(ちなみにこの頃は、厨房は私以外は経験豊かな日本人の料理人が1名と、アシスタントのポルトガル人が1名の3人体制だった)だからと言って、寿司だけに集中することも考えていなかったから。
でも、その考えは、当時のポルトガルでは甘く、一掃された。いや、今でもそうなる店は多いはず。
「え?日本食なのに寿司ないの?!」「寿司がないんだったら日本食じゃないじゃない!」「ガッカリだよ!」と帰っていく人も。
そう、まだまだこちらでは、日本食といえば、寿司、寿司、寿司なのである。ポルトガルはヨーロッパの中でも最西端の小さな国だから、大都市のロンドンやパリとはまた全然違う。今でこそラーメンが大ブームで、あちらこちらにオープンしているけど、たった8年前は、そのラーメンもあまり知られていなかった。
そんなわけで、客足を格段に減らすわけにはいかなかったので、結局寿司も出すことにした。寿司ネタケースも購入して、寿司、刺身をメインで出すカウンタースペースと、揚げ物や煮物などをする厨房が奥に。そして、私と夫は大阪出身なので、これだけは絶対に出したい!というこだわりで、たこ焼き器を大阪の道具屋筋で購入して、ポルトガルで初の、実際に焼くところを見せながら出す、というスタイルも導入。
当時の私たちにとっては、ジャンルが広すぎるお品書き。
でもこれって、海外で日本食レストランをやってきた人たちの、あるあるなんではないかなぁと思う。特に大都市以外の街では、あそこに行けばあの、思い描いていた日本食が食べれる!という期待で胸を膨らませる人たちが訪れるわけだから、そうなっちゃうんじゃないかな?
そうそう、寿司以外でもう一つ、とてもよくリクエストされたのは、焼き餃子。「え、餃子ないの?」と、すっごくよく言われました。でも餃子に関しては、日本食以外の店でも、あの冷凍のやつを焼いただけのなどが色んなレストランで出されていたので、「餃子は他でもたくさんやっているので、そっちで頼んでください。」とお断りしていた。
海外で日本食レストランをやるということは、よっぽどきちんと何かに特化した専門店をやったり、シェフがとても有名で、そのシェフの料理を無条件に食べにいく、というようなスタイルでないと、もう入る前にすでに期待されている料理がたくさんある、ということを身でもって学んだのでした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?