泣いて訴えた修学旅行の班決め
どうやら今は、修学旅行や宿泊学習の時期らしい。
運転中に聴いていたラジオのパーソナリティがそう言っていた。コロナが落ち着いている今、やっと行けることになったのだろう。子どもたちはどれほど楽しみにしていたことだろうか。
***
この話を聞いて、思い出したことがある。
息子が小学生だった時の、修学旅行の班決めのことだ。
修学旅行中は班行動をするため、事前に班決めをしなければならない。これは、今も昔も変わらないことだろう。
息子のクラスは話し合いにより班が決められ、仲の良い友達と同じ班になることができた息子は、とても喜んでいた。家に帰ってきてからも、そのことを楽しそうに私に報告してくれた。
ところが、翌日、まさかの事態が発生した。
急遽、班決めをくじ引きでやり直すというのだ。
前日、話し合いで決めた班に納得いかない生徒がいたからだという。
くじ引きで班決めをやり直した結果、息子は仲の良い友達とは別々の班になってしまった。それどころか、クラスで一番乱暴な子と同じ班になる羽目になってしまったのだ。
帰宅した息子は、昨日の姿とは一変。
「なんで!どうして!せっかく仲の良い友達と同じ班になれたのに。こんなんじゃ全然楽しくない!!」
そう訴える息子に私は、
「仲の良くない子と一緒に行動することだって大事なことなんだよ。その子のことをよく知らないだけで、きっといいところもあるんだから」
などとなだめた。
実際、苦手な人と付き合うことだって大事な勉強だからね。
息子の帰宅後、ほどなくして息子の担任の先生から電話がかかってきた。話の内容は、今日のくじ引きに関することだった。
「実は、ある保護者から『ウチの子どもが、昨日決めた班だったら修学旅行には行きたくないと言っている。もう一度やり直してほしい』と強く言われ、くじ引きをすることになったんです。そして、くじ引きで新しく班を決め直したあとに、イチロー(息子)からこんなふうに言われたんです。
『くじ引きで決め直した班に納得がいかないので、もう一度くじ引きをして下さい。話し合いで決めた班に納得がいかなくてくじ引きをしたのだから、くじ引きで決めた班に納得がいかなかったら、また同じようにくじ引きをし直してもいいはずです』と。 イチローの言うことは、全くその通りで返す言葉もありません。ただ、ある保護者が強く言ってきたもので…申し訳ありません。イチローにあんな顔までさせてしまって」
「あんな顔って?」
私は先生に尋ねた。
「・・・泣き顔です」
どうやら息子は、泣いて先生に訴えたらしい。
***
息子は、ひょっとしたら今も変わらずこんな感じなのかもしれない。自分に納得のいかないところがあれば、相手が誰であれ立ち向かっていくところ。小学生の頃から、その片鱗はあったんだなぁと改めて思った。これはね、きっと私の父譲り。
ラジオを聴いて、こんなことを長々と思い出してしまった。