ヒプステtrack.4の良さについて書きたい(曲や韻の話が中心)
ヒプステにハマる
ヒプノシスマイクの2.5次元の舞台(通称:ヒプステ)にハマりました。
ヒプステの曲は全て、舞台だけのオリジナルで、キャラクターの特徴や物語を知ることができて、なおかつ、ヒプマイ好きはもちろんヒップホップ好きも魅了する仕掛けが満載!
2021年までのヒプステの舞台の中で、1番ハマったのがtrack.4。
物語はイケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンがそろう中央区での初めてのバトル。
track.4は原作のドラマトラックをベースに物語が展開されるのですが、各キャラクターが戦う理由やチームの絆がより明確に描かれています。
原作を知っていると、時系列の行き来や、1曲の中で2つのバトルが展開する場面などを理解しやすいですし、「原作と同じセリフが登場している!」という楽しみ方もできます。
また、過去の舞台作品のtrack.1とtrack.2、映像作品のChampionship Tournamentを見ておくと「あの時あのキャラが言っていたセリフをこのキャラが言ってる…アチぃ」みたいな楽しみ方もできます。
track.4 単体でも楽しめて、サンプリング(引用)が分かるとより楽しめるとは…まさにヒップホップ!
track.4の良さについて書きたい
ストーリー展開、演出、演技、ダンス…良いところを列挙し始めると止まらなくなるので、今回はできる限り物語のネタバレをせずに、曲(特に韻)を中心に書きますね。それでは、本編の収録内容にそって、スタート!
【本編】
<第一幕>
追記:2023年8月7日より期間限定で『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage -track.1-から-track.5-までの過去6作品が「ABEMAプレミアム」限定で見放題配信されています。
M0「The Opening (Rule the Stage -track.4-)」
作曲:KEN THE 390 /Shiro "IXL"Tanaka
原作のセリフも踏まえつつ、舞台の設定説明。原作を知らない人でも、キャラクターの関係性などを知ることができます。
(M0は、YouTubeの2分18秒ぐらいまで)
M1「Fight 4 Your Pride -Rule the Stage track.4-」
作詞・作曲・編曲:井手コウジ
ヒプステのtrack.4の主題歌。
この1曲目の舞台映像を見た方は、きっと思う。
「登場シーンの演出に見入ってしまって、曲が頭に入らない!」
そんな方に、朗報です。
この曲は、カーテンコールも含めて3回歌います!
しかし、残念なお知らせがあります。
1回目(M1)は演出に見入って、曲が頭に入りません。
2回目(第二幕のライブパート最後)は、同じディビジョン内の他のキャラクターと一緒に韻を踏んだり、ヒプノシスマイクを持たずに歌うため1回目のダンスと違いがあるので、曲が頭に入りません。
3回目(カーテンコール)は、全キャラクターが舞台上にそろうのですが、それを生かした演出を入れるキャラクターがいたり、原作では見かけないキャラクターの組み合わせで、たわむれたりするので、曲が頭に入りません。
そういう時は、サブスクや初回限定盤の特典CDで曲に注目!
2回目(第二幕のライブパート最後)のところで、主題歌の歌詞について書きますね。
M2「兄弟喧嘩 Round 2」
作詞・作曲:SHUN(Beat Buddy Boi) / RYO(Beat Buddy Boi)
曲の直前のセリフ「兄ちゃんの部屋、行くんじゃねぇぞ!」と、曲の冒頭の「Ladies and Gentlemen!」で、語感の似た言葉でいきなり韻を踏むため、物語の1曲目から思うのは…
ラップって、たのC!!!
ヒプステならではの演出があったり、track.1の「兄弟喧嘩」の演出のサンプリングがあったり、スクリーンの中のゲームと振り付けが連動していたり、なおかつラップの中で物語も展開されていて…冒頭から見どころ、たくさん。情報過多最高!
三郎が話すのを初めて聞いた時、幼い印象を受けて、「ラップ、できる?大丈夫?」と思ったのですが、めちゃくちゃ余計なお世話でした。年上をなめている生意気な小僧感MAXのラップでとても良い。
二郎が結構ハスキーボイスで、それがかっこいい。
二郎と三郎が楽しみながら喧嘩する姿も微笑ましい。
この曲の作詞・作曲は、Beat Buddy BoiのSHUNさんと、ヒプステでダンスを踊っているディビジョン・ダンス・バトル(通称D.D.B)のメンバーでもあるRYOさんで、「ダンスだけでなくラップもできるのかよ!最高だぜ!!」って感じだぜ!!!
M3「記憶」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
普通に歌っても息継ぎに悩むラップを、あれほどの振り付けをこなしながら歌いこなす一郎は超人的。
この曲はリズムの刻み方が難しい…
たとえば上記の太字部分は、「同じ道、歩いてた」のように5文字、5文字で区切り、リズムを「ドタタタタ、ドタドタド」と刻むこともできると思うのですが、曲中では「同じ、道、歩いてた」のように3文字、2文字、5文字で区切り、「ドタタ、タタ、ドタドタド」とリズムを刻むことで、一郎のためらいが表現されているように思います。
また、韻をたたみかける部分の三連符(1拍の中に音が3つ、ダダダって感じのリズム)が、歌詞の内容と調和していると思います。
作詞は、原作のバトル曲「BATTLE BATTLE BATTLE」や「Light & Shadow」の作詞も手掛けた、KEN THE 390さん。ヒプステでは、track.4から音楽監督に就任。
M3.5「愚者と賢者」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
冒頭から、「状況」と「今日」や、「這い上がる」と「立ち上がる」と「明日がある」などで、しっかり韻を踏みながら、いま置かれている状況を説明しつつ、幻太郎の力を借りようとする帝統。
この曲は、キャラクターの表情や立ち居振る舞いと、スクリーンの使い方が、バッチリ合致していて、まじで仏。 【特典映像】のDocumentaryで話題にあがった振り付けと、舞台の前の方のスクリーンが連動していたり、細部まで作り込まれていて…そりゃ、やどりますよね、神が。
「真骨頂」と「必勝法」で韻を踏むあたり、指先からつま先まで全神経が行き届いた、帝統のダンス。「典型的」と「徹底的に」で韻を踏むあたり、着物での動き方を計算しつくした、幻太郎の所作が美しい。
M4「一斉検挙」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
冒頭8小節、「Sorry」、「通り」、「金輪際」などで韻を踏んでから、最終的に「止まんない」、「ご案内」で韻を踏む銃兎。
こちら、歌詞カードを見ると気がつくかもしれない。
文章の改行が不自然
と言いたいとこだが、これは韻を数多く踏むための仕組み。
歌詞カードでは「金輪(改行)際」と「止まんない(改行)なら」という風になっています。目で見ると改行が不自然に感じるかもしれませんが、曲を聞くと改行部分の区切りを活かして韻を踏んでいることが、わかります。こういう韻の踏み方も、おもしろくて見逃すことなどできないですね。
幻太郎の歌詞で取り上げたいのが、
「入間銃兎」の母音は"イウアウウオ"で、「ディスカウント」は"イウアウンオ"。
これは、「ン」を別の音(今回は「ウ」)に置き換える韻の踏み方を利用していて、韻が固い(韻をたくさん踏む)。
6文字の長い韻を踏みつつ、入間銃兎なら、三途の川を渡す船頭の弱みを握って、渡賃の六文銭をディスカウントすることもありえそうで、キャラクターの特徴を端的にとらえていると思います。
こんな時、しちゃいますよね、ゴンフィンガー!銃兎だけに!!(まぁ、幻太郎の歌詞ですけどね。)
この後も、たくみな表現と固い韻がありつつ、
「即 逮 捕 留置所で オールナイト」など、愉快な韻を踏む銃兎。
言葉の重さがヘビー級な理鶯が踏む「ヨコハマ」の韻は破壊力抜群!!!
実際に曲を聞くと、ご理解いただけると思います。
Battle of Pride(通称:BoP)のライブでの「一斉検挙」。
ダンスも舞台照明もかっこいい。
M5「Come Back To Me」
作詞:KEN THE 390 / KENGO 作曲:KENGO
左馬刻が、今までの原作で遭遇した境遇を、今までにはないメロディアスな曲に乗せて歌うことで、新しい左馬刻を見られる気がします。
この曲では、左馬刻が一瞬だけヒプノシスマイクを握ります。その演出だけを見ても、この舞台が細部まで作り込まれていることを感じられます。
M6「今は光」
作詞:RYUICHI (OOPARTZ) 作曲:JUVENILE(OOPARTZ)
冒頭で「どうだい」と「ショータイム」で韻を踏んで、次は「OK? Yeah」と「夜へ」、その次は「BYE BYE」と「MY LIFE」…韻は踏めそうな時だけ踏む、韻にあまりこだわらない感じの一二三。
この曲は、別の曲が始まったのかと思うぐらい、途中で曲調が変わるのですが、曲調が変わる前も後も、歌詞が同じです!
舞台では、最初は乗り気ではないけれど、最後には楽しそうにしている独歩にも注目したい。
M7「Why We Fight」
作詞: KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Baufuzz / Yohei
この曲の途中、2ディビジョンずつ4小節の中で同じ韻を踏みます。
"オウウイ"の音を基本として、イケブクロが「公務員」、「用済み」、「要注意」で、ヨコハマが「恐怖心」、「航空機」で韻を踏んで、
"インオオ"の音を基本として、シンジュクが「イントロ」、「心底」、「陰と陽」、「真骨頂」で、イケブクロが「必勝法」、「緊張を」「一生もん」で韻を踏みます。
さながらMCバトルで、同じ韻でアンサーを返す時の高揚感があります。
M8「偽りの仮面」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
舞台では、2重3重に仕掛けられたトリックに、心を奪われること間違いなし。第一に、登場シーンから心を奪われます。
シルエットだけで「あのキャラが登場する!!」というワクワク感を、白衣さばきによって、倍増させる寂雷先生。
寂雷先生は、M1の登場シーンから、演出をより効果的に見せるための白衣さばきが華麗。
M9「天秤」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
この曲は初回限定盤の特典CDで、ひとつづきで聞くとわかりやすいのですが、1曲前の「偽りの仮面」と、基本のビート(ラップをのせる前の音楽)が同じです。
乱数は、物語冒頭(M0)にて「寂雷のこと、大大大大大嫌いだからさ☆」と言うにも関わらず、アレンジを少し加えた、寂雷と同じビートの上で、ラップをします。乱数が寂雷をとても意識していることの表れですね。
M10「Crossing Lines」
作詞・作曲:KENGO
物語の交差点。あっという間に広がるダンス。
M11「戦いの始まり」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
この部分は、曲の中では戦う理由が、物語の中ではチームの絆が描かれていて、名場面が満載です。
しかし、分かっていても、【特典映像】のDocumentaryで話題にあがった歌唱シーンを前にし、見るたびに毎日、「込み上げる笑いに この身を委ねよう」という症状が発症するので、先生、助けてください。
M12「Division Rap Battle Final Round」
作詞:KEN THE 390 作曲:KEN THE 390 / Shiro "IXL" Tanaka
12人、4ディビジョンでの2つのバトルが、1曲の中でテンポよく繰り広げられていて、圧巻。
二郎が
銃兎が
二郎が言った「ライム」を踏まえて、銃兎がラップをするのですが、銃兎の「ライム」は、「韻」と書いて読み方は「ライム」。本気で、こういう細かい言葉選びは、好みのタイプ。
この後の銃兎の「極彩色」という言葉に対して、三郎が「薔薇色」という言葉を使ったり、三郎の「投石機」という言葉に対して、理鶯が「ターミネーター」や「対 戦車」という言葉を使ったり…ヒプステも原作と同様、じっくりと歌詞を見るのが楽しい。
幻太郎の「数々の 苦境」という言葉に対して、一二三が「Haha 全然足ーりない」と言いつつ「足りない」と「Party time」で原作の曲のAnthemと同じ韻を踏んだり、一二三の「修羅場の数の分」という言葉に対して、帝統が「は! 修羅場がどうだ そんな不安 全部吹き飛ばす 俺が本格派!」とバッサリ言ったり、帝統の「だるい説教 他でやれ」に対して、独歩が「だるい キモいとか」と言って…いや独歩、帝統にそこまで言われてないよと思ったり。
この曲では、各ディビジョンの1番手のスキル(ラップアビリティー)が、曲の中で表現されているのですが、それは実際にtrack.4を見てのお楽しみ!
YouTubeの3分39秒〜6分10秒の間、M11の途中まで見られます。(1番手のスキルはtrack.4を見てのお楽しみ。)
<第二幕>
第二幕のライブパートで披露される、各ディビジョンの曲は、アルバム「Turn up the Stage」に収録されています。
「D.D.B Performance」
D.D.B(ディビジョン・ダンス・バトル)の方々は、誰もがすぐに目を奪われるぐらい、ダンスが魅力的。お互いが全力でぶちかまして、「こいつ、ヤバいじゃん!」と思ったら盛り上がる感じも、見てるこっちも気分がアガる!
「Counterfeit Busters」
作詞・作曲・編曲:井手コウジ
イケブクロの三兄弟が、同じ韻を踏み繋ぐところなど、聞きどころがたくさんありますが、今回はその中から3つをご紹介。
三郎が歌う、
三兄弟がイケブクロウェストゲートパークで楽しそうにサイファー(輪になって即興でラップ)をする姿が想像できますよね。
一郎が、どれほど自分がイケているのかボースティング(自慢)しながら、"イウ"の母音で韻を踏むところや、
一郎からの流れで、"イル"の音で韻を踏む、二郎の韻の踏み方(歌い方)がイケてます。
track.4のライブパートでは歌いませんが、「満場一致のモノホンプレイヤー」という歌詞があります。「モノホンプレイヤー」といえば、BUDDHA BRANDの「人間発電所」という曲があるのですが、その曲の「ILLでいる、秘訣知ってる」の歌詞と、先ほどの二郎の歌詞がかかってるんだろうな…ヒップホップが好きだとヒプマイをより楽しめて、ヒプマイが好きだとさらにヒップホップも楽しめて…このようにして人は、ヒプマイとヒップホップの点と点を繋げて、底なし沼へとハマっていくのです。
「Trigger Off」
作詞・作曲・編曲:井手コウジ
1文字でこれほど格好良く韻を踏む方法があるなんて初めて知りました。
例えば、"ア"の1音で韻を踏む場合、ひたすら"ア"の音で畳み掛けるように韻を踏む方法があったりするのですが…この曲では、頭韻や脚韻(語句の頭や、句末または行末で韻を踏む)ともまた違う…所々に"ア"の音を忍ばせて、抑揚の付け方を工夫することで、聞き心地の良い韻を踏みながら、それとは別に"オウ"の音などでも韻を踏みます。
途中、「左馬刻様」を分解して「左馬刻」と「様 光臨」、それから小節の頭の「命(タマ)取り」で"アアオイ"の音で韻を踏んだと思ったら、
その後、"オウ"の音で細かく韻を踏む左馬刻様が御光臨されるのですが、韻、踏みすぎ!格好良すぎる!!
左馬刻から"オウ"の韻を引き継ぐ銃兎。
理鶯は"ウ"の部分を引き継ぎ、さまざまな韻を踏みます。
「Trap Of “Fling”」
作詞・作曲・編曲:井手コウジ
この曲を聞くと、シブヤ Fling Posseが張り巡らせた伏線で、気づいた時には「キミはF.Pのとりこ」。
いきなりですが、「紳士淑女の皆様」は英語で「Ladies and Gentlemen」(女性→男性の順)、「少年少女」は英語で「Boys & Girls」(男性→女性の順)と言うのが一般的だと思います。しかし、乱数の歌詞では、
「Girls&Boys」(女性→男性の順)になっていて、普段から「オネーさん」とよく言う乱数なら「Boys」よりも「Girls」を先に言うのが当然な気がして、初めて聞いた時、言葉選びが眩しくて、やけに目にしみて、胸が苦しくて、少し戸惑ってた。
幻太郎の、はらりひらりと移り変わりゆく韻。
…について書きかけたのですが、track.4では歌っていない部分で、その説明は300文字を超えるので、また、、、(Rep LIVE side F.Pについて書くような機会に、皆様のお目にかかることができれば恐悦至極です。)
【追記】ヒプステ《Rep LIVE side F.P》の良さについて書きました
最初の方の帝統の歌詞、
ぱっと見、「様」、「蝶」、「よう」で韻を踏んでいることが分かると思うのですが、曲を聞くと、韻以外に、リズムの取り方、抑揚の付け方、サ行・タ行・ハ行などの無声子音の発音のカッコよさなど、ギュッと詰まっていて、帝統のラップはフルスロットルだぜ!
「Blast Wolf」
作詞・作曲・編曲:井手コウジ
この曲は全体として、このようになっていて…と書こうとしたのですが、どうやら、私は麻天狼代表神宮寺寂雷の動きに、ロックオンしてしまう性格のようで、「先生が白衣と髪をなびかせ踊っている」という印象から、抜け出すためにまだまだ時間はかかりそうだ。
「We’re 麻天狼」の後、 "オウ"の音で「鋲」と「走馬灯」と「無情」で韻を踏みつつ、"ウイ"や"アイ"の音でも韻を踏む寂雷先生。
さらに「慈悲を持ち」、「道、教示」、「意思表示」で韻を畳み掛ける。
「麻天狼」、「Attention」、「何千本」で少し固めに韻を踏む一二三。
独歩は"オウ"の音で韻を踏む。
「Hypnosis Delight」
作詞: KEN THE 390 / 井手コウジ 作曲・編曲:井手コウジ
「神業、連発、韻ファイト」な「Hypnosis Delight」は、数人で同じ韻を踏むような曲が、大好きな人にとっては聞き逃がせない。
同じディビジョン内で同じ韻を踏んだり、各ディビジョンの1番手が同じ韻を踏んだり。各ディビジョンの1・2・3番手の3人が歌っているパートの3・4小節目でディビジョンやチーム名などで韻を踏むところも良いです。
イケブクロ Buster Bros!!!
"イイオ"の音を基本に、二郎と三郎が「君も」、一郎が「Here we here we here we go」、二郎が「いつも」、三郎が「みみもと」、一郎が「ビリビリと」で韻を踏みます。「here we go」だけでも"イイオ"の音で韻を踏むことができるのですが、「ビリビリと」で韻を踏むために、「Here we」を何度か繰り返した「Here we here we here we go」と歌っている思うのですが、なんだか愛らしいですよね。
ヨコハマ MAD TRIGGER CREW
左馬刻が「番だ」「挽歌」、銃兎が「バンガー」、理鶯が「ハンバーガー」で韻を踏みます。ところで、好きな食べ物「無添加食材」、嫌いな食べ物「加工食品」の理鶯が振る舞う「ハンバーガー」とは、ジビエ、あるいはゲテモノ…となると「美酒」とは…
シブヤ Fling Posse
1音ずつはっきりと発音すると、「進行形」の母音は"インオウエイ"で、「Fling Posse」は"ウインウ オッエ"の音で、このままでは韻を踏んでいることが分かりづらいです。しかし、発音を工夫して、「進行形」を「しん、こっけぃ」("イン、オッエィ")、「Fling Posse」を「フリン、ポッセ」("ウイン、オッエ")にして、韻を踏むところがスゴイです!
シンジュク 麻天狼
一二三の「パーティータイム」と、独歩の「帰りたい」で韻を踏んでいます。ポジティブな「パーティータイム」と、ネガティブな「帰りたい」という、ギャップのある言葉で韻を踏むところが、一二三と独歩が表現されているようで、興味深いです。この直前の、寂雷先生の「提示」、「先人」、「敬意」の歌詞を踏まえて、一二三が「誠心誠意」で韻を踏んでいると思うのですが、「誠心誠意」という言葉は、原作の曲のAnthemの独歩のソロパートの最初に使われている言葉で、独歩が原作のソロパートで最初に使った言葉を、一二三がヒプステのソロパートで最初に使っている…なんて、イメージ次第で、ドキドキが止まらないですね。
ちなみに、舞台では各ディビジョンの1・2・3番手の3人が歌っているパートのみ歌唱。初回限定盤に収録されているCDや配信されている音源では、各ディビジョンの2・3番手の2人が歌い、1番手が歌っているパートも収録されています。(「Hypnosis Delight+」は、オオサカとナゴヤの2・3番手の2人が歌っているパートなし。)
「Fight 4 Your Pride -Rule the Stage track.4-」
M1で、3回歌うものの見どころが多くて曲が頭に入らないとお伝えした、主題歌「Fight 4 Your Pride -Rule the Stage track.4-」の歌詞について書きます。
イケブクロ Buster Bros!!!
1.山田一郎
track.4では各キャラクターやディビジョンごとに、track.1またはtrack.2の歌詞をサンプリングするのですが、一郎のこの歌詞もその1つです。ヒプステの一郎は「勝手 一番手 BAD 一郎 登場」、原作の曲のAnthemの一郎は「一番一郎 一期一会」という歌い出しで、ヒプステでも原作でも一郎は一郎だと感じられる歌詞だと思います。
2.山田二郎
「完全」、「残念」、「顔面」で韻を踏むところが良い。
3.山田三郎
二郎を低能呼ばわりしつつ天才さをアピールする三郎。
ヨコハマ MAD TRIGGER CREW
1.碧棺左馬刻
track.5のThe Dirty Dawgの時の左馬刻は、「天上天下唯我独尊」をそのまま言いますが、このtrack.4の左馬刻は「ドグソ」と「独尊」で韻を踏みつつ、「天上天下 俺が独尊」と言います。
2.入間銃兎
track.1の「しょっぴくぞ 偽造 逮捕状」の歌詞をサンプリングしつつ、悪徳警官っぷりが表現されてますね。
3.毒島メイソン理鶯
「イ」の音、特に「リ」の音で韻を踏むところ、「理鶯」だから「リ」で韻を踏んだのだろうかと考えると楽しい。この後、「決断」と「受難」、「残飯」と「晩餐」で、各小節の最後にきっちり韻を踏むところも良い。
シブヤ Fling Posse
1.飴村乱数
「説教臭い」と「メンドクサイ」で韻を踏みつつ、ヒプステの中での決勝トーナメント(Championship Tournament)にて対戦した、シンジュクとイケブクロを連想する歌詞になっています。
2.夢野幻太郎
この歌詞にはシブヤのキャラクターが隠れています。「乱痴気者」に「乱」が入ってるので乱数、「小生」は幻太郎の一人称の1つ、「アリス」は有栖川(ありすがわ)帝統。
この歌詞の韻と韻が繋いだヒントより、他の考察も書いたのですが、現段階で300文字弱なので、またの機会に、、、(【追記】ヒプステ《Rep LIVE side F.P》の良さについて書いた文章に載せました。)
3.有栖川帝統
小節の頭(3小節目まで)は"ア"の音で、小節の末は"オウ"の音で韻を踏み、帝統のMCネーム「Dead or Alive」の日本語「生きるか死ぬか」というフレーズも登場して、勢いがあります。
シンジュク 麻天狼
1.神宮寺寂雷
原作の寂雷先生の曲「迷宮壁」の歌詞「憎しみを抱き、啀み合いを繰り返すの?」や「塞がれた鼓膜でも伝えたいリアルがある。」に通ずるものがあります。また、「心、癒やす言葉を探す」の部分が、寂雷先生のラップアビリティー「Medication:自身や仲間を回復・正常化する」を表現していると思います。
2.伊弉冉一二三
上記の太文字は"アイ"の音で韻を踏んでいて、「パーリナイ」と「出逢い」以外、全て否定語の「ない」なのですが、「同じ言葉の繰り返しでも、韻、踏んでることになるっしょ?」って感じのラップが(ヒプマイの中でおそらく一番)成立するのが一二三。
3.観音坂独歩
ガンジス川のところで、名刺交換または資料の提出をする姿(振り付け)からにじみ出る独歩の社畜Life!
主題歌の作詞・作曲・編曲は井手コウジさんで、ヒプステの各公演すべての主題歌と、原作に登場する6ディビジョンそれぞれのヒプステ内でのソロ曲を制作しています。原作のバトル曲「Light & Shadow」は、作曲・編曲が井手コウジさんで、作詞がKEN THE 390さんで、ヒプステと縁のある方々の制作です。
M1でお伝えした通り、【特典映像】のCurtain Callでは3回目の主題歌を聞くことができるのですが、全キャラクターが一斉に出演していることを活かし、シブヤのキャラクターがOn Stageでオネーさん達を一網打尽する見事に解釈一致の細かい演出を挟んだり、原作では見かけないキャラクターの組み合わせでのたわむれがあったり、スクリーンに映し出される歌詞がキャラクターまたはディビジョンによって異なるフォントが使われていたり…ヒプステを見る時は、一体、いくつ、目があれば足りるのでしょうか。
最後に
まとめ
track.4の良さについて、曲や韻を中心に書きましたが、実際に見ると演出、演技、ダンス…全てが素晴らしくて、ヒプステはヒプマイを知らない人でも楽しめる舞台だと思います。
2022年以降の公演
2022年は伝説のチーム"The Dirty Dawg"が登場するtrack.5の舞台から始まり、各ディビジョン単独でのRep LIVE(2022年9月段階ではヨコハマとシブヤ)が行われました。
それぞれを見るまでは、「今までの公演の良さを上回るのか」、「一部のキャラクターが新キャストになった」ということに、若干の不安を感じていたのですが、見てからは「並外れて素晴らしいキャラクター」、「非常にバランスの取れた、ディビジョンの良さが表現されているライブ」などと表現したくなるほど、どの公演も最高でした。
今後は、原作の《2nd D.R.B》の時間軸を描いた、《どついたれ本舗 VS Buster Bros!!!》と、
《Bad Ass Temple VS 麻天狼》の上演が発表されています。
原作の《2nd D.R.B》の展開から、おそらく《Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW》も上演されるのでは…(追記:2022年3月に上演決定)
2022年7月に中止となった、Mix Tape1の舞台のパンフレットに載っている曲のタイトルを眺めてテンションをあげながら、各公演の上演を気長に待ちたいと思います。