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ローマ市民権と人物業績の正誤問題に挑戦! 

世界史入試!ここにフォーカス03【古代ローマ世界】

四帝分治制〔テトラルキア〕

ローマ世界の正誤問題は幅が広いので厄介です。登場人物が多いので、人物の業績正誤問題は多いですが、単語カードを使っての学習をしておけば大丈夫!盲点はローマ社会の変化に関する問題が危ないですね。今回は「ローマ市民権の拡大」に関する正誤問題を紹介しますね。

A)ローマ市民権の記述として不適切なものを次の中から1つ選び,その番号の該当欄をマークしなさい。 
① 前3世紀前半に全イタリア半島を支配することになったとき,ローマは,服属した住民にローマ市民権をまったくわけ与えず,ローマ市民を植民させて統治した。
② 閥族派と平民派の抗争が繰り返された「内乱の1世紀」に,イタリア半島の同盟市は完全なローマ市民権を求めて,反乱を起こした。
③ ローマ市民権保持者は属州にも広がり,「五賢帝」の2人目にあたるトラヤヌス帝以後の4人の皇帝が属州の家柄の出身であった。
④ 212年,カラカラ帝は帝国の全自由人にローマ市民権を与え,「ローマ帝国」は普遍的な性格のものとなった。

B)303年に大迫害をおこなった皇帝の治下の出来事として不適切なものを次の中から1つ選び,その番号の該当欄をマークしなさい。 
① 帝国を東西にわけて二人ずつ分担統治する四帝分治制(テトラルキア)をつくり,効率的な防衛と反乱の防止をはかった。
② 増大した軍事費をまかなうために,新しい徴税のシステムを導入した。
③ コロヌス(小作人)の移動を禁じ,都市でも住民の職業を固定化し世襲させた。
④ 皇帝を神聖化する儀礼を導入し,元首政から専制君主政(ドミナトゥス)へと政治体制を変化させた。

青山学院大学より

A:①が不適切。ローマ共和政において有名な分割統治。都市間に市民権付与の差別(与つけることによってつけることによって反ローマの結束・団結を防ぎました。よって、「まったくわけ与えず」の部分が誤りとなります。市民権を与えられなかった同盟市と与えられた自治市は知っておきたいですね。②この同盟市戦争の結果、前89年にユリウス法が制定され、イタリア半島内には完全な市民権が与えられました。③トラヤヌス帝はイベリア半島の出身です。④212年に制定された「アントニヌス勅令」のこと。市民権を付与することで税収の増加による財政の安定も狙いの1つでした。

B:303年のキリスト教大迫害といったら、ディオクレティアヌス帝と分かります。ギボンの『ローマ帝国衰亡史』において再評価されるまでは暴君扱いされていましたが、官僚制の整備(文武の切り分け)、軍事力の増大、土地税・人頭税の導入、統制経済などの経済政策はのちのローマに強い影響を与えました。だkら、入試によく出ます!①④は教科書レベルで彼の業績であるのは分かりますが、②は少しレベルが高く、高校の授業ではあまり扱いません。しかし、③のコロヌス土地定着法がコンスタンティヌス帝だと知っていれば、③を回答できますね。

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