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読書が好きになる過程で出会った10冊の好きな本

小さいころ、「好きな本」「好きな小説家」を答えられるのって、かっこいいなと思っていました。読んだ本の内容なんて覚えてられないのに、好きな本なんてどうやって選ぶんだろうって思っていた。
今も読んだ本の内容は碌に覚えてない。でも「好きな本」はたくさんある。面白かった記憶を、大切にしたくなったことを忘れてない本があります。

本屋さんに立ち寄って、読んだことのある本が並んでいる。
そんな些細なことにとても嬉しく誇らしく思う。「これ面白かった」「この本知ってる」そう思う本がたくさんあることが心地いい。
かのポケモンマスターとは、世界中のポケモンと友達になることだそうです。私も、数々の名作を「読んだ」と胸を張りたい。自分の脳内のコレクションに加えたい。もちろん、誰かにおすすめの本を伝えたい気持ちも、誰かの好きな本を聞いて、自分も読んだと盛り上がりたい気持ちもある。

だけど、それ以上に、私はただ、自分が読んだ本を眺めて満足したい。
そんな私の頭の中のコレクションを、私の心の中にある宝箱の中身を、並べて眺めたくて好きな本の話をします。

さて、選びきれないので、少しだけルールを作って、10冊挙げることにしました。

・1作家1冊(その作家の小説の中で一番好きな小説)
・私の年齢別お気に入りの本

題して、読書を好きになる過程で出会った10冊の本です。

1.カラフル(森絵都)

図書館に並ぶハードカバーの本たちの中に、表紙にアルファベットが並ぶ真っ黄色な本がありました。それを持っているだけで、少し特別な感じがしてドキドキしていたような気がします。

天使が出てくるこの本を、命に触れるこの本を、読み終わってからもしばらく教室の後ろのロッカーに置いたままにしていたのは、小さな私なりに“余韻“を味わっていたのかもしれません。あの頃はあんなにも号泣した本ですが、大人になってから読み返したら拍子抜けしたりもします。だけど、暗くて明るくて素敵なこの本が私に小説を一段深く好きにさせてくれたから。

私の好きな本、1冊目はこの本に登場してもらおうと思います。

2.きみの友だち(重松清)

自分と近い世代のこどもたちがたくさん出てくる重松清さんの本が好きで、気がついたら手に取っていることが多かったような気がします。
「きみの友達」を知っていくと、なんだか少し胸の奥がきゅってなる。独りよがりな私が、知ろうともしなかった感情にたくさん出会わせてくれました。特にブンちゃんのお話は当時の自分にとても刺さって、切なくて、悔しくて、じんわり嬉しくて。

「人」のことをもっと知れるように導いてくれた本です。

3.海の底(有川浩)

有川浩さんと言えば、映像化された作品をはじめとして、多くの人が名前をあげる作品が数多くあると思います。もちろん他の作品もたくさん読んだし好きな物語もたくさんあるけれど、私にとっての1番はやっぱりこれです。
映像よりも鮮明に文章が緊迫感と胸の鼓動を伝えてくれる。誰かを守る戦いのシンプルなかっこよさ。窮地に陥った人間達のかっこよさ。

小説というエンターテイメントです。

4.羊と鋼の森(宮下奈都)

何も起こらない。何かが起こるまでが長すぎる。幼い私は、そんな作品を楽しめる教養や語彙、想像力が足りなくて、かのベストセラーに面白くないと見切りをつけていました。

この本は私にとって初めて「何も起こらなくても小説は面白い。」と気づかせてくれた本です。静かすぎるぐらい静かで、特段何も起こらない。なのにいつの間にか、ページを捲る手が止まらない。じっくり小説を味わっていく。静謐な空気の中に自分が溶け込んでいくような。そんな新たな体験、小説との出会いをくれた本です。

読書の幅が広がる体験っていつだって気持ちいいですよね。

5.人魚の眠る家(東野圭吾)

東野圭吾さんって王道ミステリなイメージを思い浮かべてしまう。張り巡らせられた伏線、息もつかせぬ展開。そこに人間達の動きと体温を感じる。そんな少し華やかなイメージを持ってしまう私がいます。

でも、この話は、そんな勝手なイメージを引き摺り下ろして現実を思い出させるような、そう言えばいつも人と狂気がそばにいたよな、と感じるような。そんな物語。

小説の世界と私がどこかで地続きなのだと思い出させてくれた本です。

6.イノセント・デイズ(早見一真)

さらりとしてリズミカルな文章に誘われて、どんどん深みにはまっていく。早見一真さんの書く文章がとても好きです。

でも、この本はそんなことを感じさせる隙を与えてくれない。小説の中には、何度も読み返したくなる本と、一度の衝撃を後生大事に取って置きたくなるような本があると思う。圧倒的後者に分類される本です。

私はこの本を“面白い“と思います。

7.蜜蜂と遠雷(恩田陸)

ここまで書いてきて、改めて思うのですが、私はジャンプ的な展開がすきだし、体温を感じられる本が好きなんだと思います。それぞれの苦悩があり、想いがある。

そして、ここまでの7冊。映像化されている作品も多くありますが、映像化したものを観ていないのも共通点です。文章を読んで、面白かった作品の映像化のお知らせを聞くのは嬉しくはありますが、面白かった物語ほど映像を見てがっかりしたくないと思ってしまう。でも、映像を見て、面白くないと思った人は文章を読んでみてほしい。

文字からそれぞれの音が聞こえてくる。そんな小説です。

8.あと少し、もう少し(瀬尾まいこ)

頑張る人が出てくる話の王道です。青春の物語です。チームで走るかっこいい姿勢をたくさん見れます。応援していたはずなのに、いつの間にか自分が熱くなっていて、じんわりと勇気をもらっている。

小説を読むのに少し疲れていた時に、元気をくれた本です。

9.52ヘルツのクジラたち(町田その子)

時々、どうしようもなく、文章を読まないとダメになりそうな時がやってきます。なんでもいいから、文字を読みたい。文字を読まなければどうにかなってしまいそう。

普段、小説は電子書籍では買わないのですが、この時は、なんとしても今すぐ文章を読みたくて、電子書籍で買った初めての小説です。そんな時にこの本に出会って良かった。

現実って時としてすごく残酷で、時としてすごく美しい。
誰かの心に改めて寄り添いたくなる本です。

10.儚い羊たちの祝宴(米澤穂信)

最後は米澤穂信さんにしたいと思います。大人になってから、めちゃくちゃ面白いと思える本に出逢うのってやっぱり難しい。本を読めば読むほど、そこそこ面白かったなと閉じる本が多くある。そんな中で、面白いと思える本との出逢いはとても嬉しく思います。

読みながら、思わず「うっわ!」って声を出しちゃった。そんな本です。

続く。かも

あの人気作家の名前を挙げなくていいものか、とか、ジャンルが偏りすぎてて恥ずかしいな、とか途中考えたのですが、開き直ってシンプルにお気に入りの本を並べてみました。それぞれの時期の当時の私が好きだった本が並んだ気がして満足です。

別の宝箱の中身も広げて眺めたいときがきたら、他の好きな本の話もしたいと思います。ジャンル別とか。作家の年代別とか。小説以外を入れるのもいい。。

それでは、その時まで。さようなら。

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