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入社から3年間で実践したデザインの輪を広げる取り組み③
はじめに
こんにちは、ユウです!🌼
これまでの2回で、デザインの本質的価値の共有から、コミュニケーションツールの整備、ナレッジ共有の仕組みづくりまでを見てきました。最終回となる第3回では、部門を越えた関係構築と、それによる組織文化の変革について解説します。
前回のnoteはこちら▼
第2回は、「3.コンセプトシートの作成」「4.ナレッジ共有の仕組み作り」「5.全体MTGでの発表と共有」について紹介しています。
6.デザイナー以外との交流
デザインの輪を広げる取り組みの中で、非公式なコミュニケーションの場の創出を行いました。その中心となったのが、ランチ会の実施と他部署のメンバーとの積極的な交流です。これらの取り組みは、組織の壁を超えた理解と協力を促進し、デザインの価値をより広く浸透させる上で大きな役割を果たしました。
まず、ランチ会の実施について説明します。この取り組みは、主に遠隔でやりとりしている東京メンバーとのコミュニケーション強化を目的としていました。(筆者は大阪に在籍)当時、同じ事業部の東京メンバーはマーケターしか在籍しておらず、ポジションの違いや直接コミュニケーションを取る機会の少なさから、大阪メンバーと比べると相互理解や信頼関係の構築に課題を感じていました。
ランチ会を通じて、私は以下のような変化を経験しました:
信頼関係の構築:カジュアルな雰囲気の中で、業務以外の話題も交えながら交流することで、お互いの人間性への理解が深まりました。
コミュニケーションの壁の解消:普段のビジネスコミュニケーションでは感じていた壁が、徐々に取り払われていきました。
情報共有の促進:東京オフィスの状況や、マーケティング部門の課題などについて、より詳細かつリアルタイムな情報を得られるようになりました。
異なるポジションからの視点を議論:デザインとマーケティングの接点について、より深い議論ができるようになりました。
次に、他部署との交流についてです。この取り組みは、ランチ会に限らず、日常的なコミュニケーションの中で意識的に行っています。様々な年齢やポジションの方々と交流することで、デザインに対する多様な視点や意見を得ることができます。
特に注目すべきは、営業部門との交流です。一見すると異なる職種に思えるかもしれませんが、デザイナーと営業には共通点が多くあります。両者ともクライアントのニーズを深く理解し、最適なソリューションを提案する必要があるのです。営業は最もクライアントに近い存在であり、彼らの視点はデザインの方向性を決める上で非常に貴重です。
デザイナー以外との交流から得られた効果は以下の通りです:
多角的な問題解決:デザインの課題に直面した際、デザイナー以外の方々に相談することで、思いもよらない解決策が見つかることがあります。
クライアント理解の深化:特に営業との対話を通じて、クライアントのニーズや業界動向についてより深い洞察を得られるようになりました。
デザインの価値の浸透:日常的な交流を通じて、デザインの重要性や可能性について、組織全体の理解が徐々に深まっていきました。
イノベーションの種:異なる専門性を持つ人々との対話が、新しいアイデアやアプローチの発見につながることがあります。
これらの非公式なコミュニケーションの場は、単なる雑談の機会ではありません。それは、組織の垣根を越えた相互理解と協力を促進し、デザインの輪を自然な形で広げていく重要な取り組みなのです。
ランチ会やデザイナー以外との交流を通じて、私たちは「デザインは孤立した活動ではない」ということを改めて実感しました。デザインの真の価値は、様々な専門性や視点が交わるところで最大化されると思います。
ランチ会の実施とデザイナー以外との交流は、デザインの輪を広げるための重要な一歩です。この取り組みを通じて、単にデザインの技術や知識を共有するだけでなく、組織全体の創造性とコラボレーション精神を育む土壌を作り出すことができると考えています。デザインはデザイナーだけのものではありません。それは、組織全体で共有し、活用し、発展させていくことで、豊かな資産となっていきます。
7.会議内容の共有と協議
デザインの輪を広げる取り組みの中で、私が重要視したのが会議内容の共有と協議です。この取り組みは、組織の透明性を高め、より多くの社員の声を意思決定プロセスに反映させる上で大きな役割を果たしました。
入社から1年が経過し、私自身が様々な会議に参加する機会が増えてきました。そこで気づいたのは、多くの会議で議論される内容が、実は会議に参加していないメンバーにも大きく関わるものだということでした。しかし、これらの情報が適切に共有されていないケースが多々ありました。
確かに、機密事項や特定の関係者のみに限定すべき内容もあります。しかし、むしろ積極的に共有した方が良い情報まで、閉鎖的に扱われている現状がありました。この状況は、以下のような問題を引き起こしていました:
情報の偏在:重要な情報が一部の社員にしか伝わらず、組織全体の方向性の理解に差が生じていました。
不信感の醸成:会議に参加できないメンバーの間で、「何の会議をやっているんだ」という不信感が生まれていました。
多様な意見の欠如:限られたメンバーだけで議論が行われることで、より良いアイデアや解決策を見逃す可能性がありました。
若手社員の声の埋没:特に入社歴の浅い社員が意見を表明する機会が限られていました。
これらの課題を解決するため、私は以下のような取り組みを行いました:
会議内容の積極的な共有:参加した会議の内容を、可能な限り詳細に他のメンバーに共有するようにしました。
フィードバックの募集:共有した内容に対して、幅広くフィードバックや意見を求めました。
若手社員の意見収集:特に入社歴の浅い社員に対して、積極的に意見を求めるようにしました。
収集した意見の会議へのフィードバック:得られた意見や新たな視点を、次回の会議で共有し、議論に反映させました。
この取り組みによって、以下のような効果が現れました:
組織の透明性向上:会議の内容が広く共有されることで、組織全体の方向性や課題がより明確に理解されるようになりました。
信頼関係の構築:情報共有が進むことで、「閉鎖的」という印象が薄れ、組織内の信頼関係が強化されました。実際にメンバーから「実は前からどんなことやってるか気になってたけど言いづらかったんだよね」や「共有してもらえて嬉しい」という声をいただきました。
多様な視点の獲得:様々な立場や経験を持つメンバーからのフィードバックにより、より多角的な視点で課題を捉えられるようになりました。
若手社員のモチベーション向上:自分の意見が会社の意思決定プロセスに反映される機会が増えたことで、若手社員のモチベーションが向上しました。
イノベーションの促進:多様な意見が交わされることで、新しいアイデアや創造的な解決策が生まれやすくなりました。
この取り組みは、単なる情報共有の改善にとどまりません。それは、組織文化そのものを、より開かれた、参加型のものへと変革する大きな一歩となりました。この取り組みはデザインとは一見関係ないんじゃない?と言われるかもしれませんが、以下のような意義を持ちます:
デザイン思考の浸透:問題解決にあたって多様な視点を取り入れるという、デザイン思考の本質的な部分が組織全体に浸透しました。
ユーザー中心の視点の強化:社内の多様な声に耳を傾けるプロセスは、まさにユーザー中心のデザインアプローチの実践といえます。
繰り返しの改善:フィードバックを集め、それを次の会議に反映させるサイクルは、デザインの改善プロセスと類似しています。
この「会議内容の共有と協議」という取り組みを通じて、組織全体をより良い方向へ導くだけでなく、デザインの本質的な価値観を組織文化に浸透させることにも繋がると考えました。今後も、この取り組みをさらに発展させ、より多くの社員の声を活かしながら、創造的で革新的な組織づくりを目指していきたいと考えています。
デザインの輪を広げるということは、単にデザインの技術や知識を共有することだけではありません。それは、デザインの根底にある「多様性の尊重」「ユーザー中心の思考」「継続的な改善」といった価値観を、組織全体で共有し、実践していくことだと思います。