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「幸せ思考のできる身体」をつくる

「女性は家族の太陽なのですから、家族を癒せる存在になってください。歯を食いしばるのではなく、美しい気持ちで筋肉を動かしていきましょう。」

ヨーガの先生は、女性だけのグループレッスンの時に、こうおっしゃいました。先生のヨーガ専門教室では、大きな動きをするのではなく、ゆっくりとした静かな動きで、深呼吸でしか動かせない身体の深いところの筋肉を動かしていきます。

私は20代後半から40代の頃まで、ずっと歯を食いしばって生きてきたような気がします。実際、20代後半で大学に学士入学したときには、教授から「肩に力が入っているから、少し楽になりなさい」と言われたこともあります。

当時、私はフランスでの客室乗務員の仕事を辞め、結婚して子供を産み、これから私の人生はどうなるのだろう、また仕事に就くことはできるのだろうかと不安と焦りでいっぱいでした。

朝早くから夜遅くまで働く、典型的な企業戦士だった夫にとって、肩に力を入れて歯を食いしばっている私は、決して癒しの存在にはなれなかっただろうと、今はつくづく分かります。


怒りや失望を感じたとき、どうすれば気持ちを切り替えていけるか、チベット仏教の高僧であるザ・チョジェ・リンポチェは、こう言っています。

いま、あなたはどんな姿勢をとっているでしょうか。
肩は開いていますか、顔は前を向いていますか。
もしも、肩が閉じて、顔が下を向いているとしたら、それは一つの大きなサインです。
体操でもヨガでも、何かエクササイズを始めて、肩が開いて、上を向くようにしてください。
できれば、山でも海でも森でも、自然に触れられる場所に行って、空を見上げてみましょう。下ばかり見ていた目が上に向いて、視界が広がります。
また、口角を上げることも意識してやってみましょう。

ザ・チョジェ・リンポチェ著「命と絆の法則」


20代のあの頃の私は、もし「あなたはもう主婦なんだから、自分のことばかり考えていないで、気持ちを切り替えなさい」と言われても、反発してそんなことはできなかったと思います。

でも、一緒に身体を動かして、身体と心を緩めていくことを教えてくれる人がいたら、どんなに気持ちが楽になっていたことでしょうか。

この本のことを教えてくださったチベット仏教の日本人僧侶は、「心が大きくなっているときというのは、リラックスしているときなのですよ」と言われます。だから、今は心が狭くなっているなと思ったら、リラックスすることをやってみる。歩くことでも、旅に出ることでも、、、

年を取ってくると、いい意味で諦めることも多くなり、心も身体もゆったりとして、幸せを感じることが多くなってきました。

本当はもっと若いときに知り合っていたかったと思えるヨーガの先生やチベット仏教の僧侶とも、今だからこそその教えが身に沁みて理解できるのかもしれません。

というわけで、ヨーガの先生のおっしゃる「幸せ思考ができる身体」をつくるために、身体を動かしてヨーガに励んでいる毎日です (笑)




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