白海
綴じた瞼が少し重い
緩んだ頬が漸く乾く
独りで生きようとしていた
底を歩く、音も立てずに、波も立てずに
ひっそりと、ひっそりと、
眠るみたいに深く、深くへ
端から端まで伸ばした両手
心の臓は隠さず曝け
指の間も悴み震え
口を優しく開けた
息を見た
閉じた瞼を少し想い
潤けた髪が漸く乾く
独り生きようと止まっていた
其処を見つめる、瞬きもせずに、呼吸も忘れて
悲しみと、哀しみと、静かに向き合った、
分かり合えないと知り、ながら
碇を抱えたまま、深く
耳を澄まして死んでくようで
答える喉は隠せず語れ
吠える音も軋む風も
貴方のそれと懐かしむ
息をした
そこにいた
白海
2024.12.30
雪屋双喜
雪の降る寒さを美しく思う。