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a7_nanago
フウセンカズラ
波の合間に浮き沈みするプラスチックゴミを見て
今日も穏やかな海を愛でる
この空の下で泣き出すにはあまりに世界は広かった
背中をさすって慰める役が
オーディションなしで良いわけなくて
でもエキストラな誰かに作品を託すのと同じように
萎みかけた風船に息を吹き込んで欲しかった
わたしたちは怒らなくてはいけないはずだった
ドラマの中ならきっとそうした
無差別に大切な誰かが殺された日
わたしたちは怒らなくてはいけなかった
無意味に大切な誰かが排除された日
わたしたちは怒らなくてはいけなかった
戦争の時代が来てしまう
どうか死んでくれるなきょうだいよ
膨らみきった悲しみが
弾ける前に名前をつけた
それは静かな抵抗だった
フウセンカズラ
2025.1.25
雪屋双喜
わたしたちは特別じゃない
特別じゃなくて好い