詩 隣人
隣人を殺した。
夢を見た。
挨拶もせずに。
朝早い時間だったように思う。
人気の無い路上で何回も。
何回も。
顔がわからなくなるくらい。
何回も。
殺された隣人は私に向かって微笑み続けた。
ふと気が付くと怒りも忘れて泣いていた。
殺意を捥がれて飛べなくなった夜鷹が彷徨う。
しばらくして隣人は言う。
「私は貴方に何もしてないじゃないか」
夢だから。
声も形もなくただ思いつくように心が揺れる。
私は今度は怒りを込めて拳を握る。
自分が悲鳴を上げた。
何回も。
納得がいくまで。
何度も。
2023.12.2
隣人
雪屋双喜