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詩 #33
樹木にとって最も大切なものは何かと問うたら、
それは果実だと誰もが答えるだろう。
しかし実際には種なのだ。
―― フリードリヒ・ニーチェ Friedrich Wilhelm Nietzsch
花
大切なものを仕舞うのなら
一番最後のおまけでありたい
野に生きるのなら
多くの命の支えでありたい
風に揺れ
雨に濡れ
弱く儚く見つからず
必要から最も離れた存在として
人を避け
冬に咲く
触れた雫に押しつぶされるとも
決して恨まずただ受け止めよう
空を見て
過去を省みて
雪と月がなぜ美しいのか
月と雪がなぜ眩しいのか
願わくば花のような一夜を
冬を咲き抜くような一生を
ぽつりとついたほたる
遠くの星を飲み込む
誰かを待って
雫に浸る
2022.2.15 「花」
「雪月花」として三篇の詩を編みました。
また書いてみたい題ですね、楽しかった。
記事の公開をしばらくお休みすると思います、たぶん。
三月末までに小説を仕上げるので、一か月くらいの心算です。
時々はここにいますが、どうせなら春に会いましょう。
では、また。
雪屋双喜 2022.2.15