詩
十五月の指先にあなたがいますように
小声の唇に揺れる吐息が頬を撫で
瞬きの一つが時間をつくり
少しだけ冬を思い出す
それぞれの春が巡ってきて
雨の止むように
煙の昇っていくように
あなたは自分を知っていく
触れることのない思いが増えて
心を梳かしゆく風の後ろを
寂しいのだろうか
あなたの瞳を春が照らした
さあ、遠くへ行く君へ。
別れを惜しむよりも些細な約束を
十五月の指先に灯を燈し
晴れた道を一人ゆけ
どうか空よ凪げ
雪屋双喜
2024.1.30
数えきれぬ旅立ちに。
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