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読書記録 田舎のポルシェ
読書記録 田舎のポルシェ
篠田節子先生、文芸春秋社 2021年
図書館で手に取った新刊書。
発行まもない本に出会えるのは、幸運だ。
さてさて、またまた自粛生活をしている私。
外出できないのは、本当に辛いけど、
あまり時間を気にせず、マイペースで読めるのは
嬉しい。
この本は、厚さと装丁、篠田先生だから、と先入観でてっきり長編と思ったら、車関連の中編が3本収録されていた。
◎あらすじ
主人公の翠は、大学を卒業して岐阜の資料館に勤めている。ある時、東京の実家で収穫した米を取りに行くことになった。運送費や積み込み作業のことであれこれ、考えあぐねていると、友達が知人を紹介してくれた。当日現れたのは、紫のツナギをきた、丸刈りの大男。瀬沼は、農業用の軽トラックでやってきた。
いや、もしかすると自宅にハイエースが置いてあり、乗り換えていくのか、なんていう想像も無駄だった。
丸刈りの瀬沼は、軽トラックで新東名を疾走する。
途中、スマホ片手にフラフラ運転の真っ赤なフェアレディの男にまとわりつかれたが、瀬沼の気迫と翠の機転で追い払う。
など、ちょっとしたカーチェイスをしながら、話すとはなく、2人は今までのことを話し始める。
翠は農家の娘だったが、跡取り息子の兄ばかり大切に育てられ、女は身の丈で生きればいいという、家の古い考えに反発し、家をでて他県で大学進学し、就職後も家に帰らなかった。
瀬沼は、岐阜の酒屋の次男に生まれて、跡取りの兄は、大学進学したが家は継がずじまい。家に残った自分は父に店の実権を握られ配達ばかりやらされていた。しかし、そんな店も、大手のチェーン店の進出で、経営は難しい。
◎感想
✴︎今、日本の農業が置かれている課題みたいなものが、短くまとめられていた。先祖から受け継がれた大切な土地で食の基盤となる米を作り続けることの難しさ。米の需要がパン食に押され減少し、またブランド米などに特化してきていること。
私は農業に携わったことはないけど、天候に左右されがちな第一次産業に従事する方々の心情に少し気付かせられた。
でも、私は誰がなんで言おうと白いご飯が大好きで、日本人に生まれてよかったと思う。だから、ご飯を食べる時、作ってくれた方々に感謝しなくてはと、改めて思った。
✴︎また、よく「身の丈に合った生き方を」と、言われる。それもこの年になると、無理な冒険を止めるために、必要かとも思うけど、現状維持では、今後立ち行かない場合もあるから、時には、新しい活躍の場を外に求める生き方もあっていいかと思う。
✴︎✴︎
あと2つの中編
◎ボルボ
男性2人の北海道
最後がドキッ。
◎ロケバスアリア
カラオケ好きの女性の
人生一大イベント
も、ハラハラしつつ、山あり谷ありで面白かった。