故郷を愛し家族を慈しんだ人たち〜読書記録 大沼ワルツ
◎読書記録
大沼ワルツ
2016年、小学館
今まで読んだことのない作家さんを図書館の棚から探してみました。
やっぱり、海、山、湖など自然豊かな場所に関係のある物語に惹かれます。
気づいたら、この
谷村志穂さんの、
「大沼ワルツ」を選んでいました。
谷村志穂さんは、
1962年、北海道、札幌市生まれ。北海道大学農学部で応用動物学を専攻。
編集者を経て、小説を書き始めて、2003年北海道を舞台にした、「海猫」で第10回島清恋愛文学賞を受けたそうです。
恋愛小説を書いてる作家さんなのね。
また、デビュー作あたりから読んでみたいなぁ。
◎あらすじ
時は昭和の終戦間近、山梨の実家から以久子(とくこ)は、九段の寿司屋で手伝いに出されていた。
いよいよネタがつきてきて蒸し寿司が多くなってきたが、
背が高く堀の深い顔立ちをした青年がよく通ってきていた。
ある日その青年から、
以久子は、メモを渡される。
北海道から始まる「秀雄」(ひでお)という名前の青年の家の住所だった。
数年後、以久子は北海道の小さな駅から土産の荷物を故郷山梨に送っていた。
北海道の自然豊かな中で家族が寄り添いなら、大地に根を張り生きていく物語。
◎感想
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時代は終戦後から高度経済成長の右肩上がりの時。自然の中で、観光を産業とする地方で充分暮らしが成り立っていた。
それにしても、兄弟、姉妹がみんなのことに心を砕きながら、家を盛り立てていく、物はなくても心は豊かな人々が描かれていた。
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ただ気になったのは、以久子(いくこ)の故郷、山梨の実家の父母は遠方の北海道に娘を嫁に出してどんな気持ちだったのだろうか。
特に母と娘の関係性があまり描かれていなかったように思う。厳格な父を支えた母は実は娘たちのことを心配していたのではないだろうか。
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そして、秀雄の母、那須子の家族への思い、何としてもこの地北海道で生きていく、そのためにはどんなことでもする。
そんな行動的な強さを随所で感じた。正に、「母は強し」なのだ。
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自分を振り返ってみると、私は自分の自立のために故郷を離れたし、就職の機会を得たから故郷を離れたまま、生きてきた。
嫁に出たとはいえ、実家を盛り立てることは、仕事と家庭の両立のため全く出来なかった、と思う。
でも、自分が置かれた場所で周りの人の幸せを願いながらできることはしてきた、、、つもり。
時には自分も癒しながら。
◎最後までお付き合いいただきありがとうございました😊