「いかがですか?」にどう答えていいのか分かりません
「いかがですか?」
……言葉に詰まってしまった。ちょうどマッサージを受け、完全にボーっとしていた時だった。マッサージの心地よさにうとうとし、全く何も考えていなかったのだ。「気持ちよかった」や「よかったです」はさっき使ってしまった。何も言えない……でも何か言わないといけない。一生懸命考えて、ようやく「あー、はい。疲れとれた気がします」と無難な回答が出せた。今回もどうにか、切り抜けられた。
相手に感想を尋ねるとき、「いかがですか?」がよく使われる。「よかったですか?」YES/NOで答える質問にしてしまうと、相手の答えを誘導してしまう可能性がある。そのため、たとえ悪い意見であっても、相手の自由で正直な感想を引き出すうえでは「いかがですか?」がちょうどいい気がする。聞く側の立場に立てば。
ただ聞かれる側に立つと、「いかがですか?」の回答にふさわしい感想を考えるのが非常にめんどくさい。いかがですか?に明確な回答を持っているのは、よっぽどよかったときくらいだ。普通~何となくいいレベルだと、いかがですか?に答えられるだけの感想をことばにできない。
「いい感じ」とか「よかった」と言えばいいけど、繰り返しは申し訳ないので、先ほどとは違った回答を考える。相手に納得してもらえそうな回答を練る。そうやって「いかがですか?」に答えるためにむりやり工夫していくうちに、軽く盛り始める。嘘をつき始める。するとますます答えにくくなって、ごまかすために小さなうそを重ねていってしまう。「いかがですか?」は聞かれる側からすればどう答えていいか分かりづらく、嘘を生みやすい質問になってしまう。
「いかがですか?」は自由すぎる。答えやすくするためには、せめて主語が必要ではないだろうか?例えばアパレル店で「いかがですか?」と聞いていたものを、「その丈いかがですか?」と聞くだけでも答えやすくなる。マッサージでも「肩いかがですか?」に変えるだけでも、一気に回答しやすい。「主語+はいかがですか??」と聞いていけば、小さなうそやごまかしは生まれにくくなるはずだ。
そういえば、まとめサイトの最後によく「いかがでしたか?」が使われている。聞く側からすれば、感想を聞ける便利なことばだ。でも聞かれる側からすれば、よっぽどいい時を除いて回答を作り出さないといけない。聞く側に立つときは十分注意したい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?