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【5分で読める】ウェス・アンダーソンのインタビューから読み解く5つの創作姿勢

 ミザンセーヌの学びを深める中でウェス・アンダーソンのスタイルについて学びました。今回はウェス・アンダーソンのインタビューを聞き、彼の作品に込める思いについて掘り下げていきます。
【翻訳する動画はこちら】

ーウェス・アンダーソン
 自分が何かのジャンルに属する監督とは思いません。自分の内なる声に耳を傾けた映画を作っていたら「ウェスアンダーソンのスタイル」と言われていました。
 それぞれの映画が繋がっている映画を作るのもいいですが、僕の作品を見てもらう人には「ああ、前作ったのと同じね」とは言わせたくないんです。

ーリーヴ・シュレイバー

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 ウェスアンダーソンという人間は「子どもの視点」を持っている監督だ。だから、物語・演技に無限の可能性があるんだ。
(岩崎:自分は監督としてスタッフに何と言われたいのか・・・考えさせられます)

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(岩崎:グランドブダペストホテルのあの「指のシーン」を撮影している時のウェス監督。無邪気に遊んでる感じがしますね(笑))
ーレイフ・ファインズ

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 ウェスの映画はシュールな笑いを含んでいるのだが、シリアスなテーマと感情表現もしっかりと込められている。この独特なハーモニーは簡単にマネできるものではないよ。

ーウェス・アンダーソン
子どもの時に最初に抱いた夢は建築士でした。

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 そして、高校になると小説家になりたくなりました。でも、当時から舞台の脚本と短編映画の撮影をやっており、今やっているのはその2つ合わせたものといったととろですね。

①過去の経験から作品を生む

 観客は私の映画を「奇妙だ」「変だ」といいます。でも、私の映画に登場する人物のほとんどが実在する人間かそれを組み合わせた人物です。「天才マックスの世界」は私とオーウェン・ウィルソンの高校時代を組み合わせたものですね。私達の学校、教室で撮影をしましたし、マックスは当時の私みたいに演劇も描きます。

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 「天才マックスの世界」は私にとって「特別な」映画です。高校時代、誰しも「イケていたい」と思うはずです。そして、この映画は世間一般で言うと「イケてない」生徒の物語です。しかし、彼自身には「どうなりたいのか」と信じる理想があります。そして、それに向けて努力をする行動力があります。
 私の映画は「ただのコメディ」ではないです。最初はそう思いますが、物語が進むにつれて「ダーク」になっていきます。

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 私の映画は私の想像から生まれます。そして、その想像は私の経験から生まれています。だから、選んでか選ばずか「私」はいつだって映画に登場しています。
 いい映画を作るためにはたくさんのアイデア、要素がいります。だから、絵画や美術などについても勉強することが重要です。

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(岩崎:ブダペストホテルの設計図!)

②自分の世界の構築

 私の映画に出てくる衣装や小道具には「誇張」が含まれています。他にも衣装や身なりに冗談を込めたりします。

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(岩崎:「誇張」・・・ザ・ボーイズの世界観構築の記事にもありました・・・。近日、翻訳予定です。でも確かに主人公のゼロには帽子に「Lobby Boy(ロビーボーイ)」とわざわざ書かれてますね。現実の世界でこういう帽子はなかなか見ないですね)
 衣装は登場人物についていろいろなことを教えてくれます。グランドブダペストホテルはスケールの大きい映画です。スキーチェイスに汽車に大広間・・・
 あの脚本を大手映画会社の経理に渡したらとんでもない実現不可能な予算が出ると思います。でも、私としては「どうやったらこの不可能を可能にできるか」と考えることが楽しいんです。
 これまで様々なプロの方と作品を作ってきました。その過程でそれぞれのプロが私の映画作りにおいて最高のパフォーマンスを発揮できる方法を見つけていきました。

③正確性と左右対称

 私の映画の【画】には他の私の作品との共通点があります。もはや繰り返しと言っていい。でも、それは僕が好きなものなんです。

ーロバート・D・イェーマン

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 彼とは7作品の長い付き合いだからどういう絵を彼が求めているのかはだいたいわかるようになった。シンメトリーの画を撮影するために私がやったのは、セットの四隅にテープを貼って、主体がカメラのど真ん中に来るようにしたよ。アングルを確認するウェスが一番気にするのはそれだからね。
 彼は本当に「画」を気にしている。現場でも「すいません。もう数センチ上手(かみて)でお願いします」と言うくらいにね。ドリーの時もパンの時も絶対に真ん中なんだ。
*画面を正面に見て、右を上手と言います。反対に左は下手と言います。これは歌舞伎や舞台から由来しているようです。

④熱くなれるモノから生み出す

 ファンタスティック Mr.FOXの始まりは「人形を主人公にするぞ!」の一言でした。

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 子どもの時に読んだのですが、「地下で生活している」という設定にとても惹かれたんです。
(岩崎:夢と言うのは、最初の衝動を持続させた者だけが、実現させられるものなんだ。20世紀少年に出てきた名言ですが、こういった子どもの時に感じた新鮮な感情こそがインスピレーションになるのですね)

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 ムーンライズ・キングダムは私が幼いころに体験してみたかった理想の恋愛です。起きなかったですがね(´;ω;`)
(岩崎:ウェス監督~💦)

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 映画を作る時はそれに対する自分の思いとアイデアを研究しなければならない。犬ヶ島のインスピレーションは黒澤監督と宮崎監督でした。それと広重や北斎がインスピレーションも。だから、作中には彼らの画が登場させました。そして、なによりただ日本を作るのではなく外国人の我々の視点で見た日本というものを作ってみたかったんです。
 自分が作る映画にとってベストなアイデアが浮かんだ時は迷わず実行します。それをやってきましたし、それしか私にはできないのです。だから、「映画を作らない人生」というのは考えられないですね。

⑤とにかく撮れ

 最初の長編映画は父親からお金を借りて、同級生だったオーウェンウィルソン撮りました。


ーオーウェン・ウィルソン

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 俺とウェスは映画バカでとにかく映画を一緒に撮りたかったんだ。コーヒー店で一緒に働いていたよ。

ールーク・ウィルソン

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 あの作品は少なからず「悲しみ」を含んでいたよ。撮影が終わりに近づくにつれて、ウェスとオーウェンとこの映画を完成させることができたなら役者を辞めてもいいと思ったよ。

ーウェス・アンダーソン
 短編の「アンソニーのハッピー・モーテル」は出るところに出て長編映画として制作させてもらうことになりました。物語、キャスト、スケール。全てが理想的であり、妥協なき作品を作れたと断言できます。

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 自分の映画のテーマを客観的に見ることが大事ですね。自分の視点だけで考えるとむしろワケが分からなくなります。
 繰り返しますが、「これはウェス監督っぽいよね」と言わせる技法を使うことはできます。しかし、それは極力避けるようにしています。それでも「ウェス監督っぽさ」が残る部分に関しては私の好みに加え、私の作品と作品を繋げる意図を込めるようにしています。
 とにかく私の映画作りは「自分の作りたい作品を作る」という姿勢でやっています。

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