今日の1カット考察:ドライブ(シーン1-カット1)
「カンヌ映画祭で監督賞を受賞する」ことを目標に努力を決めた今日このごろ。「何をすれば、カンヌ映画祭の監督賞に近づけるのか」ということを考えました。結果、「一流の監督から盗む」という結論に至りました。ハリウッド映画なら何から盗んでも良かったのですが、やはり盗むのなら過去にカンヌ映画祭で監督賞を受賞した作品が良い、と判断し、私が好きな「ドライブ」から盗んでいきます。
【今回のカット】
作品名:ドライブ
シーン:1
カット:1
長さ:1:11
まずは以下の動画をご覧ください。あなたには何が見えますか?
カットの分析
このカットで監督が見せようとしているものは、5つです。しかし、1カット目が始まる前からChromaticsというグループのTick of the clockが流れています。静かながら緊迫感のある始まりを演出しています。
①街の地図。
いくつものルートが書かれた地図からこの人が街の逃走経路を把握している凄腕の人間であることが分かります。この時点で主人公の電話の会話が聞こえています。
よく見ると「Downtown Los A-」という文字もあるので舞台がロサンゼルス(ハリウッド)であるという情報が観客に伝わります。そして、カメラワークとしてはここから「パン」で②③④⑤のモノを映していきます。
②主人公
主人公の初登場カットです。運転手に加え、後々、物語のテーマともいえるサソリの刺繍が暗がりの中でぼんやり見えています。あえて部屋の光をこのリビングランプだけにして画面の8割を闇にしていることから彼が夜の住人(犯罪者)である印象を与えることに成功しています。
③バスケットの試合
この試合は後に行われる逃走劇においてとても重要な役割を果たしていますが、この時点で観客はまだこの重要性には気づいていません。
④カバン
今、じっくりと観察をして気づいたのですが、このかばんが謎なんですよね。この後のカーチェイスではこのかばんは出てこないんですよね・・・脚本では、「マップをカバンに入れる。カバンの中には仕事に必要な道具がキッチリと詰め込まれていた」と書かれています。
⑤夜景
ロサンゼルスの夜景ですね。ここで若干、カメラがこの夜景に寄っていってるんですよね。「なんでカメラを動かしてるんだろう」という問いに答えるために「カメラを動かさなかったらどう映るんだろう」と考えます。
結論から言うと「カメラを動かした方が『何かしらの事態が動き出している』ということを演出できるから」だと思います。カメラを動かさなかった場合でもロサンゼルスの夜景は見えますが、止まっている景色を静止した状態で見せられると観客は退屈してしまうからです。
と、カットを解説しましたが、こういったことを言語化するのは確かに映画監督にとって重要なことかもしれません。この習慣は続けていく価値があるかも・・・
僕が監督だったらこうする
もし私がこの1カットを監督させてもらうとしたら、ワンカットで撮るのはそのままで行きます。ただ、映すモノの順序を変えます。
①スコーピオンの絵と主人公。
まず喋っている人、主人公を一番に出します。
②街の地図
③バスケットの試合
④出ていく主人公。カバンは劇中で出てこないので省きます。脚本家の方にも「劇中で出てい来ないからカットしていい?ダメな理由はありますか?」というのを聞いてカット省きます。そして、主人公がドアを「バタン」と閉める音で次のカットに写します。
こんな調子で映画監督としての自分の言語化能力アップのためにカットの研究をしていきたいと思います。
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