【9分で読める】物語で登場人物を成長させろ!3種類に分かれる登場人物の成長(変化)
〇前回の振り返り
前回は「観客が共感できる登場人物の作り方」という内容をお届けしました。登場人物を作ったら次は何が必要か?それは登場人物の変化です。よく物語では登場人物には成長が必要という話を聞きます。その成長(変化)を今回は分類、言語化しこれを読まれているあなたが登場人物を作った後、彼・彼女をどう変化させていくのか、と迷った時の道しるべとなれば幸いです。
登場人物の変化を語る上、今回はこちらの動画を参考にしています。はい、参考にしています。今まではただの翻訳でしたが、今回はからは自分の意見や感想、具体例なども交えてお話をしていきます。
〇3種類の登場人物の変化
前回のお話で登場人物を作る上で登場人物には正義が必要であるとお話をしました。この正義から登場人物の目標が生まれ、登場人物はそれに向かって努力をし、敵と戦っていくと話をしました。
しかし、みなさんもお気づきの通り正義が必ずしも正しいこととは限りません。例えば、ナイトクロウラーという映画の主人公:ルーは「自分の成功のためなら他人を蹴落としても構わない」という正義を持っています。これは彼がそう正しいと思い、行動をしていますが我々は賛同しがたいですよね。
したがって、登場人物が信じる正義にも「プラスの正義」と「マイナスの正義」があります。登場人物が持つどちらかの正義が物語を通じて試され、「変化をする」もしくは「変化をしない」ことによって物語に意味(メッセージ性)が生まれます。
それでは、冒頭でお伝えした通り登場人物の3つの変化についてお話をしていきましょう。一覧にすると以下の通りです。
①成長:善人への変化
②貫徹:自分は変わらず周囲の人間を変化させる
③堕落:悪人への変化
①成長:善人への変化
これは映画で最もよく見る主人公の変化ではないでしょうか。「成長」の流れとしては以下のような枠組みです。
1.登場人物はマイナスの正義を持っている
2.登場人物はプラスの正義と出会う
3.登場人物はプラスの正義を持つようになる
これをセブンのサマーセットを例に彼の変化を解説していきます。
1.登場人物はマイナスの正義を持っている
冒頭のサマーセットは「もうこんな世の中は救うに値しない」という正義を持っています。この正義があるからこそ「仕事を辞める」「タクシーに乗ってから犯罪が起きている現場を見てもとにかく離れたい」や劇中の事件から降りようとする、といった言動をします。
2.登場人物はプラスの正義と出会う
そんなサマーセットはミルズと出会います。ミルズは正義に燃え、犯罪を防止するために都心への勤務を希望し、やってきました。このことが特に顕著なシーンがミルズとサマーセットがバーで飲んでいる時の会話です。
「俺はもう無関心が美徳であるような世の中はうんざりだ」
サマーセットのこの発言にミルズは反論します。
「世の中をそう思うから辞めるわけじゃない。辞めるからそう思いたいんだ」
しかし、ミルズの言葉・行動でもサマーセットの考えを変えるには至りませんでした。
サマーセットの言葉で説得できないと分かったところで最後の登場人物の出番です。そう、ジョン・ドゥです。実はジョンはサマーセットやミルズに似ている部分があるのです。三人とも舞台の街が腐敗したものであると考えております。しかし、ジョンはサマーセットと違い逃げません。そして、ミルズと違い、法ではなく暴力での救済をしようとします。
そして、最終的にジョンはミルズに引き金を引かせます。結果、サマーセットは「無関心な男」からミルズのように「犯罪と戦う刑事」へと成長します。これは映画終了間際のサマーセットの言葉からも分かります。
「ヘミングウェイが書いてた。この世はすばらしい。戦う価値がある、と。後の部分は賛成だ」
この事件(物語)を経てサマーセットの「もうこんな世の中は救うに値しない」という正義は「こんな世の中でも戦う価値がある」という正義へと変わり成長しました。
こういった登場人物がよりよい人間に成長するパターンの変化は他にも「ピーター・パーカー(スパイダーマン)」「バットマン(ダークナイト)」「ケビン・マカリスター(ホームアローン)」「T800(ターミネーター2)」などなどたくさんあります。成長タイプでみなさんが好きな登場人物は誰ですか?
②貫徹:自分は変わらず周囲の人間を変化させる
「自分は変わらず周囲の人間を変化させる」という変化の流れを書きますと以下のようになります。
1.登場人物は(プラスかマイナスの)正義を持っている
2.登場人物は自分と対を成す正義と出会う
3.登場人物はもともとの正義を貫き通す
周囲の人間を変化させると言ってもプラスの変化とマイナスの変化があります。だから、登場人物にプラスの正義を貫いてもらうかマイナスの正義を貫いてもらうかはあなた次第ですね。マイナスの正義を貫く、となるとかなりダークな話になるのは必至ですが💦ちなみに僕はダークな話、大好きです。
それでは、プラス・マイナスの正義を貫徹した登場人物をそれぞれ見ていきましょう。
〇プラスの正義:ブルース・ウェイン(バットマンビギンズ)
これはブルースがジルを殺そうとした後にレイチェルから諭され、「どんなに酷い犯罪者であろうと殺さない」というプラスの正義を持ってからの話です。
影の同盟での最終試験として犯罪者の処刑を命じられますが、ブルースは断ります。その正義で影の同盟の要塞を破壊します。次にゴッサムに戻り、犯罪者と戦うことを決意し、バットマンとして活動を始めます。
するとゴードン巡査部長も正面から犯罪と戦うことを始めます。そして、スケアクロウを倒し、犯罪者を殺そうとする影の同盟を再び撃退します。彼は最後まで「どんなに酷い犯罪者であろうと殺さない」というプラスの正義を貫きます。「デュカードを放置した」のは「殺した」にカウントしません。
*他の例:ルフィ(ワンピース)・キャプテンアメリカ(ファーストアベンジャー)・ジャックスパロウ(パイレーツオブカリビアン)・ルパン三世(カリオストロの城など)
〇マイナスの正義:ルイス・ブルーム(ナイトクローラー)
生活に困り、泥棒すらやってのける青年ルイスの正義は「自分の成功のためなら他人は不幸になっても構わない」です。
実際、冒頭のルイスは不法侵入をした場所で鉄線を盗み、警察から時計を強奪します。そして、物語が進むにつれて犯罪行為やライバルを事故に遭わせ、最終的には部下の命を奪います。このことから冒頭から最後まで彼は正義が変わらなかったと分かります。
そして、その過程で影響を与えた人物で最も顕著なのは、ニーナ・ロミナです。彼女は最初から過激な映像をルイスに求めていましたが、ルイスからの約束を受け、「約束を守れ!!」とさらに過激な映像を求めるようになります。
*他の例:蓮実聖司(悪の教典)・ジョーカー(ダークナイト)・マークザッカーバーグ(ソーシャルネットワーク)
自分の中で貫徹するタイプのキャラは何かを象徴していることが多い気がします。例えば、
・ルフィ=冒険心・正義・夢
・バットマン=秩序・暴力
・ルパン三世=自由
といったところでしょうか。
③堕落:悪人への変化
悪人への変化と聞いて真っ先に思い浮かんだのは「ブレイキングバッド」ですね。
もう懐かしいです・・・さて、この悪人への変化なのですが、動画の中ではさらに3つに分かれる悪人への道について解説されています。しかし、結論としては「冒頭の主人公がマイナスの正義・プラスの正義を信じていようと最終的にマイナスの正義が勝つ。もしくはプラスの正義が悲劇的なものである」ということだったので簡単にまとめます。
〇堕落:悪人への変化
堕落は基本的にバッドエンドかアンチヒーローと呼ばれる類の登場人物に起こることです。いわゆる胸糞悪くなる系の物語ですね。私が最も好きな映画:タクシードライバーを例にします。
最初のトラヴィスは「アメリカはベトナム戦争から戻った自分でも生きていける社会である」と信じています。しかし、ドライバー仲間との会話の輪に入れなかったり、ベッツィーを相手にとても失礼なことをしてしまったりと彼の人格が否定され、孤独感が彼を蝕むようになります。
結果、彼は「アメリカはベトナム戦争から戻ったでは生きられない社会だ」と社会への怒りをパランタイン上院議員を暗殺することによって発散しようとします。
いかがだったでしょうか?みなさんが好きな登場人物はどのタイプですか?ぜひ、コメントで教えてください。(絶対、返信します)もし今回の記事でもっと詳しく知りたい、分からないことを質問したい、という方は無料で1時間相談を受けることもやっているので下記のリンクから公式ラインをご登録ください!
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