当たり前の「褒め言葉」を止めませんか?
おはようございます!ビジネス作家の臼井由妃です。
料理研究家に「さすが、手際がいいですね」と褒めても、ベテランの経理部員に「計算が正確ですね」と褒めても、相手はそれほど嬉しくはないでしょう。なかには「バカにしているの? 」「何を今さら……」
内心、つぶやいている人も、いるかもしれません。
それらは彼らにとっては。できて当たり前のことでしょう。
「改めて褒めるなんて、魂胆があるのかしら?」
疑い深い私は、そう思う可能性が大です。
誰もが振り返るような美人に、「お美しいですね」
ファッションモデルに、「スタイルが良いですね」
この場合も、大喜びされるとは思えません。
彼女たちはこれまで、さんざん褒められているからです。
褒められれば、誰でも嬉しいのは違いありませんが、多くの人が気づく当たり前の長所を褒めても、相手はそのことに「慣れている」から、心に響かないのです。
褒め言葉が人間関係を豊かにするという考えは、ビジネスの場でもかなり浸透してきました。かつては、褒めるのも褒められるのも苦手という方も見受けられましたが、最近では、「褒め言葉」を使う方も増えてきました。
しかしその多くが、先の例のように誰もが気づくポイントを褒める、といったものではないでしょうか?
すると嬉しいけれど、しっくりこない。まるで社交辞令。
せっかくの「褒め言葉」が空回りして、時には誤解を生むこともあります。
気配りができる人は、褒めるときには工夫を凝らし、もっと喜ばせようとします。
ポイントは、「本人も気づかない意外な長所を見つけて褒める」ことです。
寡黙で普段、あまり笑顔は見せない。人づきあいが苦手という知人がいます。彼の仕事は化粧品会社のセールスマネジャーで、成績は常にトップクラス。仕事柄、部下やお客様は女性がほとんどです。
「口数の少ない彼なのに好成績を続けているのは、なぜだろう?」
「女性相手に、どういう会話をしているのだろう?」
よく務まるものだと、私は疑問を感じていました。
その秘密が、「本人も他人も気づかない長所や魅力を褒める」というものでした。
ホテルのラウンジで彼とお茶を飲んでいたとき、顧客の奥様と偶然、出会いました。和服姿の上品な方で、楚々とした風情で思わず見惚れる美人です。
和服にはかなりこだわりのある方というのは、傍目にも分かります。
こういうとき、よくある褒め言葉は
「素敵なお召し物ですね」「着物がよく似合いますね」
「今日もお綺麗ですね」といったところでしょう。
私も「素敵! 大島紬ですよね。お似合いです」
と言ってしまったのですが、よく考えてみると「素敵です」(素敵なお召し物ですね)というのは、着物を褒めていることです。
「お似合いです」(着物がよくお似合いです)というのは、彼女は言われ慣れているでしょう。和姿にはかなり自信を持っているはずですから。
そして、「今日もお綺麗ですね」というのは、とってつけたような「褒め言葉」です。
ところが、彼は少々違ったのです。「参りました!」とひと言。
すると相手は「えっ?」何だろうと思いますね。
つかさず「お着物に、この口紅が合うなんて、私も気がつきませんでした。●●様、素晴らしいですね」
つまり彼女は、化粧品会社のプロが、舌を巻くすごいセンスの持ち主ということ。そのうえ、自社の口紅もアピールしているのです。
「そう…… 似合っているかしら?」
恥ずかしそうにしていらっしゃいましたが、輝くような笑顔を見て、「褒め言葉」が効いたのだと実感しました。
日ごろから、彼は相手の意外な魅力を探すクセをつけているといいます。
すると、新鮮で驚きのある「手垢がついていない褒め言葉」が生まれるのです。
~新鮮で驚きのある「手垢がついていない褒め言葉」を発掘しよう~
最後までお読み頂きありがとうございました。臼井由妃
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