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Photo by
tanakatchi
着の身着のままゲーム機 #毎週ショートショートnote
良く晴れた、土曜日のお昼。
俺は助手席に息子を乗せて、家へと車を走らせていた。
今日は息子の誕生日。
前々から欲しいと言われていた、ゲームを買いに行った帰り道。
息子の膝の上には、さっき買ったばかりのゲーム機とソフトがある。
早くやりたくて仕方ないのだろう。
息子は、袋からソフトを取り出して、裏面を熟読している。
…わかる。わかるぞ、息子よ。
まずは、ソフトの裏面だよな。
何度も何度も同じ文言を読み返し、たった2、3枚の画像から色々妄想するんだよな。
ただ、ふと思った。
昔の俺なら、次に説明書を取り出すはずだが…。
いまのゲームソフトには、説明書がない。
もうそろそろ、裏面の情報だけでは我慢できなくなるハズ。
どうする?息子よ。
そう思っていた矢先、信号待ちの一瞬をついて、息子が口を開いた。
「ねぇ、パパ!スマホ貸して!」
なるほどね。
ポケットからスマホを取り出し、息子へ手渡す。
案の定、息子は、さっき買ったばかりのゲームの動画を見始めた。
息子にとっては初めてのゲーム。
家を出る前、妻に『テレビ周りを整理しといて』と言っておいて正解。
こりゃ、帰ったら3時間はテレビから離れねーな。
そう思いながら、俺はいつもよりアクセルを踏み込んで運転した。