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登校組ハズシ
子どもが通っている小学校の登校班は、各新学期の最初の一週間だけ集団登校をする。あとは各自で自由登校。
娘のミニ華が3年生の時。
わたしが登校班の親班長となった。集団登校時の付き添い・旗を降って見守りをする係を組み、班員に連絡する。
班には同じマンションに新1年生が3人、入学した。
ユリカちゃんとヒナちゃんとミオ君。
幼稚園も同じで、自由登校になるとこの3人組で登校していた。
ある日、ミオ君のお母さんからメールがきた。
ミオ母「今って小学校の開門時間。何時から何時までかご存知ですか?」
わたし「感染症の流行でいろいろ変更あったけど、今は8時5分から25分の間が開門時間だと思いますよ」
ミオ母「そうですか、ありがとうございます。同じマンションのユリカちゃんが問題児で通学路を守らなかったり、他の子どもとトラブルを起こしているので、うちのミオとヒナちゃんが嫌がって一緒に登校しないってユリカちゃんを外すことにしたらしいの(笑)子どもも知恵がまわりますね(笑)」
という返信がきた。
なんだろう…なんかこの文章にわたしはすごく悪意と憎悪を感じて、返信せずに無視をした。
その後すぐにユリカちゃんのお母さんからわたしに電話がきた。ひどく動揺して半泣きな状態で。
ユリカちゃん母から聞いた話の内容はミオ君母のメールの内容とまったく違っていた。
ミオ君のほうが通学路から外れようとしたり、他の子どもとトラブル起こしたりしてユリカちゃんとヒナちゃんは困っていた。
さらにミオ君は鼻くそをほじくってその指をユリカちゃんになすりつけてきた。
嫌がるのにしつこくて、とうとうユリカちゃんが我慢しきれずに「汚ないからやめて!」と言ったらしい。
話の内容のそれぞれの立場が逆だった。
「汚ないからやめて!」とユリカちゃんから言われた話を息子から聞いたミオ君のお母さんが、その夜、ユリカちゃんの家に突撃ピンポンしてきて
「うちの子に汚ないって言ったでしょ?!謝罪しなさいよ!」と怒鳴りこんできたらしい。目玉をひんむいて息荒くイッちゃった人みたいで怖かったらしい。
わたしはすぐに隣のマンションの情報通のママに問い合わせした。
やはりミオ君は問題児であちこちの子どもとトラブルを起こしており、鼻つまみ者になりつつあると。ミオ君お母さんも幼稚園時代は先生に怒鳴り噛みつきまくっていた有名なモンスターペアレントだったと。
ユリカちゃんのお母さんは、支援学級の先生をしておりその道の専門家で知識がある。
「あの子にはなんらかの発達障害があると思っている。そしてあの子の母親にも発達障害があると」と。
あのメールの悪意と憎悪の意味がわかった。
自分の息子が、3人組から外されるのを怖れて先手を打って、従順で意思の弱いヒナちゃんを囲いこみ。ユリカちゃんを置いて自分の車に息子とヒナちゃんを乗せて学校まで送って行ったりしていたらしい。
ユリカちゃんは従順でないので思い通りにならないため外したかった。というのがほんとうのところだろう。
そして恐らくだが、ミオ君のお母さんもミオ君ぐらいの時にお友達から仲間外れにされた悲しい経験があるのだと思う。じゃないとこんなにも自分の息子が外されそう《というか全然外してなんていないのに》になることを恐れない。
悲しみや寂しさ悔しさの上に悪意や怒りで蓋をして自分の心を守ってきたのだ。
…ってわたしが同情して受け入れたら、取り憑かれてしまうのでメールは無視して正解でした😂
突然わたしにメールをしてきたのは、たぶんわたしが他人の痛みを察知する能力が高いのだと思われたのかと。嗅ぎつけるらしいね。
自分の痛みつらみをわかって欲しい。
それを無料で無条件で優しく包んで欲しかったみたいだけど、わたしは現在、神さまからのテストを受験中の身でして😂ゴミを無視する練習中。
ユリカちゃんのお母さんは、明るくてからっとした気持ちの良い性格で、心のバランスがとれているところがわたしはとても好ましく思っていた。
「ユリカ、しょんぼりして落ち込んでいて。もしミニ華ちゃんが良いと言ってくれるなら、うちのユリカと登校していただけませんか?」
ユリカちゃんのお母さんからお願いされた。
ミニ華は芸術家肌で自由人だけど(笑)意地悪なところはない。ミニ華に聞いてみた。
「別に。一緒に行ってもいいわよ」
沢尻エリカさまみたいな返答😂
そしてミニ華はユリカちゃんを連れて一緒登校するようになった。
神さまはミオ君のお母さんのこと、見放していないと思うの。だって目の前にユリカちゃんのお母さんを遣わせてくれたってことはそう。
自分の痛みつらみをわかってくれて、優しく包みこんでくれる可能性があったのは児童心理学や心理学などの資格を持って、度量の広い心を持ったユリカちゃんのお母さんのほうだった。
「あんなにひどいことされたけど、ミオ君とミオ君のお母さんの気持ちが理解できるから、なんとか助けになりたいってまだ思っているの」
とまで言っていたユリカちゃんのお母さんにさらに噛みついて、神さまからのプレゼントをふいにした。
つらいなら素直につらいって、ユリカちゃんのお母さんに助けを求めれば良かったのにね。
そして、わたしのほうがこの騒動をきっかけにユリカちゃんのお母さんと仲良くなって繋がった。
反抗期に入ったミニ華の対応に困り果てノイローゼ気味になったわたしを、ユリカちゃんのお母さんは親身に寄り添って励まし続けてくれたりした。
投影を理解すると、物事の動きが理解できるようになるのね。面白い。
(注…発達障害を例に出してはいますがいろいろな種類があると思うのですべてがすべてこの親子みたいな事例にあてはまるとは思っておりません。現場であらゆる事例を見てきた専門家の彼女が言っていたことなので、とりあえずそれと仮定してそのまま話に出しました)