営業活動なしだからこそ、生きていけるデザイナーになる。
「独立したからには、営業活動しなきゃ」
そんなふうに思っていた時期が私にもありました。
みなさんは、営業って言葉を聞くとどんなイメージがありますか?
google先生に聞いてみたところの「営業とは」
営業活動とは商品やサービスを顧客に売り、企業が利益を上げるために行う一連のプロセスや行動を指します。 たとえば飛び込み営業や電話営業、テレアポなどが挙げられます。
飛び込み営業や電話営業、テレアポなど、、、、
そういう描き易い営業行為や、
例えばチラシを撒くとか、そういうことをしないと!と
私も思っていたんです。
私が起業したての頃、ある飲み会の席で、
個人事業主(おそらく60代くらい)の方から、
「営業しなよ〜名刺持ってお酌しながら挨拶回りしな」って言われたんですよね。
私も、独立仕立てだったのでその時は、
「とにかくそうしなきゃ!使ってもらわなきゃ!売り込まなきゃ!」
と思っていました。
だから、できるだけ丁寧にサービスを説明しつつ、
素人なりの営業トークをしたつもりなのですが。。。。
そこには、自分より何十歳も年の離れた方々に萎縮した自分がいました。
でも、フリーで3年食べてこれた今、だからこそ言いたい。
「むやみやたらに名刺を配るな」
「下手に出ることと、相手を敬うことは別だ」と。
デザイナーは営業しないほうがいい。
フリーのデザイナーさんには、「持ち味」というものがあると思うんです。
得意分野というものでしょうか。
例えば、工業デザインが得意な人もいれば、非営利活動をPRすることが得意な方もいるし、幼稚園やナチュラルテイストが得意な人もいると思うんです。
やりとりの仕方も、淡々とメールで進めたい人もいるし、対面打ち合わせをマストにしている人もいる。原稿だけ欲しい人もいれば、企画の掘り起こしからするのが好きな人もいる。
そこには、デザイナー自身の感性と技術的な両方の理由があると思うのですが、それに加えて、デザイナーの「持ち味」とお客様の「テイスト」がマッチした時に、本当に良い仕事が生まれるのだと思うのです。
理由1:『お客さんのために』合わない仕事を呼び込む行為はしない
営業を行うと、サービスを知ってもらうきっかけを作ることはできるかもしれません。しかし、世の中には仕事・業種による「波長」のようなものが存在していると思うんです。
わかりやすい例でいうと、民間と行政、福祉と工業。
きっと各業界で重視しているものも違うし、働いている人の気質も違う。
そうなると完成するものも違う、やりとりで発生する内容も違う。
それらを個人=1人でオールマイティにこなすことができるでしょうか。これがデザイン事務所とフリーランスの違いでもあると思います。
自分が得意な土俵で戦うことは逃げではなく、お客さんにとってもストレスのないやりとりを推奨できる武器なのだと思います。
理由2:価格勝負になってしまうことを回避
安ければいい。
‥‥そんな価格勝負に乗ると、お客さんにとっても制作者にとっても良い未来はありません。いいものを作るためには、思案の時間が必要。そんなのことをデザイナーは誰でも分かっているはずなんです。
しかし、過度に営業をすると仕事に困っているのだろうと思われ、安く買い叩こうというお客に出会う可能性も高くなります。
理由3:お客さんとの関係を健全にするため
営業をした時点で、「こちらに仕事を回してください」というお願いです。
ここでポイントなのですが、
相手を敬うこと&謙虚なことと「下手に出ること」は全くの別物なのだと
いうことです。
デザインのお仕事のゴールは、
お客さん(クライアント)が気に入るものを作るということではなく、
お客さんのサービスを受ける人(エンドユーザー)が気に入るものを作ることでお客さん(クライアント)に満足してもらうことだと思います。
下手に出過ぎてしまうことで、
お客さん(クライアント)に対してイエスマンになってしまう。
そんなのはダメなんだと思うんです。
常にデザイン的な視点・考え方で良し悪しを測る必要があると思います。
例えば、家を作る時にほぼほぼ出来上がっている状態でお客さんが「ここの大黒柱が邪魔なんで、なしでお願いします」と言われて柱を切る大工さんっていないと思うんです。事故が起きるのが見えているので、それは構造上難しいというしかない。あとは、代案を出すくらい。
しかし、デザインの現場ではこれが起こることが時折あります。
「はいはい」と返事をして、お客さんのいうフォント数に変更する、ターゲットが曖昧になる……などなど、そんなチラシができて、最終的に困るのは誰なんでしょうか。そして、その結果、成果の出ない制作物に対してお客さんはリピートするでしょうか。
私らしさを認めてくれ、
そこに対価を支払ってくれるお客さんと出会う
ここまでの話を逆に考えると
「テイストの会うお客さんと」
「制作側もお客さんも納得した金額で」
「対等に制作物作成に向け協力できる」
そんな関係が好ましいことは分かっていただけると思います。
営業をしないからこそ
認めてもらえるデザイナーごとの価値がある。
じゃあ、それを営業なしでやるってどういうこと?という話だと思いますが、「要はデザイナー(自分)と相性のいい価値観の近いお客さんの輪が広まればいい」ってことなんだと思うんです。
SNSやブログで情報発信をしているクリエイターさんを見かけますが、
本当に大事なことだと思います。
先のコロナで
売り上げが下がり、極限まで追い詰められた飲食店と、
「馴染みの店を助けよう!」と常連が立ち上がってテイクアウトで成功した店の違いはなんでしょうか。
お店に愛情を感じてくれていた人が居たかどうかの差は大きい。
その「ファンづくり」をデザインを通して考えているデザイナーこそ、
デザイナー自身にファンをつけるべきなんだろうなと最近、思うんです。
ゆきしろ屋はどうやって、目標月額を達成したか
実はゆきしろ屋、1年目と2年目は入退院の繰り返しで、仕事になかなか集中できなかったのですが、体が回復した3年目の今年は、フルで頑張り「週4日程度働いて、これくらいは欲しい」と思っていた額を12ヶ月連続で通して達成しました。もちろん、忙しい週もあれば、その反動で休む週もありましたが平均すれば自己評価は上出来でした。
ちなみに、私は、独立1ヶ月目で営業という意識を捨てました。
1年目のお客様の紹介の割合が年々増えています。1年目に出会った価値観の近しいお客さんが、何度もゆきしろ屋にお仕事を頼んでくれていて、そのお客さんがさらに別のお客さんを紹介してくれる。そんなサイクルが2年目、3年目と続いているのです。だいたい似たような業種、テイストのお客様が繋がっていきます。そこに「営業」という概念はほぼありません。
出会いたい人に出会い、話したいことを話し、聞きたいことを聞き、
そのなかで生まれたプロジェクトやつながりはたくさんあります。
もちろん、名刺をお渡ししたり、事業のことを語ることもありますよ。
ただしそれは、営業というより、お客様とやりたいことやビジョンを語り合うためのツールでしかないのです。
同じく、周りの安定しているデザイナーさんはほぼほぼ「営業をしたことがない」と言います。
一方で、コロナ禍において、新たに副業・デザインを始めた人たちが必死に営業営業と言っているのをみると、ちょっと立ち止まることも戦略なのでは?と思います。
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