『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み終えた。『海辺のカフカ』に似て全体に哀しみが漂う作品だったが、カフカが海のような青一色の哀しみであるのに対し、多崎つくるは複雑な色の哀しみだった。痛みも辛さもあるけれど、生きることへの前向きさを同時に含んだ、カラフルな哀しみ。

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