アー写

大企業の営業マンが社員7名の「医療AIスタートアップ」に飛び込んで感じた、これからのビジネス職

 僕はとある大手人材サービスの会社で働く営業マンでした。この会社にくるまで医療のこと、AIのこと、スタートアップのこと、何にも知りませんでした。ただ、自分たちの手でワクワクする未来を切り拓いてみたい。そんな想いにかられて、2018年社員7名の「医療AIスタートアップ」に飛び込んでから1年が過ぎました。

 先日、日本を代表する医療機関の皆様と「医療の働き方改革」について、AI問診を活用した共同研究に取り組むプレスリリースを出させていただきました。

亀田、慶應、恵寿、順天堂、東大、長野中央の皆様と、AI問診Ubieを活用した共同研究等に取り組む事を発表させていただきました。「医師の働き方改革」の一助として、ビジョン・ミッションの実現に向けた、第一歩を踏み出します。

 営業の経験しかなかった僕ですが、この取り組みに至るまで、多くの医療機関や関係各所の皆様を通じて、多くのことを勉強させて頂きました。
 まだ、何かを達成したわけではありませんが、同じように異業種から医療業界に飛び込んだり、大手企業からスタートアップに飛び込むこと、などに悩まれてる方の参考になればと思い、このnoteを書きました。

<こんな人に読んでほしい>

 - Biz職(エンジニアやデザイナーでない職種)が働く一例を知りたい方
 - 今、医療業界「以外」で働いていてこの業界に興味のある方

<アジェンダ>

 - スタートアップにおけるBizの役割
 - 「医療のGoogle」を目指すビジネスモデル
 - 事業のざっくりマイルストーン
 - 今回の共同研究をBizが実現するまで
 - これからのBizの役割

◆スタートアップにおけるBizの役割

 こんにちは、重藤祐貴@yukishigedo)と申します。僕は、Ubie(ユビー)という医療AIスタートアップにて、Bizをしております。役割としては、PR広報・リアルマーケティング(ロビイング・代理店営業)・セールス・採用人事を担当しております。

 何が本職かと思う人もいるかと想いますが、スタートアップではとにかく人が足りないため、兼務をすることはよくあります。また、スタートアップでは自身の本当の強みが活きる役割のみにフルコミットすることを強くオススメします。逆を言えば、成長のために苦手なことを取り組むことはほとんどしません。短絡的な何かに追われることも無く、VISION/MISSION実現のため、VALUE体現のため、事業成長のために自分の100%を投資します。僕の場合は「社外へ向けたコミュニケーション」が強みでも、やりたいことでもあり、コミットしている役割です。

 弊社のBizは正社員で7名います(Biz入社予定で10名・全職種社員で30名)
例えば他のメンバーにおいては、

 - 現地現物が得意で、現場に入り込み患者様・医療従事者の声を捉えることが強みであり、それをプロダクトオーナーとして開発メンバー(エンジニア・デザイナー・データサイエンティスト・医師)とともにリードする人
 - ファクト・数字が得意で、最前線で顧客の声を拾いつつ、裏では数字をロジカルにみて、マーケティング&セールスプロセスを進化させ続ける人

など、それぞれがBizとして自身の強みが活きる役割に裁量権を100%持ちフルコミットしています。

◆医療のGoogleを目指すビジネスモデル

 Ubieはテクノロジーで人々を適切な医療に案内し、世界中の人々が当たり前に健康な世界を実現することをそれぞれMISSION・VISIONとして掲げています。

VISION:Hello, healthy world
MISSION:テクノロジーで人々を適切な医療に案内する

 Ubieのビジネスモデルを簡単に紹介します。

 Ubieは一言でいうと、「医療のGoogle」を目指しています。「頭が痛い」「お腹が痛い」などの症状から病気を推測するアルゴリズムをコア技術としてAIによる問診サービスを開発・提供しています。
 主な事業は2つあります。toBの「AI問診Ubie」では「医師の働き方改革」を実現する業務効率化サービスを国内の医療機関に展開。toCのアプリケーションでは病気になった時の「症状チェック」サービスを展開。このサービスは海外での展開もしています。

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 医療の質が高い日本の医療機関にて、実際の患者様と医師がAI問診を活用することで得るデータを教師データとして学習し、世界で最も精度の高い問診アルゴリズムを目指しています。この問診アルゴリズムを、世界中でtoCの症状チェックアプリケーションとして展開し、人々を最適な医療に導く「検索の窓口」となることを目指しています。何か症状が出た時こそが、医療の1つの入口であると考え、この世界共通の切り口の面をとった医療のグローバルプラットフォームを目指しています。詳しいマネタイズは割愛しますが、各国の医療課題に合わせて、医療のプラットフォームに必要な情報をそれぞれのステークホルダーに提供することで価値提供を行います。

◆事業の超ざっくりマイルストーン

 ①2013年 問診アルゴリズムの研究・開発
 ②2017年 創業・プロダクトの開発・POC
 ③2018年 国内医療機関におけるPMF(顧客満足実現)
 ④2019年 国内医療機関の面を取る(マーケ&セールス)
 ⑤2019年 国内 to B 事業開発(マネタイズ)
 ⑥2019年 海外 to C のPOC→PMF(1ヶ国)
 ⑦2020年 海外 to C 事業開発(マネタイズ)
 ⑧2021年 海外 to C の複数ヶ国展開

 現在は、創業3年目に入り、③を一定のフェーズまで終了し、④⑤⑥を並行して推進しています。医療機関の導入は100件を越えています。(病院は日本に約8000施設)⑤は既に医療機関「以外」からのマネタイズを実現し、⑥はアメリカへの提供の実証実験を始めています。

◆今回の共同研究をBizが実現するまで

 今回のプレスリリースは主に、国内医療機関の面を取る(マーケ&セールス)の中の1つの取り組みです。VISION・MISSIONの実現、世界中の人々を健康にするため、医師の働き方改革のための第一歩として、今回の共同研究が生まれています。
 創業3年目、総メンバー数50名以下の小さな会社が、日本を代表する医療機関の皆様と共同研究や導入を実現するのには丸1年かかりました。

 1年前、入社した僕がまず取り組んだことは、この会社の誰よりも医療業界について詳しく理解することでした。
日本の医療業界の歴史や抱える課題について、病院経営と医療現場について、医療業界を取り巻くステークホルダーや人・物・金・情報の流れについて。あとほんの少しだけ医学について。少しずつ各トピックについて勉強していきました。(医療経営士や医業経営コンサルタント等の資格勉強・講師の皆様、コンサルタント皆様には大変お世話になっております。)
 ですが、詳しい実態などは結局、調べてもあまり分からなかったので、ステークホルダーの皆様(例えば、本研究では病院の理事長/院長などの経営者や教授/部長クラスの医師)と向き合わせていただき、彼らの思考や抱える課題について、ひたすら勉強させて頂くことに決めました。ステークホルダーの皆様に教えて頂きながら、各トピックについてある程度理解すると、全体の構造がなんとなく見えてきました。
 そして、この現状の構造に対して、会社やプロダクトが向かうべき未来を合わせて考えていました。スタートアップには、完成した商品も、既存の顧客やチャネルも何もありません。ここまで来てようやく、我々のターゲット(セグメント)と提供すべき(訴求すべき)価値と、その手段(チャネル)がおぼろげながら見えてきました。
 ここまで、営業戦略、実際の営業、導入の意思決定者に対するコミュニケーションやは主に僕の役割でしたが、一方で、実際に利用する医療従事者の方や医療の現場と向き合って来たのは、カスタマーサクセスでした。彼女らは医療現場に入り込んで課題を発見し、それをプロダクトにフィードバックし、新たに対応する機能を開発することで解決していきました。
 プロダクトが進化していく中で、全国の医療機関の面を最速で適切な順番で獲得することが自身の役割でした。セオリーであれば中小施設(中小企業・SMB)から積み重ね、大手施設(大手企業・エンタープライズ)に攻めるとも言われますが、医療においては最終的により大きな面に価値提供をしたいからこそ、高度な大規模医療機関との共同研究によるエビデンスを出すことが重要であると考えました。
 ここからはやっと大手企業での営業経験が少し活かせます。キーマンにつながるチャネル、今回であればその人を取り巻く人や企業を0からアライアンスパートナーとして巻き込み、キーマンやパートナーの実現したいことや課題、現状を聞き、そこに自社のサービスの価値をソリューションとしてスキームを構築をしました。

 今回のプレスリリースはあくまで、テクノロジーで人々を適切な医療に案内し、世界中の人々が当たり前に健康な世界を実現するための第一歩です。「医師の働き方改革」をはじめる第一歩です。

 今、Ubieは世界を変えるための、第一歩を踏み出しました。

◆これからのBizの役割

 これからスタートアップに転職するBizは増えていくのではないでしょうか。そのほとんどがテックカンパニーになっていくと思います。1つ重要なことは間違いなくプロダクトの開発です。課題を解決し、顧客を満足させることができるサービスを創ることができるか。多くのソフトウェアエンジニア、デザイナー、データサイエンティスト等が担います。

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 そんな時代だからこそ、僕たちBizの役割も変化しながら、より重要性を増していくと思っています。いいプロダクトをサービスとして、適切に届け、磨き続ける仕組みを、企業・組織として創り続けることが必要です。ドメイン(マーケット・顧客・現場)理解や様々なステークホルダーとのコミュニケーションはもちろん、ソフトウェアの開発についての理解、多くの開発メンバーとの協働、それを踏まえた経営や組織づくり。その役割や職種も多岐にわたります。
 僕は前職では営業を経験し、一定の成果は出し、それなりのことはある程度できると勘違いしていました。しかしながら、「なんでもできる」は「なにもできない」と同義であることをスタートアップに転職して痛感しました。幸いにも周りにそれぞれの強みをもった素晴らしいメンバーが次々と入社してくる中、自身の価値観や強みが、比較することで改めて明確になってきました。それにともない本当に自分がやりたいこと、活かせる強みがみえてきて、そこにこれからのビジネスマン人生をコミットさせ、成長していきたいと強く想うようになりました。何よりも、今がビジネスマン人生で一番ワクワクしています!

 皆様も今後のキャリアについて、「どのマーケットで、何をVISION・MISSION・VALUEとする会社で、どんなメンバー・働き方・環境に身を置き、何者となり、何をこの世に残すのか」を考える1つのきっかけになれば幸いです。

医療では世界中でテクノロジーで解決できる課題が膨大にあります。
課題先進国・長寿の国であるこの日本から
医療で世界に挑戦する取り組みははじまっています。
医療の世界を変える第一歩を、ともに踏み出すBizを大募集しています!





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