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正午派2025
「正午派」である。
わたしは「佐藤正午派」として生きている。
そんなわたしのバイブル本が2025年早々に出版された。
2009年に出版された「正午派」の増強版である。
予約して「バイブルなので紙の本で」と思って買った。
ところが、到着してパラパラめくっているうちに頭がバグってしまい「紙の本だけでいいはずがない。電子もダウンロードすべきだ」と思いなおし、その場でダウンロードしてしまった。
理由はごくシンプルで、なおかつゲスい。
文庫の中に挟まれている、本人の後ろ姿やキープしたボトルの写真や冷蔵庫の中身のスナップ写真を「もっと拡大してしっかりと見てみたい」という衝動からであった。
電子版はしっかりと拡大できるため、目論見どおりで満足だった。
小説家の本には「小説」「短編小説」「インタビュー集」などがある。
ところが、小説家が書くものはもちろんそれだけではない。
新聞の連載記事。地元タウン誌に載せた自著の解説。人生相談や、文芸本に掲載された写真日記的なものもある。
福岡の西日本新聞に掲載される短編があれば、ネットで読めないものを写メして友人と回し読みし、札幌の新聞のインタビューがあれば、友人からのLINEでそれを読み耽る。
そういうふうにしてトレジャーハンティングのように「けしてその場でしか味わえない文章」をずっと追いかけていた。
自分の知らない作品があるのも我慢ならないし、流れる水のようにその場でしか味わえないものもすべて味わいつくしたいと思っていた。
そんな「正午派」はわたしだけではないと思う。
そして、そんなファンのために「正午派」という書籍を出版してくださる小学館にも感謝しかない。だが、同時に「それは佐藤正午の著書を出版する出版社の当然の使命ですよね」とも思ってしまっている。
すばらしい「正午派」の完全保存版を作ってくださってありがとうございます。
全作品の年譜や、新聞に掲載されていた幻の名作「佐世保駅7番ホーム」とか。
ああ、本になって再会できて本当によかった。
「正午派」はわたしの生き方だ。
大好きな作家がいて、新しい著書を待つことを指標に、毎日の雑多な仕事や生活をおこなうことができる。新しい作品に出会える日を待って、毎日を生きている。
あなたが「ハルキスト」であれ「snowman ハコ推し」であれ「King Gnu好き」であれ、どこか少し似ているのかもしれない。
「正午派」は「正午派の世界」と「正午派のコネクション」の中で生きている。
そのことをもっと熱く語りたかったが、もう十分うざ熱いと思われるので、このあたりで、やめます。
追記。新刊の「熟柿」は2025年春の発売予定!との情報が「正午派」には掲載されていました!!!
追記その2。240ページにある「水曜日の愛人」という短編は、わたしの一番好きな短編です。人と関わるときにかくありたいと、うっすらと自分のベースになっています。