「新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 ‐知的人生設計のすすめ‐」のまとめ第二回
前回に引き続き、表題の本のまとめを以下に記載します。(所要時間は12分)ちょっと長くなりました。。
念のため、本noteの構成を以下に再掲しておきます。
第一回:Prologue 1995-2014
第二回:PART1 人生を最適設計する資産運用の知識 ☜今回
第三回:PART2 人生を最適設計するマイクロ法人の知識
第四回:PART3 人生を最適設計する働き方
第五回:Epilogue 新宿中央公園のホームレス
今回は、「第二回:PART1 人生を最適設計する資産運用の知識」を纏めました。
※前回のまとめをご参照でない方は、以下のURLからご覧ください。
第二回:PART1 人生を最適設計する資産運用の知識
第二回は大きく以下の5テーマで構成されます。
PART1-1 世界にひとつしかないお金持ちの方程式 PART1-2 誰も知らない資産運用の常識 PART1-3 不動産の呪縛を解き放つ法則 PART1-4 生命保険は損することに意味がある PART1-5 見えない「貧困化」が拡がっている
では早速、PART1-1に行きましょう!
■PART1-1 世界にひとつしかないお金持ちの方程式
まず初めに著者はお金持ちになる方法はたった3種類しかなく、それ方法を以下の1行で表すことができると謳っております。
資産形成=(①収入ー②支出)+(資産×③運用利回り) ①収入を増やす ②支出を減らす ③運用利回りを上げる
このように纏めるとお分かりの通り、お金持ちになる方法は大きく3つですね。また世に出回っている本やノウハウは、基本的にこの3つに該当するはずです。
またこのPART1-1では10個の具体的なお金持ちになるルールを紹介されております。
1つ目は、純利益の確保が必要であるということ。つまり上記式の収入と支出の差を可能な限り生み出すということですね、この差が資産に直結するため非常に重要です。
2つ目は、運用利回りを上げるということ。当然のことながら利回りが高いほうが10年後、20年後に資産が大きくなりますが、利回りが数%異なるだけで想像もつかないくらい大きな金額になります。ご自身で計算されるとお分かりかと。。
3つ目は、十分な元金がないと運用の意味が少ないこと。同じ金利1%でも元金が100万か1億かで生み出される資産が全く異なりますよね。
4つ目は、収入を増やす確実な方法は働き手を増やすこと。妻や兄弟に働いてもらう、所謂ダブルインカム等のことですね。今の僕には難しい。。
5つ目は、他人への投資と自分への投資のバランスを考えること。つまり資産形成初期は、自分自身に対する「人的資本への投資」をするほうがベターだということです。皆さんご存知の通り、自分自身のためにご自身は誰よりも真剣に働きますから、資産が少ない時期は自己投資がリターンを一番得やすいということです。
6つ目は、サラリーマンが金持ちになる方法は3つ。年収を上げる、ベンチャー企業に勤め自社株を購入し上場を狙う、汚職や賄賂。さすがに3つ目は道理に反しますね、海外では日常茶飯事のようです。。
7つ目は、支出を減らすこと。「金持ちはケチだ」ではなく正しくは、「ケチだから金持ちになれた」が正解だとか。見習わなくてはいけないですね。。
8つ目は、住宅コストと生命保険のコストを減らすこと。つまり、固定費を減らすということです。実は、僕自身住宅コストは最低限(1R)にし、生命保険は未だに入っておりません!
9つ目は、投資の際のコストを気にするということ。株等の資産を購入する際に証券マンから購入するのか、ネットで購入するのか手数料が異なりますよね。特別な理由(新規IPO株を割り当ててくれる等)がない限り、このご時世手数料が少なく済むので、ネットで取引するほうがベターでしょう。
10つ目は、最速の資産形成は税金を払わないこと。サラリーマンの場合と、自営業や中小企業の経営者の場合とでは、所得税の差がかなり大きいんだとか。
以上、10つのお金持ちになる具体的なルールでした。なるほど!というものもあれば、至極当然のものもあるかと思います。
■PART1-2 誰も知らない資産運用の常識
ここでは資産運用に関する原理原則について、10つの常識述べられています。データや詳細の理由無しでは、正直理解できない・しにくい内容もありますが、一度受け入れていただけると幸いです。
常識1つ目は、投資をしなことが最高の投資であるということ。バブル崩壊前後を見た際に、不動産や株に投資をしていた人が損切りできず大赤字を被った一方、預貯金を行っていた人はリスクヘッジができ金利で資産を増やせた。また見方によっては、現在建物を安く買える状態になっていることから、高金利で預貯金を行えていたともいえる。
常識2つ目は、バブル崩壊で日本人は豊かになったこと。簡単に言えば、国の財政赤字は国民への借金なので、財政赤字になればなるほど国民の個人金融資産が増加しているということ。(ここは社会の構造を理解する必要があるので、少し難しい。。)
常識3つ目は、日本人は大きなリスクをとってきたこと。過去、住宅ローンで約20%の頭金で不動産を取得できた。つまり、5,000万の不動産を1,000万で購入でき、購入した不動産に投資をしていた。(レバレッジの力で元本の5倍の投資が可能になった。)このような投資が大流行していたが、不動産価格の下落により借金を背負うことになった人が多いんだとか。購入時が5,000万でも実際は3,000万に値下がり、投資として2,000万損とかざらにあったようだ。。不動産と一心同体なんて、恐ろしい。。
常識4つ目は、不動産投資をした時点で資産運用は終了ということ。上記のようにレバレッジの力で不動産投資を開始できるが、数千万円~1億の資産を持つ人は少ないため、他の投資先(預貯金、株)に投資する余裕がなく、結局不動産投資が資産運用資金の大半を占めて、不動産価格の上下落と運命を共にすることになるということ。リスクヘッジもできないということですね。。
常識5つ目は、長期投資が成功するとは限らないということ。長期投資が成功するというのは、20世紀のニューヨーク・ダウを対象にした米国の見解で、ここ50年の日本株式を対象にすると決して成功するとは言えない状況のようです。
常識6つ目は、資産運用の専門家(証券会社等)は資産運用理論を無視しているということ。ノーベル賞を過去に受賞したとある学者は、「市場全体に投資すること」(インデックスファンド)を提唱している。これをパッシブ運用と呼ばれ、一方証券会社などが提案する個別株式投資をアクティブ運用と呼ばれる。その学者によると、アクティブ運用の方が、手数料コストの分だけ負けることが証明されている。しかし、証券会社は自身の存在意義証明の為、アクティブ運用を顧客へ進めるのが現実のようだ。
常識7つ目は、経済学者の予測は外れるということ。過去、アメリカ経済学者の予測がどれ程当たっていたのか調査した際、48件の予想に対し46件が外れていたとか。めちゃくちゃ外れとるやないかい!!
常識8つ目は、適正株価は誰も知らないということ。アナリストが恣意的な想いで株価を予測してしまいがち、企業規模に限らず財務諸表の粉飾の可能性がある等から適正な株価を算出しにくいようです。
常識9つ目は、チャートで未来は予測できないということ。コンピュータの解析結果で、株式市場に法則性も存在しないことが証明されている。
常識10つ目は、短期投資は最高のギャンブルであるということ。手数料がカジノと並ぶ低価格率で、公営ギャンブルや宝くじの利率とは手数料が数十倍~百倍以上安い。株やカジノは嫌煙されがちですが、意外ですよね。
よく考えればそうかもしれないけど、今まで当たり前の事実として知られていたことが実は違う、ということが多かったのではないでしょうか?noteでは詳細の説明・データの掲載を控えておりますが、データを見ると一目瞭然でした。何でも専門家の言葉を鵜吞みにしてはいけませんね。。
■PART1-3 不動産の呪縛を解き放つ法則
このPARTでは経済合理的に語られることのなかった不動産の資産について述べられています。まだ自分自身が結婚もまだですので、不動産購入について考えたことがなかったのですが、同年代の方々は今後本格的に検討されると思いますので参考にしてください。
はじめに裁判所での競売物件についてを例に、不動産の裸の価格について述べられています。バブル期に1億の価値があった不動産が、競売物件では半値以下で取引されているという事実です。われわれ人間にとってはマイホームの所有が「やすらぎ」を生むものであり、極めて強い感情的なバイアスがかかっており、それを購入してしまっている国民が多いことを述べております。
本PARTでは、10つの不動産に関する法則について述べられています。
法則1つ目は、家の購入≒株式投資。「家は借りるより、買ったほうがいい」ということをよく耳にしますが、本当にそうでしょうかと著者は考えます。バランスシートで考えると、ある一定の金利がある場合、不動産ではなく金融資産として保有したことによる利益が家賃以上になる場合があります。どちらが得か否かはバランスシートで考えてみてもいいかもしれませんね。
法則2つ目は、家の値段は家賃から合理的に決まる。
不動産の理論価格=賃料÷期待収益率
※回収割合のこと。3,000万の物件で12.5万/月の賃料の場合、期待収益率は5%。またこの回収割合は他の資産パフォーマンスと比較可能。
法則3つ目は、持ち家は賃料が発生しない不動産投資。利用方法(自己使用、他人へ貸借)はあります。また賃貸の方は大家さんが得た不動産所得は課税となる為、期待通りに所得を得るためにその分家賃に上乗せされる。その為、全く同じ賃貸費用の場合、理論上課税の分だけ賃貸は損する。
法則4つ目は、不動産はリスク商品。前にも述べていますが、地価の変動がある為です。どの不動産・金融商品を購入する場合でも、
不動産・金融商品の期待利回り=無リスク金利+リスクプレミアム
を見極める必要があります。
法則5つ目は、住宅ローンは株式の信用取引と同じ。金融資産にも同様のリバレッジをかけることができれば、地価が上がるか否かは株価が上がるか否かとバランスシート上では同様です。
法則6つ目は、住宅ローンの返済は「貯金」ではない。最終的に住宅が目に見えるモノとして存在する為ローンの返済が「貯金」に見られがちだが、減価を考慮すると、将来的には住宅の価値は0であり、バランスシート上で資産にならないです。
法則7つ目は、永住を前提に家を購入しても持ち家は有利にならない。地価が上昇した場合は勿論有利だが、地価が下落した場合は永住しようが売却しようが損が掃除ます。これもバランスシート上の話ですね。だんだん難しくなってきましたね。。
法則8つ目は、「家賃より安く家が買える」ことはない。頭金を支払っている時点で、金融資産・将来得られる運用益を放棄したことになる。また不動産会社は、頭金+返済期間を延ばすことで月々の支払家賃同様をセールス文句にしているに過ぎないです。実際の営業マンと話したことはないのですが、本書を読んでいる限り納得です。
法則9つ目は、30年後に手に入った「我が家」に価値はない。賃料の取れない不動産の価値はゼロということです。酷いことを言っている気がしますが、それが現実だと思うなぁ。また賃貸の場合は、諸経費を考慮しない場合、同様の賃料であれば常に新しいところへ住居可能です。後に価値がゼロのモノは残りませんが、これも賃貸のメリットですね。
法則10つ目は、市場経済では賃貸と持ち家に優劣はない。市場経済において、確実に手に入る利益は特定の市場参加者によって消費されてしまうが、結果すべての価格は誰も確実には得をしないところに落ち着くと言われています。これが抗うことのできない市場の基本原理のようです。
地価の上下落任せに、貯金の一種という考え方の元、住宅・マンションをローンを組んで購入することのリスクを著者は述べています。現在の地価変動から、長期的な地価上昇の兆しはないと考えらえています。また住居の制限がかかることからも、現在は賃貸で様子見をすることがベターではないかと考えられています(何度もしつこいが、バランスシート上では賃貸であってもマイホーム購入であっても将来はほぼ変わらない(現在は予測できない)ことを述べている)。またマイホームの購入を否定されているわけではないので、悪しからず。
ただこの本を読む前から、私自身が住居の場所に制限がかかるのが嫌で賃貸が良いと考えていたので、その考えが非常に強くなりました。
■PART1-4 生命保険は損することに意味がある
著者は、不動産と同様、生命保険にも極めて強いバイアスがかかっている金融商品と述べています。
ご存知の通り生命保険は何か不幸があった際に家族へ残せる「不幸の宝くじ」のような巧みなマーケティングによって特別な地位が確立されています。著者曰く、本当に生命保険が必要な人はごく稀(勿論不幸があった方々)であり、扶養家族の多い低所得者向けの唯一の金融商品だと位置づけています。その為、損することに意味があるのですね。ただ一般の保険会社の金融商品には様々な経費(広告費や人件費等)が上乗せになっている為、共済系の生命保険(もしくはネット生保)がお得のようです。
また医療保険に関しては、そもそも適切な医療保険を選択できていないことを指摘しています。考慮する点として、医療保険は受け取りにくい医療保険(その分費用が安い)を選択することを挙げています。例えば、3か月以上入院することになった場合、月収30万・貯金100万あれば4か月目以降の収入の補填について考えれば家族や自身が路頭に迷うことはないです。そもそも3か月入院はほぼ稀なのです。よって、受け取りにくい医療保険を選択し非常に不幸な場合にのみ家族のための保険を掛け捨てしておく、そして、軽度の事象に関しては基本的に国民健康保険で3割負担という恩恵に乗っかっておけば、浮いた資産で資産運用するほうがベターと考えられています。(因みによく売れる医療保険は、入院直後から90日まで保険金が支払われるもので、人は目先のリターンを求めてしまっているようです。)
勿論、何が起こるか分からないご時世ですから、最後はご自身の判断になると思います。
■PART1-5 見えない「貧困化」が拡がっている
著者が本書を書いた理由の1つとして、「中流の没落」を危惧したからです。所謂、サラリーマンの核家族ですね。それらの家庭を圧迫しているのが、「不動産」「保険」「教育」の3つだと挙げられております。
サラリーマンの生涯年収3~4億から住宅関連支出・各種保険・教育費・老後の貯蓄を差っ引くと、子供との旅行や自身の娯楽費用が圧迫されてしまうのが目に見えていると、著者が述べています。そもそも、こう言った中流の崩壊の理由は、「グローバル化による新興国の労働者との仕事の奪い合い」「テクノロジーの進歩による単純労働の機械への置き換え」だと考えられています。私は商社×ITに勤めておりますので、グローバル化・IT化は日々肌で感じており、とても納得ができます。
今回は世の中の通念の実態について、資産運用・不動産・生命保険という切り口で紹介がありました。実際、私が簡単に纏めていますが、理解不足のところもありますので、詳細のところは本書やインターネットで調査していただければと思います。ここでお伝えしたいことは、橘玲さんの考えの概略を知っていただけたらと思います。
次回は、「第三回:PART2 人生を最適設計するマイクロ法人の知識」です。ようやく本編の内容を紹介できます。
最後に以下、本noteの要点です。
①お金持ちになる方法は、1つの方程式から理解でき、たった3種類(収入を増やす/支出を減らす/運用利回りを上げる)で、10つのルールが有る
②専門家の口車や過去の経験から、間違えた資産運用の常識が流行しており、正しい資産運用の常識が10つ有る
③生命保険は損することに意味がある、医療保険は保険金を貰いにくい商品を選択することに意味がある
④世の中のグローバル化・IT化によって、中流(サラリーマン)の崩壊が危惧される
以上です。ありがとうございました。
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