【解説】USスチールの買収はどうなる? ついには世界を巻き込む一大事に
世界を巻き込むUS労組
USスチールの買収はどうなる?
アメリカ大手鉄鋼メーカー、
USスチールの買収計画を進める日本製鉄は、
遠く離れたアメリカ大統領選でも注目を集めています。
日本製鉄がUSスチールの買収を進める背景には、
多くの政治的、経済的な要因が絡んでいます。
特に、ロイターによると
トランプ政権で国務長官を務めた
ポンペオ氏をアドバイザーとして雇ったことが
大きな話題となっています。
ポンペオ氏はトランプ氏に
近い存在として知られており、
次の大統領選挙でトランプ氏が再選された場合、
買収に有利に働く可能性があるため、
この動きはトランプ氏の政権奪還を
視野に入れたものと見られています。
現に民主党候補と言われるカラマハリス氏は
共和党で急激に支持率が上昇中の
元職のトランプ氏を敗れる可能性も
相当あるでしょう。
一方で、全米鉄鋼労働組合(USW)は
この買収計画に一貫して反対の姿勢を示しています。
労働組合は、USスチールの買収が
アメリカの雇用を脅かすと懸念しています。
特に、日鉄が提示した合意案に対しても、
「現在の争議を解決する有意義な基盤を提供するものではない」と批判していま
バイデン大統領撤退に関する日本製鉄のコメント
バイデン大統領は買収計画に
否定的な見解を示していますが、
本人は再選を目指さず撤退を表明しました。
以下、日テレニュースの報道です。
この状況を受け、このような
コメントがなされました。
これについては先日お伝えしましたが、
実は甘利前幹事長が言うように、
アメリカ大統領選の焦点にしないために
買収を延期したりしたのですが、
結局は民主党も共和党もこの土台に
乗ってしまったからこそ、
ポンペオ氏の起用は欠かせないもの
となったのです。
【ポイント】
・アメリカの伝統企業の買収は国民感的に反対
・USスチールの役員や幹部は買収に賛成
・USスチールの労組は反対
・民主党、共和党ともに大統領選の焦点に
なお私自身、前回のアメリカ大統領選の記事を
書かせていただきましたので、
一部掲載したいと思います。
製鉄トップ3の企業に日本製鉄が
日鉄の買収計画には、脱炭素化戦略や安全保障にも
関わる大変重要なものと感じています。
なぜならば仮に買収が成功すれば
粗鋼生産量は世界3位の大企業となり、4位の
鞍山鋼鉄集団(中国)を抜くからです。
買収が成功した場合の構図
1位:中国宝武鋼鉄集団(中国) 圧倒的なトップ
2位:アルセロール・ミタル(ルクセンブルク)
3位:日本製鉄
こうなります。だからこそ中国に対する楔を
日米で協力すれば両国の国益にもつながるのです。
しかし、買収計画の実現には
まだ多くの課題が残されています。
労働組合の反対や米国の政治的な動きなど、
多くの要因が影響を及ぼす中で、
日本製鉄がどのようにして
これらの課題を乗り越えていくのかが注目されます。
決して平坦なものではありません。