PB黒字化の自民党内の攻防 安倍派裏金問題処分で縮小も、健全化の道は開けずか?
前回のNote
プライマリーバランスとは?
まず、プライマリーバランス(PB)について説明します。
これは、国の収入(税金など)から支出(公共サービスや年金など)
を引いたものです。
これが黒字になるということは、
国が自力で収入を得て支出を賄えている状態を意味します。
なお財務省の理論で言うとPBの理想化の先には
財政健全化がありますが、
簡単にいえば次のような状態です。
【財政の流れ】
現在:政策的経費>税収 (大幅な赤字)
PB達成:政策的経費=税収(利払いのみ赤字)
理想:利払分➕政策的経費=税収(プラマイゼロ)
この流れです。なお現在は利払と政策的経費がかさむ事から、
財務省は政策的経費をまず税収と同額にしたいといえます。
自民党財政健全化本部
自民党には総裁直轄組織において、
財政を健全に保とうとする派閥があります。
この組織を代表する古川禎久・財政健全化推進本部長は、
2025年度までに国と地方のプライマリーバランスを黒字にする
目標を堅持すると言っています。
「PB目標を先送りにする声もあるようだが、それは本末転倒だ」と強調しました。
古川氏は、内閣府の試算によれば歳出効率化の努力を続ければ
2025年度にPB黒字化が実現する可能性があると述べていますが、
「高い経済成長や税収増を前提にしており、容易な状況ではない」
とも言っています。
彼は、日本の財政状況が非常に悪いため、財政健全化の努力を続ける必要があると強調しました。
なお財政健全化と積極財政派をめぐる争いは毎度、
政府の骨太案で争いが起きましたが、
ここ10年は安倍元総理の影響もあり、
積極財政派の存在が大きかったのです。
対立する積極財政本部
一方で党の政調会長の組織にあるのが
積極財政本部です。
【岸田総裁時の政調会長】
高市政調会長:無派閥・積極財政派
萩生田政調会長:安倍派・積極財政派
渡海政調会長:無派閥
過去2年数ヶ月もの間、
積極財政派、いわゆる安倍元総理と考えの近い方が
政調会長を担われた事から、
積極財政本部の力は維持されていました。
しかし今回の裏金問題で、積極財政派に近い考えで
影響力のある主要メンバーである
安倍派幹部が一斉に辞任・処分され、
影響力が低下したのです。
【安倍派5人衆処分】
世耕前参院幹事長:離党
西村前経産大臣:党員資格停止
高木前国対委員長:党員資格停止
萩生田前政調会長:役職停止
松野前官房長官:役職停止
特に上記三名は自民党との関わりを持つことさえできず、
次期衆議院選挙では無所属で戦うことになります。
この影響力の低下は政治にとっても無視できないでしょう。
自民党の答え
自民党の財政健全化推進本部がまとめた提言では、
2025年度にPBを黒字化するという政府目標を堅持すると明記しています。
その上で、2026年度以降も黒字を継続し、債務残高の国内総生産(GDP)に
対する比率を引き下げるべきだとしています。
この提言は、積極財政派の提案と対立していますが、
今後の党内での調整が注目されます。
提言では、日銀が金融政策を正常化した後、長期金利が上昇していることに言及しています。金利上昇は国債の利払い費の増加につながり、今後の財政運営で低金利を前提とすることができなくなる可能性があると警告しています。
積極財政派との対立
積極財政派はPB黒字化に反対し、新しい財政指標を導入することを
提案しています。
財務省と逆の主張は、経済成長を優先させるためには、
もっと財政支出を増やすべきだというものです。
積極財政派を代表する西田昌司参院議員は、「どういう形の財政指標が望ましいか、骨太の方針に書き込めるよう議論したい」と述べています。
彼らは、2025年度にPBを黒字化する現行の目標を見直すべきだと訴えています。
ただし今回の裏金問題の影響もあり、立て直しは急務でしょう。
財政健全化の重要性と難しさ
日本の財政は非常に厳しい状況にあります。
そして多くの議論もあります。
財務省や世界から見ても国の借金は多く、
将来的には高齢化による社会保障費の増大が見込まれています。
そのため、財政のあり方は非常に重要な課題です。
若者にとっての影響
この議論は少し難しく感じるかもしれませんが、
未来の税負担を担う若者にとっても重要な問題です。
国の財政が健全であることは、将来の税金負担や社会保障に直結します。
消費税や所得税がますます増え、家計が苦しくなるかもしれません。
もし財政が健全でなければ、デフォルトはしないと思いますが、
国際的な自国貨幣の信頼を失うリスクもあり、
将来的に高い税金を払わなければならない可能性が
ありますし、社会保障も不安定になるかもしれません。
まとめ
自民党内でのPB黒字化をめぐる議論は、
国の未来に大きな影響を与える重要なテーマです。
財政健全化推進本部と積極財政派の対立は続くでしょうが、
どちらのアプローチがより良い結果をもたらすか、
注目していく必要があります。
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