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習近平3期目の中国で何が起きた? 中国共産党の権力構造の変化とは?



子供が亡くなる事件が中国で起きる

まず中国で10才の日本人男児が亡くなられたことについて心よりお悔やみ申し上げます。今、日中関係はとても厳しい課題に直面しており、懸念事項の解決は東アジアの安定に不可欠です。
また政府の外交においても一昨年と去年は岸田総理と習近平国家主席の日中首脳会談は実現致しましたが、残念ながら以降の会談の効果は限定的です。
一体なぜこのような事態に陥ってしまったのか?そして中国との向き合い方を私たちは再度考えなければなりません。

本ブログは建設的かつ安定的な日中関係の維持を果たす一歩として努めてまいりたい。

習近平主席就任から2期目

まず中国の習近平政権を語る前にお伝えしたいのは、2012年の尖閣諸島国有化の課題です。野田内閣では尖閣諸島を国有化し、中国は大激怒しました。
(※当時の都知事石原慎太郎氏が個人で尖閣諸島を購入していたことが原因。尖閣での自衛隊配置などを唱えていて、それよりも国有化した方がダメージが低いとの当時の政権の判断)

以下Wikiの文章を掲載させていただきます。

2012年9月11日に日本人の私有地であった尖閣諸島を日本国政府が20億5000万円で購入し国有化した事に関する一連の出来事である。

尖閣諸島を巡り日本と中国は今日まで対立していますが、この国有化の件以降の数年は自民党政権になっても、首脳会談は習近平主席でなく李克強首相との会談だったのです。

安倍総理自身も就任時に靖国参拝し、中国との摩擦が増加したのもありましたが、日中関係はこの時が最悪の時だったと思います。

習近平の国賓訪問招待-冷ややかに

さて数年の時が経ち、安倍政権後半では習近平主席との会談も行えるようになり。中国との太いパイプのある二階俊博幹事長が幹事長として力を振るようになり、訪中で習近平との会談が実現されました。

すでに習近平は主席の任期を撤廃し、再任に上限を設けないことで3期目が有力視されていました。また当時の習近平のライバルは次々と失脚し、自身の地位を脅かす可能性のある次世代のホープの胡春華前副首相(政治局員)も今は政治協商会議副主席(中央委員)と降格させることに成功しました。

その中で政府は二階氏を通じて習近平主席を国賓としての来日の招待をしましたが、2020年の香港の国家安全法の問題を受け、中止となりました。

・コロナウイルスの発生源としての疑い
・香港の国家安全法
・ウイグル問題

上記の問題で欧米が中国に対し厳しい姿勢を行うことで、日本もまたこの動きに同調することになりました。その結果、4年近くもの間は対面での首脳会談が行われなかったのです。

アステラス製薬、処理水放出

その他にも反スパイ法の制定や処理水の放出により中国は水産物の輸入を停止し、この間は児童が亡くなる事件が起きました。

・反スパイ法の制定
→明確な犯罪行為が書かれていない不明瞭なガイドライン
・処理水の放出による日本産水産物の輸入停止
→反日の動きがより顕著に
・ゼロコロナ政策の反動
→当時上海トップだった李強氏が住民からの反発を受けるも、首相へ起用

特に中国では習近平政権の安全保障重視による副作用で、ビジネスを行うのが困難な国となり、実際に撤退している企業もいます。
この背景には中国が他国の外資の締め付けが顕著であることもまた挙げられるでしょう。例えばブルームバーグでは以下のように述べられています。

  最新かつ最も顕著な標的は、上海とニューヨークに本拠を置くコンサルティング会社キャップビジョンだ。中国当局は9日、同社が国家機密を漏らし、外国の情報機関とつながっていると非難。中国の国営テレビは8日夜、当局者が同社のオフィスを家宅捜索して従業員を尋問し、機器を押収する映像を放送した。
国営メディアによれば、これはコンサルティング会社を標的とする反スパイキャンペーンの一環で、数週間前には米コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの中国オフィスでスタッフが当局者から事情聴取され、ニューヨークに拠点を置くデューデリジェンス会社ミンツ・グループにも当局の家宅捜索が入っていた。

実際にアステラス製薬の日本人社員は中国で拘束され、今は服役しています。

なお報道官はアステラス製薬の社員が反スパイ法をおっしゃっていますが、詳細な情報は今となっても不明です。

 【北京=川瀬大介】アステラス製薬社員の日本人男性が中国の検察当局に起訴された問題を巡り、中国外務省の 毛寧副報道局長は22日の記者会見で、男性が「スパイ罪」で起訴されたと明らかにした。中国は挙国体制でスパイ摘発を進めており、反スパイの動きは一層強まる見通しだ。
毛氏は「日本側が自国民に対し、中国の法律や法規を順守し、中国内で犯罪に関わらないよう教育するよう望む」と述べた。「中国は法治国家だ」と強調したが、起訴内容の詳細は明らかにしなかった。刑法に基づくスパイ罪は最高刑が死刑となる。

中国がますます統制にシフトすることになれば、より旅行者や外国人の生活も脅かす事態となるでしょう。個人的には早期開放を求めたいところですが、実現するかは厳しいでしょう。

このように中国は大きく3期目で安保にシフトしたのです。

重用された秦剛前外相の今

昨年の夏、就任してからわずか半年程度の秦剛外相が突然解任され、政治的な空白が生まれました。以降は王毅外交トップが外務大臣を兼任する形で国際会議に出席し、王毅外相の一部の外交の役割は党の対外連絡部長を務める劉 建超氏がブリンケン国務長官や上川外務大臣のカウンターパートとして勤めています。

秦剛氏は全人代の代表や中央委員も兼務していてそちらは辞任となっています。

この辞任という文字を見る限り、秦剛氏の処分が他と比べ軽かったのです。

その僅か数ヶ月後に更迭された李尚福前国防大臣は元国防大臣とともに党籍剥奪。これは汚職の問題での更迭ですが、いずれも党の中央規律検査委員会が濃く関わっているのは間違いないでしょう。

劉 建超氏も規律検査委員会の出身です。

現在、李尚福氏の行方は不明ですが、秦剛前外相は産経新聞によると以下のように報じられています。

【北京=三塚聖平】米紙ワシントン・ポスト(電子版)は8日、昨年7月に外相職を解かれた秦剛氏が中国外務省傘下の出版社に配属されたと報じた。米国の元当局者2人の情報によるとしている。同紙は、秦氏が出版社で「名目上、下級の仕事を割り当てられている」と伝えているが、業務の詳細や配属の経緯などには触れていない。

中国は3期目でほぼ習近平に近い習近平派閥が役職を固め、より中央集権的な権力構造となりました。

現在、岸田政権や執行部で岸田総理を除くは習近平主席との会談の実現はなく、連立を組む公明党代表の山口氏は党No.5の蔡奇政治局常務委員、二階元幹事長はNo.3の趙楽際全人代委員長との会談でした。
当時の林外務大臣は李強首相との会談には成功したものの、首相の権限はさらに縮小化され、習近平との接点を探るのが難しい限りです。

これが今の日中関係であり、今回の問題を受けて主張は果たすべきであり、ソフトな部分も忘れてはならない。

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