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元スイミングコーチの独り言 20本目

プールでの水質管理を逆手にとった、点検商法の手口

ちょっと前のテレビで「こんな悪質商法にご注意」みたいなのが放送されていたんですが、まぁ、いろいろ考える人はいるようで。

注意喚起のためにもメメントしておきます。

これはちょっと古いタイプの悪質商法

以前にもコーチの仕事の中でちょっとだけ書きましたが、プールの維持管理もコーチの仕事なんですね。(当時私が勤めていたクラブではそうでした。今は違うかもしれません。)

水質管理も業務の一環で、1時間おきに(2時間おきだったか?)プールの塩素濃度を測ります。プールの決められた箇所の水を採取して、専用の試薬を使って測定します。

私が勤めていたスクールではこんなタイプの測定器だったような。わりと簡素なタイプでした。(下図参照)

大きさは手のひらサイズ

試薬を垂らすと水の色が変化するんですが、薄いピンク~濃い赤紫色になります。数値的には0.4~1.0とかいう数値でした。(記録表にその位の数値を記入していた記憶が)

これより色味が外れていれば塩素の濃度を調整します。濃ければプールに水を足したり、薄ければポンプ室に行って塩素タブレットをタンクに入れます。そんな業務をしていたので、再現ドラマを見たときに、「うわ、これ塩素濃度のやつやん」と思い出したんですよ。

悪質商法の業者は、これを逆手に取って
「お宅の水道水には塩素がたくさん溶け込んでいます!うちで扱っている浄水器なら完全に除去できますよ!!」
と不安をあおって、高額な浄水器などを購入させる手口を紹介していました。

塩素検査薬のことを知っている人が見たら別に不思議でもなんでもないんですが、大半の方はそんな検査薬など知らないから反応したとなれば不安になりますよね。

知っておいてほしいのが、
「水道水にはある一定量の塩素が溶け込んでいないといけない決まりがある」ということ。
つまり、家庭の水道水なら色が出るのが正常なのです。

以下は厚生労働省ホームページからの引用。

給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/l(結合残留塩素の場合は、0.4mg/l)以上保持するように塩素消毒をすること。

水道法第4条及び第22条等の関係について 一部抜粋

だから、残留塩素検査薬で色が出たとしても何ら心配はないんです。

もし、「水道水の点検に来ました」と言って、お宅の水に怪しげな薬を垂らして「ほらぁ~」などという方が見えたら、「あ、うちは適正量。安心して飲めるわ♪検査ありがとう」と言ってお帰りいただくとよろしいかと思います。

参考までに… 

最新のプール水質管理を詳しく知りたい方は、

プールFAQ JPAA公益社団法人 日本プールアメニティ協会
https://www.jpaa.jp/faq/

をご覧になってみてください。


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