たくさんあるのよ、思い出は
生まれて初めて映画館でみたのは、ディズニーの「ファンタジア」だった。
真っ暗な中、大きなスクリーンに映し出される、色鮮やかな、みたことのない世界。
きっと口をポカンと開けてみていたんだろうな。
小さいころの我が家はけっこう貧しくて、映画に連れていってもらったのなんて後にも先にもこの一度だけだったような気がする。
当時いくつだったのか、どこの映画館だったのかも記憶にないけれど、その記憶は鮮烈で、息子が幼いころにDVDを買ったほどである。
次の映画館の思い出は忘れもしない、14歳。
近所に住む友人のお姉さんに、友人と一緒に連れて行ってもらった。
親に内緒で(笑)
映画は「ジェレミー」
ちょっと、いやとても悲しい青春映画だったが、そこよりも初めてみるラブシーンに、これまた口ポカンである。
私の親はカタイ人たちで、テレビでそういうシーンがあると、サッサとチャンネルを変えていた。
真っ暗な映画館で、顔を赤くしながら、でも目は離さずにいたに違いない。
真っ暗でヨカッタ。
他にも映画館には数々の思い出がある。
初めてのデートは映画館。
友達と仲直りしたのも映画館。
一人でご飯を食べることはできないのに、映画館へは入れた若い私。
友達が上京する前日に最後に行ったのは、映画館。
映画館へ行く、ということがさして特別ではなかったあの頃。
今は足が遠のいて、でもいつか、またきっと行きたい。
映画館へ。
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