ミュージカル「スウィーニー・トッド」観劇感想

 こんにちは、雪乃です。ミュージカル「スウィーニー・トッド」観てきたよ!!!凄かった!!!ニチアサの後に観る作品ではないですね!!!

 感想を一言でまとめると「全部ソンドハイムの掌の上」って感じですね。正直1幕を観ているときは、テンポ感が合わないかな〜とか思っていたんですけど、2幕ラストですべてソンドハイムの掌の上で転がされていただけだということを脳が「「「理解」」」した瞬間がめちゃくちゃ気持ちよかったです。

 狂乱と混乱、社会の不平等と不条理と混沌と悪、愛と憎しみ。大きさも動き方もすべてが違う歯車を全部一気に投げ入れてバラバラに、あえて噛み合わないように動かしていく1幕。そして、あえて1幕で展開させた「噛み合わなさ」が繋がっていく2幕。どこか唐突に物語が終わり再び幕開きの曲に戻ってきた時の奇妙な爽快感はこの作品にしかないものだと思いました。

 主人公トッドを助けた船乗りアンソニーは、トトッドの妻ルーシーを横恋慕したターピン判事が育てていたトッドの娘・ジョアンナに一目惚れ。アンソニーとジョアンナの束の間の逢瀬は、マリウスとコゼットのような、いかにもなミュージカルらしい良さがあるにも関わらず、2人はどこか噛み合わない。その噛み合わなさもすべて計算の上で、2幕の展開に繋がっていくのがただただ地獄でした。

 ゾクゾクするような素晴らしい楽曲に対して、どこか少しズラされたように感じる言葉と芝居。決して王道のミュージカルではありませんし、稀代の怪作にして問題作だと思います。しかし再演を重ねるだけのエネルギーを持っていることは確かだし、真相や結末まで知った上でもう1回観たくなる作品でした。

 今日のキャストはこちら。

 アンソニー役の糸川さんは舞台「四十七大戦」の島根さん役で拝見していました。彼だけがこのカオスの中で「ただしい」のではないか、とすら思わせるような純粋なオーラを纏いつつも狂乱に抗えないアンソニーが素晴らしかったです。

 ジョアンナ役の熊谷彩春さんを拝見するのはレミゼのコゼット以来でしたがとにかく歌唱力が抜群!!!安定の素晴らしいソプラノで、透明感のある美声がいっそうジョアンナの辿る運命の悲痛さを際立たせています。いつか糸川マリウス×熊谷コゼットでレミゼが観たい。

加藤諒さんのトバイアスはどのシーンでも子どもにしか見えなかったし、ターピン役の上原理生さんは今回実年齢と役の年齢の開きが最も大きかったと思うのですが、持ち前の貫禄と重厚な歌声でターピンを怪演していらっしゃいました。

 初「スウィーニー・トッド」、凄まじい体験ではありましたが総合すると楽しかったです。

 本日もお付き合いいただきありがとうございました。

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